インドネシアでは、経済発展に伴い都市部で高収入を得る人々の生活様式が日本とさほど変わらなくなっています。そのため、先進国特有の社会問題も顕在化しています。
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インドネシア人の性格・民族・宗教観|多様性に生きる国民性とは?
インドネシアの人口は2億8千万人で、ジャワ島に4割が集中しています。ジャワ人は45%、スンダ人は15%を占め、イスラム教徒が9割です。ジャワ人は幸福と調和を重視し、バタック人やマドゥーラ人は気性が激しいとされます。
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この記事でわかること
- インドネシアでは経済発展に伴い都市部での生活様式が日本と似てきています。
- 2021年にジャワ島とバリ島で緊急活動制限が適用され、企業は原則100%在宅勤務となりました。
- インドネシアの最低賃金は2021年に月額Rp.4,782,935まで上昇しました。
- インドネシアでも在宅勤務が増え、家に居場所がないと感じる人が増えています。
- インドネシアの平均初婚年齢は24歳前後で、出会い不足が問題となっています。
インドネシアの在宅勤務と出社意識に見る経済成長と価値観の変化
2021年7月3日から、ジャワ島全土とバリ島に緊急活動制限(PPKM Darurat)が適用され、企業は原則100%在宅勤務となりました。銀行や通信などエッセンシャルセクターの企業は最大50%、エネルギーや物流などクリティカルセクターの企業は最大100%の出社が許可され、違反企業には一時事業停止処分が下されるなど厳しい措置が取られました。
その後、活動制限の延長により、ジャカルタ全域でオフィスへの出社比率が25%まで認められ、8月には50%まで引き上げられました。工業団地にある日系顧客に対してシステム導入支援を行う際には、担当者の出社日を狙って訪問するようになりました。
弊社では2020年の大規模社会制限(PSBB)時から完全在宅勤務に移行し、時間管理は社員に任されていました。平日昼間に私用で出かけた場合には、その穴埋めを夜または祝日に行うなど、各々が自由な働き方を楽しんでいるように見えました。そのため、コロナ禍で苦労するのは経営者だけで、従業員は在宅勤務を歓迎していると思っていました。
しかし、ある日系工場の日本人担当者から、在宅勤務に耐え切れず出社したがっているインドネシア人社員がいると聞き、新鮮な驚きを感じました。
事例:某企業で「出社制限50%かけたのに理由をつけてこっそり会社で仕事する社員がいる」という話を聞きました。これは家でのんびりお菓子を食べながら仕事するより、早起きしてでも会社に行きたいという理解で合っているのかと考えました。
私がインドネシアに来たのは1997年10月で、日本との1人当たり名目GDPの差が30倍以上あった時代です。当時は日本人駐在員からインドネシア人社員が仕事をしてくれない、要領が悪いなどの愚痴をよく聞きました。しかし、日本経済が長年デフレ状態で停滞する一方、インドネシアは年平均5%で成長し、1人当たり名目GDPの差はおおむね5倍程度まで縮まりました。
経済格差が縮まることで、日本人とインドネシア人の行動様式も変化し、駐在日本人とローカルスタッフの関係にも変化が生じています。少なくとも日本人は昔ほど「これだからインドネシア人は」といった愚痴を軽々しく言えない状況になりつつあります。
私は1997年まで東京のIT会社で働いていましたが、当時在宅勤務が可能だったとすれば、職場の人間関係が嫌いだったため、出社は拒否したでしょう。もしかすると、家にいるより出社したいというインドネシア人は、職場の人間関係をうまく構築できている優秀な人材なのかもしれません。
インドネシア都市部で進む日本化現象|在宅勤務・晩婚化・家族関係に見る社会構造の変化
日系製造業が集積するジャカルタの東に位置するブカシ県では、2021年の最低賃金が月額Rp.4,782,935まで高騰しています。夫婦共働きのダブルインカムの家庭であれば、なんとかやり繰りして生活が成立する収入レベルと言えるでしょう。しかし、旦那さんの稼ぎが良い場合、奥さんが専業主婦になるケースも増えています。これは日本の女子大生が「夢は専業主婦」と語っていたのと同じ事情かもしれません。
旦那さんが在宅勤務になると、狭い家の中で奥さんの立場が強くなることがあります。子供が騒ぐ中で相手をしないと奥さんに怒られるため、会社に行った方が気が楽だと考えるのは、日本でもインドネシアでも自然な流れです。
事例:自宅と会社の往復だけの生活で異性と出会う機会がない、自宅に居場所がないので出社したいというのは日本だけの話かと思いきや、インドネシアでも同様の状況が見られます。どこに住んでいても自分の人生に悲観せず堂々と生きていけるのではないでしょうか。
「家に居場所がない」というのは、日本のお父さんだけの嘆きと思われていましたが、インドネシアの経済発展が目覚ましい今、収入レベルが高い都市部のお父さんがコロナ禍で在宅勤務を強いられるようになり、同じ構図が浮き彫りになっています。
また、日本の平均初婚年齢は夫31.1歳、妻29.4歳で、晩婚化と非婚化が進むことによる少子化問題が大きな課題です。結婚しない最大の理由は「出会いがない」ことです。一方で、平均初婚年齢が24歳前後とまだ若いインドネシアでも、地方からジャカルタに出てきて働く若者の中には出会い不足に悩む者がいます。
事例:彼女いない歴26年のスンダ人イケメン技術者が、出会いがない理由は「家と会社の往復だけの生活だから」と言っていました。日本人のようなことを言う人だと思いました。
生産年齢人口が従属人口の2倍以上ある人口ボーナス状態が2030年まで続くと言われるインドネシアですが、都市部では日本と同じような先進国特有の社会問題が顕在化しています。「インドネシアは金銭的に豊かではないが、社会生活をする上で人間同士の絆が強いため心は豊かだ」というステレオタイプの価値観は、アップデートすべき時代に来ているのかもしれません。