インドネシアのコーヒーは1600年代にオランダ軍がアラビカ種のコーヒーノキをジャワ島に持ち込んでプランテーション栽培させたのが始まりと言われており、ロブスタ種栽培を中心に生産されるジャワ島でも、西ジャワのガルングン(GALUNGGUNG)近辺で良質なアラビカ種が生産されています。 インドネシアのコーヒー 「インドネシアのコーヒー」と聞いて思い浮かぶのはオランダ植民地時代に持ち込まれたコーヒーノキを起源とするプランテーション、北回帰線と南回帰線の間に東西に連なるコーヒー栽培に適した地理的風土、多数の高原地帯で栽培され風味も味わいも異なるご当地コーヒーなどです。 続きを見る
西ジャワ州のスンダ人(Sundanese)とスンダ料理
ジャカルタには西ジャワのバンドゥン(Bandung)、スバン(Subang)、インドラマユ(Indramayu)、チレボン(Cirebon)などからの出稼ぎ者が多く、按摩屋やカラオケ屋に勤めるお姉さんのうち、美人でスタイルはいいけれども、若干の虚言癖のあるお姉さんがいたら、高い確率で西ジャワ出身のスンダ人です(偏見)。
インドネシアにはジャワ人の9,000万人に次いでスンダ人は3,000万人もいるため、ジャカルタのオフィスや工場でスンダ人女性と出会う確立が必然的に高くなり、さらに父方がジャワ人で母方がスンダ人のジャワスンダ(Jawa-Sunda)と呼ばれるインドネシア人も多く存在します。
インドネシアで民族を分ける基準はDNAではなくアダット(Adat)という生活共同体での慣習や規範であり、ジャワスンダの人がどちらの民族に属するかは、両親の下で育った環境に依存しますので自動的に生まれた場所によって決まる場合がほとんどです。
「スンダ人は色白」と言われるようにジャワ人の女性があこがれる色白の肌を持つスンダ人の女性は、バンドゥンやスカブミ(Sukabumi)など高原地帯に先祖のルーツを持つ人達限定であり、スバンやインドラマユなど平地のスンダ人女性には、少し色黒のヒタムマニス(hitam manis 色黒美人)が多いようです。
海外で日本食と言えばスシとテンプラ(最近はラーメンかも)、インドネシア料理と言えばナシゴレンとかサテになるんでしょうが、インドネシアの地域名を冠したご当地料理の中で、名前から料理や店お雰囲気がパッと思い浮かぶのは、小学校高学年の組体操のピラミッド並みに小皿が積み重なったMasakan Padang(パダン料理)と、大小のざるに盛られた仕込み済みの魚や野菜を選んで、その場で加熱して食べさせてくれるMasakan Sunda(スンダ料理)が有名です。
そしてジャカルタの東160kmほど、西ジャワのタシクマラヤ(Tasikmalaya)にあるガルングン(Garunggung)火山は、1982年の大噴火による噴煙で、ロンドン発クアラルンプール経由オーストラリアのパース行きブリティッシュ・エアウェイズ9便のエンジン故障事故を引き起こし、墜落直前の危機一髪のところエンジンが回復し、ジャカルタのハリム空港に不時着したことで、火山灰が及ぼす飛行機への悪影響が初めて認識されたことで有名な火山となりました。
この噴火を最後に現在までガルングン火山は活動を休止しているようですが、何度も山頂付近から噴火を繰り返してきた成層火山だけあって、長年に渡って蓄積されてきた火山灰層がコーヒー栽培に適した土壌を作り上げ、ジャワ島では珍しい良質なアラビカ種のコーヒーの生産地になっています。
ロブスタ種の生産が多いジャワ島で栽培されるアラビカ種のコーヒー
もともとインドネシアのコーヒーは、1600年代にオランダ軍がアラビカ種のコーヒーノキをジャワ島に持ち込んで、プランテーション栽培させたのが始まりと言われていますが、病気(さび病)の被害が広がるにつれて耐性の強いロブスタ種(カネフォーラ種)に切り替えられていき、現在ではインドネシアのコーヒー生産の90%はロブスタ種になってしまいました。
コーヒーノキ(コーヒーの木)は「アカネ科コフィア属の植物」を意味する学名に対する和名であり、今飲んでいるコーヒーの豆が採れる植物全般を日本語で表現するときはこのカタカタ和名で表現します。
ガルングン産コーヒーの特徴としては、コーヒー独特の香りは強くありませんが、舌に刺さるようなサラッとした触感が感じられ、カップ1杯の飲み終わり頃に心地良い程度の酸味を感じはじめます。
風味の傾向
- 香り ★
- 苦み ★★
- 酸み ★★
- コク ★★
- 甘み ★
ロブスタ種のコーヒーは、コーヒー独特の苦味が強いので、氷が溶けるにつれて薄まっていくアイスコーヒーのブレンド用に適しており、残りの10%のスペシャルティコーヒーとなりうるアラビカ種のコーヒーが、スマトラ島を中心にインドネシア各地で栽培されていますが、ジャワ島にも良質なアラビカ種のコーヒー栽培農園がガルングン火山周辺に残っています。
現状、国内で流通する西ジャワのアラビカ種の豆は、輸出規格を満たさないグレードの低いものが多いとも言われており、国内に付加価値産業が少なく、インドネシアにとってコーヒーが外貨獲得手段として貴重な商材である以上、これは仕方のないことかもしれません。