ショックを受けた際に奇声を発したり、体が勝手に踊りだしたりする東南アジア特有の現象がラタ(Latah)であり、これはインドネシア人の感受性の強さや、パーソナルスペースの狭さ故に起こるものであり、そこにはインドネシア語という極めて吸収性と拡張性の高い言語の特性が影響しているのではないかと考えます。
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インドネシアの人々
インドネシアは2億6千万人の人口のうち4割がジャワ島に集中しており、300あると言われる民族の中でジャワ人が45%、スンダ人が15%を占め、総人口の9割がイスラム教徒であり、多民族他宗教のインドネシア人の求心力となるべく制定されたのがパンチャシラです。
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インドネシア独特のLatah(ラタ)という現象
私はJohnny Andreanというインドネシアの老舗大手サロンチェーンで、月1くらいのペースで散髪するのですが、カットとシャンプー込みで12万ルピア+スタイリストへのチップで、合計15万ルピアほどかかります。ちなみにこのJohnny Andreanは、在住日本人にも人気の高いJ.COドーナッツやベーカリーのMako(旧Breadtalk)などを運営する会社のグループ店になります。
それでJohnny Andreanのようなヘアーサロンには、おかま(bencong)のスタイリストが多いことはよく知られた事実であり、私がいつも行く店舗の男性スタイリストもカマ気の多い人が数人居て、彼らは甲高い声で女性スタイリストとおしゃべりばっかりしているのですが、ふざけあって誰かを後ろからドンッと驚かすと「Kodok カエル」とか「Ko%tol 放送禁止 笑」とか奇妙な単語を条件反射で口走ります。
日本人の感覚では突然脅かされたらウワッとかキャーとかいう反応が普通だと思いますが、この奇異な現象はインドネシアでLatah(ラタ)と呼ばれており、嫁さんの友人にも後ろからオイッって脅かすとモニョンモニョンモニョンと条件反射で口走ってしまう人がいて、これが東南アジア特有の現象というのが非常に興味深い。
LatahをGoogleで翻訳すると「おしゃべり」になりますが、嫁さんいわくLatahという言葉がおしゃべりという意味で使われることはないものの、Latahにかかる人は全般的にcerewet(おしゃべり)な傾向があるそうです。
Latah(ラタ)と感受性の強さの関係
Latahのひどい症状の人は「泳げ」と言われればその場で泳ぐ動きをするし、「踊れ」と言われればその場で踊るそうなのですが、これはもはや一種のhipnotis(催眠術)ではないかと思われます。
インドネシアではhipnotisによる犯罪が多く、モールで後ろから肩をポーンと叩かれただけで、相手の言うがままにATMで現金を引き出して渡してしまうという事例を頻繁に聞くのですが、これはインドネシア人の民族的特長である思い込みの激しさから来るのではないでしょうか?
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インドネシアの催眠術を悪用したATM詐欺の手口
インドネシア人の感受性が強いという民族的特徴が催眠術にかかりやすい要因だと考えられ、日本人は相手とのパーソナルスペースが広く、挨拶は握手なしのお辞儀で済ますため、他人からボディタッチされれば好奇心より警戒心が上回り、催眠術による犯罪が成立しにくいのです。
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私の持論ですが、このインドネシア人の感受性の強さや、他人との垣根が低いパーソナルスペースの狭さなどは、インドネシア語という極めて吸収性と拡張性の高い言語の特性から醸成されてきたものではないかと考えるわけです。
日本人で自分の体に自由に霊に乗り移らせることができるのは恐山のイタコさんくらいだと思いますが、インドネシアでは大きな会社とか工場には必ず1人か2人、霊に取り付かれて悩んでいる人がいると思います。
私は霊魂は感受性の強い思い込みの激しい人の体に好んでに取り付くものだと考えているのですが、インドネシア人が日本人によりも霊の存在を信じる人の比率が圧倒的に多いことから、霊媒と思い込みも紙一重なのかもしれません。
ヘアーサロンのおかまのスタイリストも、まわりに一人でもびっくりしたときに奇妙な反応をする人がいると、思い込みが激しいので軽い催眠術にかかった状態でLatahが伝染していくのだと思います。
IKKOさんとかKABAちゃんとかも感受性が強そうですし・・・。