なりすまし詐欺・オレオレ詐欺・催眠術詐欺が横行するインドネシア

2017/10/22

ジャカルタ

日本以上にインドネシアはなりすまし詐欺、オレオレ詐欺、催眠術詐欺が横行しており、情報通信省(Kementerian Komunikasi dan Informatika)はスマホのSIMカードにKTP(住民登録証)とKK(住民票)番号登録を義務付けました。

アジアに接点がある人にとってテロは比較的身近に起こる

インドネシアでスマホのSIMカードを購入するにあたって、インドネシア人なら住民登録証 KTP(Kartu Tanda Penduduk)、外国人ならKITASの番号やパスポート番号の登録が必須になったのが、2002年のバリ島のクタでの爆弾テロ事件や、2004年のジャカルタKuninganのオーストラリア大使館前爆弾テロ事件がきっかけだったと記憶していますが、当時は今みたいな世界中でイスラム過激派によるテロが国際政治を混迷させる時代が来るとは想像もしていませんでした。

自分の場合、最初に爆弾テロを身近で体験したのが1991年のインド旅行中、首都ニューデリーのコンノートプレースでバスに乗っている際に聞いた大きな爆発音、数日後タージマハールのあるアグラー駅で汽車を待っている際に、向かいのフォームで爆弾が爆発、当時はちょうど政情不安定な時期でした。

アジアと接点を持って生きていると、爆弾テロは比較的身近に起こりえるわけで、インドネシアに来てから比較的身近で事件が発生したのは以下の3回だったと記憶しています。

  1. 2000年ジャカルタImam Bonjol通りのKPU(Komisi Pemilihan Umum 総選挙委員会)近くのフィリピン大使公館前での爆弾テロ
    ⇒当時Thamrin通りにあった会社のオフィスで窓ガラスが揺れるほどの爆発音を聞いてびっくり、500m先のMandiri銀行ビルの窓ガラスが割れていたのが印象的でした。
  2. 2002年バリ島クタレギャン通りのSari Clubでの爆弾テロ
    ⇒轟音とともにデンパサールの自宅が揺れたのでバリ島で珍しく地震か、と思ってそのまま寝てしまったら、翌朝実家からの電話でテロと知る。バリ島で発生した初めてのテロだったので、バリ人の間では非バリ人に対する反感が沸き起こりました。
  3. 2016年サリナデパート前での爆弾テロ
    ⇒Menara BCAのオフィスで仕事中、テロのニュースで50階のフロアが大騒ぎになって、真下のHI前広場に出てみたら交通規制がかかっていました。
HI前広場は大変な騒ぎです。

そうは言っても現地に居ると日本のニュースで伝えられるほどの危機感も緊迫感も感じられないのですが、今年から三井住友海上の海外旅行者保険の加入料が、昨年までの年間9万円から44万円に一気に値上げされたことで、初めてインドネシアもイスラム圏としてカントリーリスクが高いという実感が湧きました。

スマホの番号にKTP(住民登録証)とKK(住民票)番号の紐付け

スマホのSIMカードと身分証明書の紐付けについては既にルール化はされていますが、行政が管理するKTPやKKのデータベースとの紐付きがあるわけでもなく、結局ショップの店員が適当な番号を登録して売ってくれるため、事実上形骸化しておりました。

スマホの番号にKTP(住民登録証)とKK(住民票)番号の紐付け

しかし今回、情報通信省(Kementerian Komunikasi dan Informatika)は、2017年10月31日から2018年2月28日までの間にe-KTPとKKのNIK(Nomor Identitas Penduduk 個人識別番号)をSIMカードに対して登録させ、行政のデータベースとリンクさせることで、SIMカードを行政の管理下に置くことで、テロやなりすまし詐欺などの犯罪への使用を未然に防止し、スパムや違法広告を根絶しようとしています。

ちなみに自分のところに3日に1回は届くなりすまし詐欺SMSはこんな感じ。

「金はこの口座に振り込んでね」というシンプルなものですが、むしろ汎用性のある文面とも言えるわけで、1000人に総当たりで送ればちょうど送金するタイミングの人に当たる可能性もあり、意外とSMSの送信費用の元は取れるのかもしれません。

生みの母親の名前は気軽に教えてはいけない

スマホの番号にKTP(住民登録証)とKK(住民票)番号の紐付け

生みの母親の名前を知られると詐欺にあうリスクがあります。

それで今回の措置は、新規購入SIMカードのみならず、現在使用中のSIMカードにも適用され、1つのNIKに対して最大3つのSIMカードしか登録できなくなるため、キャリアごとの番号を駆使して商売するプルサ販売業者から、今後商売が続けられなくなるのではないかという不安の声が上がっています。

上記期間を過ぎても未登録の番号は、30日以内なら発信不能受信可能の状態になり、さらに15日以内なら受発信不能の状態になり、さらに15日過ぎてしまうとデータ通信もできなくなるようです。

登録方法の説明書が何パターンもLINEやWhatsupに出回っており、登録方法としては4444にSMSを送った後に続けて「#KTPのNIK#KK番号#」と登録するだけらしいのですが、中には下の説明書のように「#KTPのNIK#KK記載の生みの母親の名前#」でもOKと記載されているものもあり(赤枠部分)、SIMカード登録には生みの母親の名前は必要ない、という注意勧告がSNSやブログを通して拡散されています。

スマホの番号にKTP(住民登録証)とKK(住民票)番号の紐付け

例えばクレジットカードが盗まれた場合、再発行に必要な最重要パスワードは生みの母親の名前(Nama Ibu Kandung)であるため、銀行やカード会社に成りすましで電話をかけられ、勝手にクレジットカードを再発行されて限度額まで使われてしまう可能性があります。

いずれ契約するキャリア(自分の場合はProXL)からこのようなSMSが来ますが、生みの母親の名前を聞かれることはありませんので、なりすまし詐欺のsasaran(対象)にならないように注意が必要です。