インドネシア人の性格・民族・宗教観|多様性に生きる国民性とは?

2024/04/06

インドネシアの民族・宗教観と多様性を示す構造化した図解

インドネシアは2億8千万人の人口のうち4割がジャワ島に集中しており、300あると言われる民族の中でジャワ人が45%、スンダ人が15%を占め、総人口の9割がイスラム教徒です。

インドネシアで仕事をする上で多民族の人々と出会うことになりますが、インドネシア人といってもジャワ人は「幸福と調和を重視する思考が気質や行動に表れる」と言われるほど、何事にも悠然と構えている人が多く、一方でバタック人、マドゥーラ人、アンボン人のように気性が激しいとされる代表的な3民族もおり、一括りにインドネシア人の性格を民族を横断して評するのは無理があります。

それでも総じて気さくで明るく楽天的な人が多いのは、1年を通して温暖な気候がインドネシア人の性格形成に影響したのではないかと考えます。

多民族国家の中にあってイスラム教徒が圧倒的多数占めるにもかかわらず、ヒンドゥ教徒が大多数を占めるバリ島やキリスト教徒が多い北スマトラなど、広大な国土に点在する他宗教を飲み込むことなく、政宗分離のバランスが取れているのは、インドネシア共和国憲法の前文として記載されている建国五原則パンチャシラの一つ「唯一神への信仰」という原則が大きく貢献しており、インドネシア人の中に「多様性の中の統一(Bhinneka Tunggal Ika)」というパンチャシラを一言で表す国是がイデオロギーとして生き続けてきたものと考えます。

民族や宗教の多様性が当たり前の環境で育ったインドネシア人は、必然的に外国語や海外の文化も柔軟に受け入れやすく、インドネシア人同士でも日常会話の中に時折英語を混ぜたり、英語能力を維持するために敢えて英語で会話をしたり、日本人がやったら「欧米かぶれ」と陰口を叩かれそうなことも普通に行われる環境があることが、インドネシア人の語学能力の高さの秘訣なのだと思います。

当ブログでは私と同じようにインドネシアに関わり合いを持って仕事をする人が、日常生活やビジネスの現場で出会うさまざまな事象のコンテキスト(背景)の理解の一助となるようなインドネシア人の特徴についての記事を書いています。

この記事でわかること

  • インドネシアの人口は2億8千万人で、ジャワ島に4割が集中しています。
  • ジャワ人は45%、スンダ人は15%を占め、イスラム教徒が9割です。
  • ジャワ人は幸福と調和を重視し、バタック人やマドゥーラ人は気性が激しいとされます。
  • パンチャシラとBhinneka Tunggal Ikaが宗教的多様性のバランスを保っています。
  • インドネシア人は外国語や文化を柔軟に受け入れ、語学能力が高いです。

インドネシアに300以上の民族が存在する理由|DNAではなく「文化と慣習」で分かれる国民性

民族は必ずしもDNA型の違いに由来する身体的特徴による集団ではなく、同じ生活環境を共有する中で生まれた家族観や社会制度、歴史的背景によって形成されるアダット(Adat)です。例えば、ジャワ人とスンダ人はDNAは同じですが、アダットが異なります。

「スンダ人は色白が多い」というのは、涼しい地域に住んでいた祖先をルーツにするためであり、日本の東北地方の人々が色白と言われるのと同じです。しかし、日本では東北人だけで民族カテゴリを形成することはありません。

インドネシアでは、中華系やパプア人のようにDNA型の違いに由来する身体的特徴が顕著な民族以外は、地域の生活環境の中で育まれた行動様式を基準として区分けされ、比較的緩やかです。

ジャワ人の気質としては「幸福と調和を重視する思考」があり、優柔不断でお世辞(basa-basi)が多く、本音と建前を使い分ける、見栄っ張り(gengsi)、合議制(Musyawarah)や相互扶助(Gotong Royong)などの村社会の不文律が存在します。これは日本の村社会によく似ています。

スンダ人男子は結婚後も親元から離れることを嫌い、それが原因で「あなたは私とお義母さんのどっちの味方なの?」という口論が発生しやすいです。これにより、スンダ人は他民族に比べて離婚の要因が多いかもしれません。

一方、母系相続社会のミナンカバウ人(Minangkabau ミナン人)の男性は、親の資産が女兄弟に相続されるため、家を出てお金を稼ぐ方法を考えざるを得ません。この出稼ぎの風習はムランタウ(merantau)と呼ばれ、独立自尊の精神を養う上で大きな影響を及ぼしていますが、必ずしも成功するとは限りません。

インドネシアの多民族社会と文化的背景を構造化した図解

インドネシアの多民族社会と文化的背景の理解

インドネシアには300以上の民族が存在し、地域の言葉や風習が同族意識を形成しています。ジャワ人は幸福と調和を重視し、合議制や相互扶助の村社会の不文律が存在します。スンダ人は色白で働き者とされ、離婚率が高い背景には親元を離れたくない男性…

続きを見る

インドネシアが国民の幸福感が高い国といわれる理由:寄付文化・宗教観・若者の生き方から見る日本との違い

インドネシアの職場では、同僚やその家族に災難があればすぐにカンパの箱が回ってきます。また、ラマダン(断食月)明け直前には給料の低いオフィスボーイに対する寄付(sumbangan)の茶封筒が回ってきたりします。これらはインドネシアの村社会に根付く相互扶助のゴトンロヨン(Gotong Royong)の精神や、イスラム教の五行の一つである困窮者を助けるための義務的な喜捨を指すザカート(Zakat)の考え方に根差しています。

インドネシアには『Hidup mati di tangan Tuhan』という言葉があり、この世の幸不幸もやがて訪れる死さえも、すべてが神の意向によるという死生観があります。金銭的な裕福度合いに関わらず、置かれた環境の中でのrejeki(神の思し召し)に感謝し幸せを感じることが普通です。人生の目的が環境での幸福指数の最大化であるとすれば、これは非常に合理的な考え方です。社会的弱者を救済するために寄付をすることが倫理的に正しい行いであると、子供の頃から教育されている点は、宗教的に大きな意味があります。

インドネシアの寄付文化と宗教観が幸福度に与える影響を構造化した図解

インドネシアの幸福度を支える寄付文化と宗教観

インドネシアでは寄付文化が根付いており、世界寄付指数で1位です。インドネシアの人口の87%がイスラム教徒で、宗教が社会支援に大きく寄与しています。ゴトンロヨンの精神が職場や地域での相互扶助を促進しています。

続きを見る

インドネシア人から学ぶ7つのこと:日本人が見習うべき国民性と生き方

インドネシア人の特長として、人前で話すのが上手、英語が上手、目を見て微笑む、政治に関心が高い、姿勢がいい、気さく、国に誇りを持っていることが挙げられます。これらは日本人が見習うべき点です。

インドネシア人が英語に堪能な理由は、子供の頃からテレビや本で英語に触れる機会が多いこと、外国人に積極的に英語でコミュニケーションをとる姿勢、インドネシア語と英語の言語構造の近さなどがあります。

かつて日本人はインドネシア人から、英語は下手だが経済力と技術力を持つと評価されていました。しかし、日本の長期デフレによる経済停滞に対し、インドネシアは経済成長を続けています。10年後には経済力と技術力で逆転される可能性があり、そのとき日本人はどのように見られるのでしょうか。

インドネシア人の特性と日本人が学ぶべき点を構造化した図解

インドネシア人の特性と日本人が学ぶべき点

インドネシア人は会議での仕切り力が高く、日本人が学ぶべきプレゼン力を持っています。インドネシアの政治家は、ハビビ氏やグスドゥール氏のように演説で聴衆を魅了する能力に長けています。インドネシア人の英語力は一般的に日本人より高く、外来語が…

続きを見る

もはや日本は特別じゃない?インドネシアにおける日本人の変化と未来

1997年に私が初めてインドネシアを訪れた際、インドネシアの1人あたり名目GDPは日本の約30分の1でした。当時、インドネシアは世界的にはあまり注目されていませんでしたが、人口が2億人を超える自然豊かな国として、何か得体の知れない期待感を抱いていました。しかし、2020年にはインドネシアの知名度が上がり、名目GDPの差が5分の1に縮まりました。この変化により、インドネシアに来れば何かチャンスがあるというギャンブル性の要素が小さくなったと感じます。

同時に、インドネシアでの日本人の立場も相対的に低下しました。以前は日本人というだけで注目されることがありましたが、2024年ではそうではありません。K-POPの影響で韓国人が人気を集めることもありますが、インドネシアの国力が上がり、自国に対する自負と誇りを持つようになったため、外国人に対する期待度が低下し、必ずしも憧れの対象ではなくなったのです。

インドネシア進出における日本の役割とビジョンを示す構造化した図解

インドネシア進出に求められる明確なビジョンと日本の存在感

日本とインドネシアの1人あたり名目GDPの差が32分の1から5分の1に縮まりました。インドネシアの2019年の出生率は2.3で、日本の1.36を大きく上回っています。インドネシアでは韓国のEV車IONIQ5が普及し始め、政府の支援も進…

続きを見る

インドネシア特有の病「Masuk Angin」とは?風邪との違いや危険な進行形「Angin Duduk」

「Masuk Angin」は、文字通り「空気が入る」ことで吐き気や頭痛、倦怠感を引き起こす病気です。夜風に当たった後や、腸が空っぽになった時、クーラーの風が直接当たる場所で授業を受けた後などに発症します。

症状としては体が冷えて倦怠感を感じる風邪の一歩手前のような状態で、時には吐き気を伴います。治療にはインドネシアの伝統生薬ジャムウをベースとしたシロップ、AntanginやTolak anginを飲んで体を温め、オナラとして放出するのが効果的とされています。

インドネシアのMasuk AnginとAngin Dudukの違いを示す構造化した図解

インドネシアのMasuk AnginとAngin Dudukの違い

Masukanginはインドネシア特有の体調不良で、体を温めて治療します。AntanginやTolakanginは、Masukanginの治療に使われるハーブシロップです。Kerokanはコインで背中をこすり、体内の空気を排出する伝統…

続きを見る

副業が当たり前の国・インドネシア|日本人が学ぶべき生き抜く力とマネー感覚

日本とインドネシアでは、従業員10人以上の会社は就業規則の作成が必要です。日本では厚生労働省が公表する「モデル就業規則」に「許可なく他社の業務に従事しない」という記述があり、副業は好ましくないとされていました。しかし、2018年1月からの働き方改革で副業に関する規定が追加され、副業を解禁する企業が増えました。

一方、インドネシアでは多くの会社員が副業を持っています。給与所得が高くないインドネシア人が家や車を購入できる理由として、相続税や贈与税がないため親からの資産の授受が容易であること、そして副業からの収入があることが挙げられます。

2024年に私は北ブカシに引っ越しました。北ブカシは飲食店、アパレル、スマホ、洗車屋、自動車教習サービス、Biro Jasaなど多様なビジネスを行う小規模店舗が密集しており、インドネシア人の強靭な生活力を感じることができます。

インドネシア人の副業と生活力の関係を構造化した図解

インドネシア人の副業と生活力に学ぶサバイバル術

インドネシア人は副業を持つことが一般的で、生活力が高いです。インドネシアでは相続税や贈与税がなく、親からの資産授受が容易です。2020年のコロナ禍でもインドネシア人は副業で生計を立てる力を示しました。

続きを見る

ジャカルタの日本人社会に蔓延る噂話|なぜガセネタが拡散されやすいのか?

インドネシアでは噂話の信ぴょう性が低いことが多く、周囲に拡散しないと気が済まない人が多いと感じます。これはFacebookやTwitterなどのSNSが初期から流行した理由の一つかもしれません。

「誰にも言うなよ」と念を押すほど話したがる傾向があるのは、自由でオープンな気質が温暖な国土で育まれた結果かもしれません。インドネシア人に限らず、人間は秘密を暴露することで精神の安定を保つ生き物です。

内緒の話は情報の希少性が少なく信憑性も低いことが多いため、「ここだけの話」という枕詞付きで聞かされる話は話半分に聞いておくのが良いかもしれません。

インドネシアの噂話と情報リテラシーの課題を示す構造化した図解

インドネシアの噂話と情報リテラシーの課題

インドネシアでは噂話の信憑性が低く、特に日本人社会で誤解が広がりやすいです。ジャカルタでは噂話を2割から7割引きで聞くことが推奨されています。インドネシア語でおしゃべりな人をcerewetやmulutemberと呼びます。

続きを見る

「嫁に相談します」で交渉成立?インドネシアで学んだ断り方と上手な交渉術

インドネシアでは、奥さんの一言が意思決定に大きな影響力を持つと認識されています。家庭内で奥さんの意見が重要視されることが多く、断りにくいお願いごとをされた場合には、奥さんの許可が必要であることを伝えると相手は納得してくれることがあります。

私の経験では、過去にお付き合いした女性たちは感情論が論理的思考を凌駕し、理屈で自分の非を諭されることを良しとしない傾向がありました。インドネシアでも家庭では奥さんの尻に敷かれる人が意外と多いのです。

このような文化背景を理解することで、交渉の際に「嫁に相談します」と言うことが効果的な断り方となり得ます。

インドネシアでの車両売却と交渉テクニックの知識を構造化した図解

インドネシアでの車両売却と交渉テクニックの知識

インドネシアではSTNKの更新が5年ごとに必要です。トヨタAvanzaの中古車価値は128jutaと試算されています。嫁を理由にする交渉テクニックがインドネシアで有効です。

続きを見る

インドネシア独特の現象「Latah(ラタ)」とは?感受性の強さと催眠的反応の関係

Latahとは、突然のショックを受けることで異常行動を起こす状態です。インドネシアに住んでいると、ヘアサロンやカラオケ屋さんで、女性やおかまさんが驚いた拍子に「kodok(カエル)」や「ko●t▼l(放送禁止用語)」といった奇妙な言葉を発する場面に遭遇することがあります。

この現象は東南アジア特有で、驚いたときに叫んだり、奇声を上げたり、踊りだしたり、笑いだしたりする行動が見られ、周囲に伝染しますが、病気ではなく個人差とされています。

インドネシアでは、大きな会社や工場に霊に取り付かれて悩む人がいることに驚くことがありますが、これは感受性が強く思い込みが激しい人が多いことに起因します。肩をポンと叩いて催眠術を掛ける泥棒がいることとも関連があると考えられます。

インドネシア人の感受性の強さや他人との垣根が低いことは、インドネシア語の吸収性と拡張性の高い特性から生まれたものではないかと考えられます。

インドネシアのLatah現象と文化的感受性の背景を構造化した図解

インドネシアのLatah現象と感受性の文化的背景

Latahはインドネシア特有の現象で、驚いた際に奇声を発したり体が勝手に動くことがあります。インドネシア語の吸収性と拡張性が、Latahの発生に影響していると考えられます。JohnnyAndreanはインドネシアの老舗サロンチェーンで…

続きを見る

インドネシア都市部に広がる先進国型の社会問題とは?日本との意外な共通点に注目

「自宅と会社の往復だけの生活だから異性で出会う機会がない」とか「自宅に居場所がないので出社したい」といった問題は、日本だけでなくインドネシアでも見られます。インドネシアは「心が豊かでキラキラした目をした人々」で溢れると称されますが、都市部では先進国特有の社会問題が顕在化しています。

生産年齢人口が従属人口の2倍以上ある人口ボーナス状態が2030年まで続くとされるインドネシアでも、社会生活における人間同士の絆が強いというステレオタイプは見直されるべきかもしれません。結局、どこに住んでいても自分の人生に悲観せず、堂々と生きることが重要です。

インドネシア都市部の日本化現象と社会問題の顕在化を構造化した図解

インドネシア都市部の日本化現象と社会問題の顕在化

インドネシアでは経済発展に伴い都市部での生活様式が日本と似てきています。2021年にジャワ島とバリ島で緊急活動制限が適用され、企業は原則100%在宅勤務となりました。インドネシアの最低賃金は2021年に月額Rp.4,782,935まで…

続きを見る