Masuk anginだけなら体を温めて体内の空気をゲップやオナラで排出するか、コインで背中をこするKerokanをやれば治りますが、居座られてAngin dudukになると危険です。
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インドネシアの人々
インドネシアは2億6千万人の人口のうち4割がジャワ島に集中しており、300あると言われる民族の中でジャワ人が45%、スンダ人が15%を占め、総人口の9割がイスラム教徒であり、多民族他宗教のインドネシア人の求心力となるべく制定されたのがパンチャシラです。
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風邪とMasuk anginの違い
インドネシアに初めて来た人が、運悪く飛行機の隣の座席にマスクもせずに咳こんでいる人間が座った場合、スカルノハッタ空港からホテルに到着する頃には喉がイガイガし始めて「風邪うつされたかな」となります。
GuardianかCenturyで薬を買うためGoogleで「風邪を引く」を翻訳すると「masuk angin」と出てきますので、店員からはAntanginとかTolak anginとかのハーブ臭が強烈な子袋に入った液状シロップや、何故かサイの絵が描いてあるLarutan Penyegarとか薦められて以下のように勘違いしがちです。
- さすが東南アジアは現代でも伝統医療がしっかり生活に根付いているんだなー
うちの嫁はんは日本語学科出身であり、大学の講義のためネイティブスピーカーとして必ず日本人の先生が派遣されてくるのですが、その先生が病気で休講になった翌日、学生が体調を心配してあげたときの返事がこれ。
- Kemarin saya masuk angin(私、昨日masuk anginにかかっちゃって)
Masuk anginって授業を休むほどの大病ではないですから「あれっ」となったそうです。
風邪を引くのは「flu」なんですが、Googleだと「インフルエンザ」になっちゃうので、知らないと使いづらいところですが、それくらいMasuk anginはインドネシア特有の病気、というか体調不良の症状です。
セミナーに参加した席が運悪くクーラーの真下だったらMasuk angin、バリ島のクタビーチを散歩して海風にあたるとMasuk angin、朝のお通じが良すぎて大漁だったら「お腹が空っぽになったから空気が入ってMasuk anginになったー」となります。
症状としては体が冷えて倦怠感が感じられる風邪の一歩手前みたいな感じで、時には吐き気がする(実際に吐く人もいます)ので、治すには上記のAntanginとかTolak anginを飲んで体を温めてオナラとして放出するのが一番いいらしいですが、コインで背中を擦って空気を追い出すKerokanも未だに普通に行われています。
Masuk anginに居座られると危険
Masuk anginだけなら大したことないですが、昨日僕の部下の友人がAngin dudukで亡くなったそうです。まだ24歳の若い女性とのことで、なんでも夜に海岸で冷たい風を浴びてそのままマンディして寝たら翌朝はもう帰らぬ人となったとか。。。
風が体内に入るだけでなく、読んで字のごとく「居座られる」とこうなるらしいのですが、一般的に激しい運動をして汗をかいたあとに、冷たいシャワーを浴びるとMasuk anginになり、そのまま寝てしまうと居座られてしまい危険だそうです。
ただしAngin dudukはインドネシア語の医療用語では「Sindroma Koroner Akut」といい、日本語に訳すと「急性冠症候群(きゅうせいかんしょうこうぐん)」、危険因子として喫煙、糖尿病、高血圧、高コレステロール血症が上げられる、とあります。
亡くなった女性はすごく太っていたそうなので、もしかすると「海岸で冷たい風を浴びた」のは病気が発症する引き金になっただけで、実際は生活習慣病にかかっていたのかもしれません。