生産管理システムの導入と運用における課題と解決策

2017/07/22

生産管理システムの導入と運用における課題と解決策を構造化した図解

生産管理システムは、材料が倉庫に入荷してから製造工程で加工されるまでの生産活動と、製品倉庫以降の販売活動をカバーします。材料が製造工程に投入された時点で材料費と加工費が発生し、製品になった時点で製造原価化し、出荷した時点で売上原価化する一連の原価の流れを管理するのが原価管理システムです。

インドネシアの生産管理システムと製造業DXの関係を構造化した図解

インドネシアの生産管理システム

製造業の至上命題は生産性向上と納期遵守です。製造原価、売上原価、販売管理費の違いを理解することが重要です。勘定連絡図は製造業の原価計算に役立ちます。

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この記事でわかること

  • 生産管理システムは材料の入荷から製品の出荷までを管理します。
  • インドネシアでのシステム導入にはトップダウン型とムシャワラ型の2つの方法があります。
  • システムの運用開始には実地棚卸に基づく在庫情報の反映が重要です。
  • 製造指図は受注情報からMPSを作成しMRPを回すことで発行されます。
  • 在庫管理システムは数量と金額の流れを管理し、原価管理をサポートします。

要件を定義してシステムの仕様を決める

生産管理システムの導入においては、現場の作業に対してシステムがどのように指示を出し、実績を記録するかという運用フローを確定する要件定義が重要です。インドネシアの現地法人にシステムを導入する際、日本本社の情報システム部と現地で導入を担当する日本人スタッフが中心となり、要件を決めることが一般的です。

しかし、現地のインドネシア人スタッフに対して「日本人が設計したシステムを使ってください」とトップダウンで進める方法と、インドネシア人スタッフを交えて意見交換を重ね、合意を得るムシャワラ型の方法があります。

  1. トップダウン型

    グループ全体で標準仕様を持たせるため、日本主導の要件定義になります。

  2. ムシャワラ型

    インドネシア人スタッフが使うシステムなので、現地で納得いくまで話し合い、全員一致を目指します。

トップダウン型では、日本サイドとインドネシア現法の駐在日本人の強力なリーダーシップが求められますが、そうでない場合や現法の資本関係でパートナーサイドから派遣されたスタッフが影響力を持つ場合、インプリメンテーションのフェーズで反発を受けることがあります。

「インドネシアではこんなやり方はしない」「マスタの数字がおかしいが日本人が決めたから関係ない」といった声が上がることもあります。さらに、「システム導入に大金をかけているから給料が上がらない」といった不満が現場で広がることもあり、現場を歩くたびに緊張感を感じることもあります。

システムの仕様が現場で実体化される

すべては会議室でのミーティングで決めた要件定義が基盤となります。システムの標準機能で足りない部分はアドオン開発で補い、完成したシステムの操作説明会やトレーニングで現場スタッフの声を聞きながら、仕様変更や追加開発を行います。システム運用の始まりから終わりまで、部門担当者ごとにデータ入力する運用リハーサルを通じて、実際の運用に必要な部門間の連携方法を確認します。

現場での人とモノの動きに合わせて、システムから移送指図、製造指図、出庫指図、ピッキングリストなどの指示を出し、実績を入力していくインプリメンテーションのフェーズでは、これまでの理論が実体化される感覚を味わいます。業務システム導入のやりがいや楽しみはまさにこの瞬間にあります。

しかし、運用時には要件定義で想定していなかったトラブルが発生することがあります。想定していたものの、運用に与える影響が予想以上に大きい場合、現場の人に負荷をかけるマニュアル作業が発生し、システムの運用を阻害します。

事例:例えば、現品票を発行するラベルプリンターが故障した場合、シール方式のラベル専用用紙ではなく、通常の複合機からA4の紙でラベルを出力し、セロテープで現品に貼り付ける必要があります。広い倉庫でセロテープとカッターを持ち、A4サイズのラベルを現品に貼り付ける作業は非常に大変です(経験談)。

要点:運用想定外の周辺機器故障でも、現場作業が急増しシステム運用を阻害することがあります。

生産管理システムのインプリメンテーション作業

実地棚卸に基づく在庫の反映と該当倉庫の場所への在庫移動

生産管理システムの運用開始にあたって、まず実地棚卸に基づく在庫情報をシステムに反映することが重要です。製造業では、材料や資材の在庫数量と場所を確定してから、システムで製造指図を発行する日程を決定します。既に倉庫にある在庫には現品票を貼り付ける方法が2通りあります。

  1. 棚卸入庫したすべてのロットに対してロット検査を行い現品票を発行
  2. 発行済みP/Oをバックデートで入力し、入荷処理後の受入検査を行うことで現品票を発行

製造指図で引き当てられたロットの材料や資材は出庫指図としてリンクされ、倉庫からの払出時に現品票のバーコードをスキャンすることで出庫実績を計上します。バーコードには品目コードとロット番号が含まれる必要があります。QC部門によるロット検査や受入検査で発行された現品票が貼り付けられた現品を、倉庫の所定の棚に格納するために移送指図を発行します。

棚番号は倉庫内で現品を移動する際に棚に貼ってあるバーコードをスキャンすることで移送実績に計上されます。

受注情報からMPSを作成しMRPをまわすことで製造指図を発行

現場の在庫とシステム上の在庫が一致してから、受注情報から基準生産計画(MPS)を作成し、MRPを回すことで製造現場の生産バッチサイズに合う製造指図をシステムから生成します。この際、現場の担当者から問われるのは以下の2点です。

  1. 製造開始日が現状のリードタイムどおり手番ずらしされているか。
  2. 製造ロットサイズが実情に合致しているか。

マスタの精度が高まりシステムの運用が定着すれば、システムから出される製造指図に基づいて機械的に実務が行われるようになります。しかし、導入直後は現場の運用どおりにシステムから製造指図が発行されることが、システムに対する信頼性を得るために重要です。

出庫指図の発行と出庫実績の計上

現場では指示は製造担当者が出しても、実績は倉庫担当者が計上することが多く、指示と実績のタイミングも異なるため、生産管理システムでも基本的には2段階処理になります。

  1. 指図を発行し実績を計上(製造・出庫・移送)
  2. 情報を作成して実績を計上(P/O・検査)

出庫指図は製造指図にリンクして生成されます。通常は製造担当者が行い、倉庫から現品を製造現場に移動するのはフォークリフトを扱える倉庫担当者です。出庫指図上で指定するのは品目コードとロット番号と数量のみであり、どの棚番から抜き取ったかは倉庫担当者が作業をする際に棚に貼ってあるバーコードをスキャンすることで移送実績に計上します。

  1. 倉庫への移動:指図でFrom「品目コード+ロット番号」とTo「倉庫」を指定し、実績でTo「棚番号」を計上
  2. 倉庫からの移動:指図でFrom「品目コード+ロット番号」とTo「倉庫」を指定し、実績でFrom「棚番号」を計上

投入実績と製造実績の計上

生産実績計上時にBOM(部品構成表)に設定してある標準必要量を自動投入するバックフラッシュ方式であれば、工場内にあるすべての現品は生産管理システムの品目コードで識別できます。しかし、投入するタイミングと生産実績が上がるタイミングにズレがある場合、品目コードには集約されない工程在庫が現場に存在します。

  1. 品目コードのある仕掛品
  2. 品目コードのない工程内仕掛品

材料は入荷しただけでは費用化しませんが、加工費が上乗せされ仕掛品となった時点で会計上は当月発生費用(費用)となります。月末になっても製品になりきれず仕掛品として滞留していれば、仕掛品在庫(資産)に計上されます。そして仕掛品在庫は製品となった時点で当月製品製造原価となり、月末になっても売れ残って滞留していれば製品在庫(資産)に計上されます。

材料倉庫と工場までが生産管理で製品倉庫以降が販売管理

生産管理システムの機能は大きく以下の3つに分類されます。

  1. 購買管理(材料倉庫)
  2. 製造管理(工場)
  3. 販売管理(製品倉庫)

場所で保管される現品が生産に関わるモノか販売に関わるモノかによって以下の2つに分類されます。

  1. 生産管理(材料倉庫と工場)
  2. 販売管理

製品の製造実績が計上されるタイミングで現品は生産場所から販売場所に移動し、ここから先は販売管理の範疇に属します。

生産管理と販売管理という切り方

生産管理の受払実績を通じて、製品が月に何個、どのくらいの費用をかけて製造されたかを示す製造原価を算出できます。一方、販売管理の受払実績を用いることで、月初の製品在庫と当月の製品出来高から、実際に売れて出荷された分の費用である売上原価を算出します。

  • 製品総平均単価=(月初製品在庫+当月製品製造原価)/(月初製品数量+当月製造数量)
  • 売上原価=製品総平均単価x出荷数量

売上原価を求めるには販売管理の出荷実績が必要であり、売上総利益を計算するためには販売管理の売上実績が不可欠です。

  • 売上-売上原価=売上総利益

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在庫管理と原価管理という2つの視点

在庫と原価の観点から工場を考えると、大きく3つの場所に分けられます。それぞれの場所を管轄する部門は通常異なります。

  1. 材料倉庫(RM warehouse): 購買部門が入荷実績を管理します。
  2. 製造工程(Plant): 製造部門が投入実績と製造実績を管理します。
  3. 製品倉庫(Finished good warehouse): 物流部門(営業部門)が出荷実績を管理します。

製造原価を算出するためには、購買部門と製造部門が持つ以下の情報が必要です。

  1. 材料倉庫の月初在庫
  2. 材料倉庫の入荷実績
  3. 製造工程の月初在庫
  4. 製造工程の投入実績
  5. 製造工程の製造実績

売上原価を計算するためには、物流部門(営業部門)が持つ以下の情報が必要です。

  1. 製品倉庫の月初在庫
  2. 製品倉庫の入庫実績
  3. 製品倉庫の出荷実績

製造原価と売上原価の両方を計算するためには、購買部門、製造部門、物流部門(営業部門)が持つすべての情報が必要です。

すべての受払データと在庫データは部門情報を保持している

業務システムにおけるすべての受払データは、発生部門の情報を保持しています。また、受払の結果として倉庫に入る在庫データも、倉庫を管理する部門情報を持っています。物理的な組織内では、各部門がExcel形式のデータをメールで送信し、取りまとめてからマージする必要があります。この際、各部門のデータの対象期間やフォーマットが統一されていることが重要です。

生産管理システム上で管理される実績データも部門ごとにまとめられており、売上総利益を計算するためには、異なる部門コードを共通の部門コードに変換する必要があります。生産管理システムの受払いに関わる部門(購買・製造・販売)は、在庫が置かれる場所を管理する組織図上の主体です。しかし、会計システムや原価管理システムでは、ラインや製品グループなどが集計単位となります。

システム上では、帳票の切り口や権限の切り分けを目的として、実在しない統括部門を設定したり、特定の部門に負担させることができない費用を計上するための架空の共通部門を設定することがあります。

在庫移動の指図と実績

インドネシアの工場では、材料倉庫に品目別に区分された材料が積み上げられ、入出庫の履歴が手書きのストックカードに記入され、バインダーに閉じられて掛けられています。この手書きの履歴は、材料を払い出す、もしくは受け入れるタイミングで記入されるため、実績に基づく品目別の受払い履歴となります。

しかし、実際には倉庫部門担当者が材料を動かす前に、製造部門担当者から「払い出してほしい」という依頼が来ており、製造部門担当者が材料払出を依頼したのは、生産管理部担当者から「製造してほしい」という指図があったからです。

工場の製造現場で生産を開始する際には、材料倉庫で材料をピッキングして出庫し、現場に移動する必要があります。これらの現場の物理的な動きは、生産管理システム上で以下のように対応します。

  1. 生産開始⇒製造指図+出庫指図
  2. 材料倉庫で材料をピッキング⇒ピッキングリスト
  3. 出庫して現場に移動⇒出庫実績

払出入力の省略

インドネシアの日系工場では、ここ数年で人件費が高騰しており、間接部門の人件費削減が重要な課題となっています。余剰人員がない中で、システム運用を効率化することが求められています。

製造指図時に払出が発生する引当をやめ、製造実績入力時に出来高に見合う標準投入数量をBOMから計算して自動で引き落とす方法(逆ばらし=Back flush)や、材料倉庫を工程倉庫と定義して製造現場と連続性を持たせることで、払出そのものを発生させない運用が考えられます。

ただし、標準数量は理論値であり、在庫の正確性を維持するためには、定期的に実在庫との差異を在庫調整する必要があります。

指図を発行して実績を入れる意味

指図を発行して実績を入れる行為の目的は、指図情報と実績情報の管理を分ける必要がある場合にあります。特に、在庫移動の管理が重要な場面では、担当者やタイミングを明確にするためにこの手法が用いられます。以下の4つの在庫移動がその対象となります。

  1. 製造指図で引当てられた材料を、材料倉庫から製造現場への払出⇒払出出庫指図
  2. 外注先へのPOに基づき引当てられた材料・仕掛品を、倉庫から外注先へ払出⇒外注先出庫指図
  3. 倉庫間での在庫移動⇒移送指図
  4. 廃棄⇒廃棄指図

在庫管理の位置づけ

事業を行う上で在庫管理が重要であることは言うまでもありません。在庫管理業務の効率化や在庫データの有効活用のために、在庫管理システムが導入されます。これにより、商品や材料の入荷業務、日々の生産ラインでの製造実績収集、顧客への出荷業務までをシステム化し、在庫管理システムを中心とした統合業務システム(ERP)が形成されます。

この際、データ入力の簡素化のためにバーコードリーダやハンディターミナル、POP端末、iPad等のIT機器が利用されます。

在庫管理は業務フローの中核に位置し、販売・購買・生産のすべての業務と密接に繋がっています。システム化がうまく行なわれれば、社内業務データの正確性と業務効率の向上に大きく貢献します。

製造業の在庫管理では、材料・仕掛品・製品という3つの品目種別の受払いが在庫管理システムの実績入力機能から行なわれます。入庫(投入実績)や出庫(生産実績)がマニュアル入力か自動入力かを決定するためには、部品構成表(BOM)が必要です。このBOMもどのレベルまで設定するかなど、製造業の在庫管理システム導入には事前の要件定義が重要です。

事例:製造業で在庫管理システムを初めて導入する場合、受払実績入力は材料と製品のみとし、仕掛品は月末の棚卸数量からシステムに反映させる方法があります。これにより、段階的に工程の仕掛品在庫の管理に展開していくことができ、現場の負担を軽減します。

要点:初導入は材料・製品の受払から始め、仕掛品は棚卸反映で段階展開すると現場負荷を抑えやすいです。

在庫管理システム上での原価管理

業務フローには数量と金額の2つの流れがありますが、数量の流れを管理するのが在庫管理システムです。主要機能は現状在庫一覧、受払履歴管理(ストックカード)、受払実績入力の3つです。

  1. 現状在庫一覧
  2. 受払履歴管理(ストックカード)
  3. 受払実績入力

販売業では、購入品の入出庫管理と原価(単価)の管理をリアルタイムで行うために、移動平均法で計算するか、ロット管理を行い先入先出法で管理するかの選択があります。購入品の原価には購入価格だけでなく、送料や通関費用などの付随費用も考慮する必要があります。特に輸入品では付随費用の比率が高く、これを在庫管理対象にする際の品目配賦が課題となります。

製造業では、材料を仕入れて製造工程に投入し、仕掛品を経て製品となります。材料の原価は管理可能ですが、仕掛品や製品の原価管理は複雑です。材料単価は移動平均で計算できますが、労務費や経費は月末に確定するため、標準原価を使用し、月末の実際原価との差異を調整する必要があります。

製造業の在庫管理

実際原価計算では、材料費、労務費、経費を月末にバッチで計算します。材料費は「月次総平均単価×実績投入数量」で計算し、労務費と経費は会計システムで集計された元帳(G/L)の残高を作業工数で按分します。

在庫評価の方法としては、月次総平均と移動平均があります。移動平均法で最新の平均単価をリアルタイムに更新し、マージンを乗せて販売価格を決定する場合、入荷の入力を日付順に行う必要があります。

仕入時に発生する2方向の業務フロー

FOB(Free On Board)は本船引き渡しで、積荷の材料は船上在庫として扱われます。日本の材料仕入先からインドネシアの自社へのInvoice到着日を債務(A/P)の計上日としますが、会計担当者としては、本船引き渡し(入荷)からInvoice到着までの期間中に、将来A/Pになる取引を把握したいという要望があります。

このため、本船引き渡し(入荷)時にA/P Accruedという未実現債務勘定に溜めておき、Invoice到着時にA/Pに振替え(re-class)ます。

在庫管理側のフロー

  1. 物品の在庫数量が増える
  2. 物品の単価が更新される(移動平均の場合)

会計側のフロー

入荷時の仕訳請求書到着時の仕訳

  • (借) 仕入 10,000    (貸) 仮買掛 10,000
  • (Purchase)    (A/P Accrued)
  • (借) 仮買掛 10,000    (貸) 買掛金 10,000
  • (A/P Accrued)    (A/P)

間接費の処理方法

仕入品目の単価が発注書(P/O)の品目購入金額のみで構成される場合は問題ありませんが、通常は送料や輸入申告書 (Pemberitahuan Impor Barang=PIB)に含まれる関税(Bea Masuk)、PPh21、通関許可証(Surat Persetujuan Pengeluaran Barang=SPPB)などのCIF(Cost, Insurance and Freight)費用が発生します。これらの仕入諸係の処理方法としては、主に以下の2通りがあります。

発生時に費用として計上(金額が小さい場合)

  • (借) 仕入諸掛 400    (貸) 通関代行業者買掛 400
  •   (Expense)      (A/P Accrued)

販売時に売上原価として計上される(金額が大きい場合)

  • (借) 仕入 7,000    (貸) フォワーダー業者買掛 7,000
  •     (Purchasing)    (A/P Accrued)

仕入勘定に計上するということは、月末の決算整理仕訳で棚卸資産全体の原価の中に、日本のフォワーダー業者からのインボイス金額を一括計上させたいということです。取引発生時点の会計仕訳上で、個々の品目ごとに間接費用を配賦した上で仕入勘定に積み上げるような細かい処理は必要ありません。会計上の仕訳を品目ごとに分ける必要性もありません。

システム上での間接費の品目配賦の実装方法

取引発生時点での会計仕訳上は、間接費を品目に配賦する必要はないとしても、適切な販売価格を決定するために、特定の時点での品目単価に間接費を反映させることが求められます。

  • CIF費用をその都度反映させた上で移動平均単価をアップデートしたい。
  • 期末在庫の評価額算出のために、在庫管理システムの中でCIF費用を反映させた品目単価を自動的に計算して欲しい。

このような理由から、在庫管理システムで取引の都度、品目の単価に間接費を配賦する必要がある場合、どの画面から入力すればよいかが問題となります。間接費用の金額は必ずしも発注時(P/O発行時)や入荷時に判明するとは限らず、出荷後にフォワーダー業者からのインボイスが到着することもあります。そのため、購買システムで物品の発注時または入荷時に間接費を入力することは難しいです。

入荷画面に仕入諸掛を入力するフィールド(別タブ)を追加

入荷処理の仕訳が元帳転記されると入力できなくなるのが難点ですが、その場合は転記をペンディングするか、一旦転記して事後で調整することになり、市販のERPパッケージではこの方法がよく採用されています。

Direct Invoice機能でP/O番号または入荷番号またはインボイス番号と紐付け

Direct Invoice機能とはP/O発行も入荷もせずしてA/Pを計上できる機能であり、ここに品目を特定できるいずれかのキーに紐付けることで、間接費の品目への配賦が可能になります。

サービス(非棚卸品目=uncounted item)の購入として処理し購買モジュールから入力

P/O発行後に入荷処理するか、もしくはP/Oなしで入荷するPurchase Direct機能で、品目のP/Oとを紐付ける仕組みを構築する方法で、この場合は在庫管理システム上で管理できる原価は購入品のみになります。

事例:出荷後しばらくしてからフォワーダー業者のインボイスが到着するケースもあり、発注時や入荷時には間接費を入力できないことがあります。

要点:間接費は発注・入荷時点で金額が確定しないことがあり、後追い入力できる仕組みが必要です。

ドキュメント紐付きが切れる要因

インドネシア国内取引のシステム業務フローにおいて、ドキュメント(伝票)がすべて1対1に対応する場合、無駄のないフローが実現できます。具体的には、受注登録で受注番号が採番され、発注登録時に受注番号を選択することで受注情報を呼び出し、入荷登録時に発注番号を選択することで発注情報を呼び出します。

さらに、出荷登録時に入荷番号を選択し、インボイス時に出荷番号を選択することで、それぞれの情報を呼び出すことが可能です。決済登録時にはインボイス番号を選択してインボイス情報を呼び出します。

  1. 受注登録で受注番号が採番される。
  2. 発注登録時に受注番号を選択することで受注情報を呼び出す。
  3. 入荷登録時に発注番号を選択することで発注情報を呼び出す。
  4. 出荷登録時に入荷番号を選択することで入荷情報を呼び出す。
  5. インボイス時に出荷番号を選択することで出荷情報を呼び出す。
  6. 決済登録時インボイス番号を選択することでインボイス情報を呼び出す。

受注管理または出荷管理で売上登録がされるシステムでは、会計でのインボイス登録がスキップされ、A/R発生のタイミングは売上登録時になります。通常、受注と発注は紐付きませんが、商社などの非製造業では、発注が受注に基づいて行われることがあります。製造元から直送出荷されるとドロップシッピングとなり、入荷と出荷がスキップされます。

生産管理システムを開発する際、業務フローの中でドキュメントの紐付きが切れないように注意すべき処理として、以下のようなものが考えられます。

  1. 発注
    • 受注前の見込み発注
    • 在庫分は発注せず引当
    • 複数の受注分をまとめて発注
  2. 入荷
  3. 出荷
    • 分納
    • 打切
    • 返品
    • 複数受注(発注)分をまとめて出荷(入荷)
    • 受注前に在庫からサンプル出荷(入荷)
  4. インボイス(A/R)
    • 複数出荷分をまとめてインボイス(月まとめ)

よくある質問|生産管理システムの導入・運用

要件定義から原価・間接費まで、導入現場で繰り返し確認される点を短くまとめます。

トップダウン型とムシャワラ型の違いは何ですか?

トップダウンは日本主導で標準仕様を優先し、ムシャワラは現地スタッフとの合意形成を重ねます。リーダーシップや資本関係によっては、トップダウンでも実装段階で反発が出ることがあります。

運用開始時に最初に必要なことは何ですか?

実地棚卸に基づく在庫のシステム反映です。場所と数量が確定してから製造指図の発行日程を決め、現品票とバーコード運用へつなぎます。

仕入諸掛は会計仕訳で品目ごとに配賦必須ですか?

取引発生時点の会計仕訳では、品目ごとの細かい配賦は必須ではありません。一方で販売価格や在庫評価のために、在庫側でCIF費用を単価へ反映したいニーズがあり、入力タイミングの設計が論点になります。