原料を使用する初工程からフォワードで割り付ければ自然と在庫を先に消費する計画が出来ますが、出荷に近い後工程からバックワードで割り付ければ仕掛品の製造オーダを先に生成し最後の不足分に在庫が割り当てられるため、在庫の消費優先という計画にならない可能性があります。
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インドネシアの生産スケジューラ
インドネシアの日系製造業においても生産管理システムが導入される事例が増えましたが、機械や設備の負荷を考慮した実現可能な生産計画作成という生産管理の主要課題については、Excelを使ったマニュアル作業で行われているのが現状で、今後生産スケジューラのニーズは高まるものと思われます。
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原料在庫の消費を優先するか出荷を満たすための製造を優先するか
インドネシアの製造業では、一般的にはPPIC(Production Planning and Inventory Control=生産管理部)部門に属する計画担当者が、営業部門から送られてくる内示や受注オーダを元に、製品在庫を差し引いた製品の完成日ベースの製造予定表(基準生産計画)を作成し、部品構成表(BOM)を元に部品展開を行うことで分解した工程仕掛品の製造オーダを、安全在庫日数を加味しながら日ずらしします。
その結果製造オーダがカレンダー上に山積みされますが、負荷オーバーした日のあふれ製造オーダを前倒ししたり、他の機械に移したりしながら、工場内の生産設備で消化できる生産計画を作成していきます。
この生産計画の立て方はバックワードと呼ばれますが、逆に受注オーダに必要な数量分の仕掛品を初工程から後工程へと順番に製造オーダを生成し、機械に割り付けていく方法はフォワードと呼ばれます。
実際にはバックワードで負荷を確認し納期遅れしないことが確認できてから、早く作りすぎて在庫過多にならない程度に前倒しして、稼働率が上がるような生産計画を立てますから、バックワードとフォワードのハイブリッドになることが多いようです。
どのような計画作成方法であれ、原料在庫の先入先出という観点からも、まずは原料在庫のあるものを優先して製造したいという意向が働くのが自然であり、原料を直接使用する初工程から計画するフォワードであれば自然と原料在庫を先に消費するような計画が出来ていきます。
一方で出荷に近い後工程から先に計画を立てるバックワードでは、出荷を満たすための工程仕掛品の製造オーダを先に生成し、結果として原料在庫が最後に割り当てられるため、原料在庫の消費優先という計画にならない可能性があります。
原料在庫のあるオーダから先に生産する計画を立てる
原料在庫のあるオーダから先に生産するような計画を作成するために、生産スケジューラーAsprovaでは、バックワード割付時に「受注オーダから生成される原料の補充オーダのうち、棚卸在庫以外の購買オーダや発注残から紐付いているもの」を先に割り付けていくことで、自然と最後に棚卸在庫に紐付くオーダが割りついていくことで、材料在庫のあるオーダから先に生産する計画が作成されます。
在庫以外の原料のオーダに紐付く製造オーダをバックワードで先に割り付けるために、以下の割付ルール(ディスパッチングルール)を降順に設定します。
- IF(SumIF(ME.オーダ.'子オーダ(再帰)',TARGET.品目.品目種別=='原料'&&TARGET.オーダ種別!='在庫(絶対量)',TARGET.オーダ数量)>0,1,0)
MRP(資源所要量計画)で原料の購買オーダや発注残を考慮しない場合は、製造オーダの最早開始日時に原料の使用可能日(入荷日など)を設定することで、原料制約を考慮した生産計画を作成することができますが、最早開始日時の指定はフォワード割付では機能するものの、生産設備の負荷に余裕がある状態で後工程からバックワードで割り付けた場合、効果が出ない可能性があります。
現在の原料在庫がなくなったら別の原料に切替える
初工程の基板実装工程で使用される部品B2は、現在倉庫にある在庫を使い切ってしまった後に部品B3に切り替えるという原料制約をかけることができます。
- 製造BOMの部品B2と部品B3の指図コードをIn2に設定し代替原料とする。
- 品目テーブルで部品B2の自動補充を「いいえ」に設定
- 品目テーブルで部品B2の原料切替先品目を部品B3に設定
- 品目テーブルで部品B3の自動補充を「はい(在庫+1対1生産)」または「はい」に設定
原料の在庫または発注残のない製造オーダは生産しない
原料在庫または発注残(受入確定量)を使っても不足する製造オーダは製造しないという生産計画を立てることができます。
- 品目テーブルで部品Aの自動補充を「いいえ」に設定
- 品目テーブルで部品Aの原料制約フラグを「はい」に設定
- 計画パラメタの原料制約を課すに「はい」を設定