NIB取得義務

ビザ取得と会社設立

インドネシア投資を活性化し国内事業活動の許認可手続きを簡素化する流れ【OSSとオムニバス法】


事業許認可システム(OSS)で取得すべき事業基本番号(NIB)とは

弊社のようなIT業者は新規のお客様と取引させていただく際に、会社設立証明書(AKTA Pendirian)や法務人権省(Kementerian Hukum dan Hak Asasi Manusia=Kemenkumham)の決定書(SK=Surat Keputusan Pendirian)、会社登録証(TDP =Tanda Daftar Perusahaan)や営業許可書(SIUP=Surat Izin Usaha Perdagangan Menengah)のコピーの提出を求められることがありますが、今回ある大手家電メーカー様との取引を開始するにあたり、初めて事業基本番号(NIB=Nomor Induk Berusaha)の提出を求められました。

このNIBとは何なのかという話ですが、これまでインドネシアでインドネシア国内投資会社(PMDN=Penanaman Modal Dalam Negeri)を設立するには、まずはオフィスの賃貸契約を済ませたら、管轄の地方政府から会社所在地証明書(Domisili Perusahaan)を発行してもらい、法務管理局(Ditjen AHU=Direktorat Jenderal Administrasi Hukum Umum)で会社名の承認を貰い、NotarisでAKTA Pendirianを作成し、中央政府機関から上記のSKやTDPを取得し、Domisili Perusahaanに記載されるオフィスの所在地を管轄する地方政府からSIUPを取得し、税務署から納税者登録番(NPWP =Nomor Pokok Wajib Pajak)を取得する、というややこしい手続きが必要でした。

また外国投資会社(PMA=Penanaman Modal Asing)の場合は、投資調整庁(BKPM=Badan Koordinasi Penanaman Modal)から、外資による投資規制分野であるネガティブリストに抵触しないか等を審査された上での事業認可を受ける必要がありました。

それが2018年7月からはPMDN、PMA問わず、会社設立の手続きはすべてBKPMが運営する事業許認可システム(OSS=Online Single Submission)を通すことで一元化され、AKTA作成と同時にまずはNIBを取得すべしという流れに大きく変更になりました。

OSSに関しては、外資企業がインドネシアにPMAを設立する際の手続きがオンラインで簡単にできる仕組み、程度の理解しかありませんでしたが、過去に政府やBKPMに登録された既存の会社情報はOSSに引き継がれないため、結局すべてのインドネシアの企業がNIBと営業許可書(IU=Izin Usaha)と(IL=Izin Lokasi)をOSSの中で取得しなければならないと、PP (Peraturan President) No.24 Mei 2018の中で記載されていました。

NIBはTDPと輸入業者識別番号(API)と通関基本番号(NIK)の代わりになるもので、今後この3つの書類を別途取得する必要はありません。

インドネシア標準産業分類(KBLI)の再編によりOSSからNIBを取得できないという問題

APIを登録している輸入会社は2019年1月末までにNIBの登録を行わないと輸入が出来なくなるので困りますが、OSSからNIBやIU、ILを取得する期限は特に定められていないので、弊社のように輸入を行わない会社の場合、業務に支障が出るわけではありません。

そのためNIBを取得するモチベーションが湧かなかったのですが、今回某大手電器メーカーさんからNIBの提示を求められ取得手続きを開始したところ、大きな問題が発覚しました。

弊社の設立時に登録済のKBLIは6202(コンピューターとコンピューター設備の運用に関するコンサルテーション=AKTIVITAS KONSULTASI KOMPUTER DAN MANAJEMEN FASILITAS KOMPUTER LAIINYA)という4桁コードなんですが、OSS画面上でMaksud(意図≒業種)とTujuan(目的)を選択すると62029という5桁コードが生成されてしまいマッチしないのです。

OSSへの登録

OSS内の業種と目的の選択画面

KBLIはインドネシア中央統計局(BPS=Badan Pusat Statistik)が作成する業種分類であり、多様化し細分化するインドネシアの経済活動に合わせて2015年、2017年と改定されており、2018年10月以前に設立された会社のKBLIは2017年版に準拠しています。

一方でOSS内で適用されるKBLIは2018年の最新版で、しかも桁数が変わってしまうため互換性がなく、その結果発生した問題がこれです。

そういうわけでNotarisでAKTAを作り直し、法務人権省(Kementerian Hukum dan Hak Asasi Manusia=Kemenkumham)からの決定書類であるSKを再発行してもらうことになりましたが、これには当然少なからぬ費用が発生します。

労働法に基づく企業側の負担を緩和し投資促進を促すオムニバス法

インドネシアの労働法(2003年法律第13号)の規定により企業側が感じる3大負担といえば、インフレ率に比例せず上がり続ける最低賃金、解雇に支払うべき退職手当(uang pesangon)勤続功労金(uang penghargaan masa kerja)受け取るべき権利喪失の保障(uang penggantian hak yang seharusnya diterima)の負担、そして最大の負担となっているだろうと推測されるのが法外に手厚い退職金です。

現在ジョコウィ政権が国民評議会(DPR=Dewan Perwakilan Rakyat)に提出しているオムニバス法案では労働法と税制面での規制緩和、行政許認可の簡素化など、企業の投資促進とそれに伴う雇用の創出を目的としています。

企業側にとっては投資や事業継続のための追い風となる法案ですが、今後は現行労働法で守られている労働者の権利を死守しようとする労働団体との軋轢が予想されます。

法人税を現行25%から2025年までに段階的に20%まで引き下げることで、税制面から事業が継続しやすい環境を支援し、巨大な国内市場を背景に海外からのハイテク産業の投資を呼び込むことで、国内で付加価値が創出できるようになり、長年の一次産品輸出国からの卒業を目指すことになります。





おすすめ記事一覧

大統領選挙で考えたギャップにハマるということ 1

ギャップにキュンとするというのは人間の本能みたいなもので、ジョコウィの私利私欲のない素朴なおじさん像と、その実強力なリーダーシップを発揮する実務派という内面が、一見普通の人だが実はスゴイというギャップ好きのインドネシア人に大ウケして、大衆は一種の集団催眠状態にあるようです。

情報の質のレベル 2

見える化された結果を共有化することで問題点が共通認識されますが、共有化が進むことで情報の持つ希少価値が薄れて困る人間がいる場合、有益な情報を独占することでポジションを高めようという政治力が働きます。

インドネシアのスタバの店員にありがたい人生の教訓を教わった件 3

いつものスタバでいつものアイスコーヒーを注文していると、だいたいなじみの店員が「今日は珍しい時間に来たねー」とか「今日もいつものアイスでいいのかなー」とか馴れ馴れしくフレンドリーに話しかけてきます。

宗教によって異なる「死んだらどうなる」の考え方 4

キリスト教もイスラム教もともにユダヤ教から派生した宗教であり、それぞれイエス・キリスト(本人が神)またはアッラーという唯一無二の神を信じます。

株価操作なんてインドネシア株では当たり前 5

株価は売り注文と買い注文により変動し、大量の売り注文を買う注文がたくさん入れば、他の投資家達は「俺も俺も」と続くことで株価が上がります。

心臓に毛が生えたインドネシア人のずうずうしい転職活動を応援してみた 6

インドネシア人は秘密の話は誰かに暴露しないと精神の安定を保てない人が多いため、内緒の話に情報の希少性は少なく信憑性も低いことが多いので、「ここだけの話」という枕詞付きで聞かされる話は話半分に聞いておいたほうがいいかもしれません。

日系企業のインドネシアでの存在意義 7

今のまま日本の人口減が続けば、内需は縮小の一途をたどるわけで、そうなると日本国内市場だけで生き残るのは難しいと判断する国内企業が、海外市場に活路を見出そうとするのは必然です。

チャンスはあるが勝てる分野を見つけるのが難しい 8

実際にインドネシアに住んでみて、自分で動いて人と話しをして、現地の事情を少しずつ理解していくにつれて、インドネシアで起業することが意外と手強いことに気づき、その難しさの原因は、高い送料と関税であったりローカル企業との競争であったり、就労ビザ(IMTA)や外国人技能開発基金(DPKK)などのランニングコストの高さであったりします。

インドネシアのシステムインテグレーション業界 9

先日JETRO(日本貿易振興機構)さんと、インドネシアの中小企業のIT投資について意見交換させていただく機会をいただいたのですが、そこで「システム投資のコストメリットはどのように説明できるのか」という、システムインテグレーターの存在価値にも関わる重要な問題提起がありました。

肉体と精神と心と魂 10

「Body and Soul」といえば、昨日の内閣改造に伴う人事で内閣府政務官に内定した自民党の今井絵理子参議院員がメンバーだったSPEEDのデビュー曲であり、インドネシアの老舗女性ファッションブランド名でもあります。

ジャカルタのラーメン市場 11

僕がインドネシアに初めて来たのが1997年10月、インドネシア語は分からないし、仕事は辛いし、周囲の人間は理不尽だし、一時期日本に帰りたくて仕方がない時期がありましたが、当時自分をかろうじてインドネシアに繋ぎ止める心の支えとなっていたのが、協栄プリンスビル(今のWisma Keiai)の日本食レストラン「五右衛門」であり、ここでキムチラーメンを食べることが唯一の楽しみと言っても過言ではありませんでした。

ブランド力、技術力、資金力の3要素 12

1998年のジャカルタ暴動後、ルピアが暴落し海外からのドル建て債務を抱えた国内企業が利子の支払いに苦しんでいた頃、僕は外貨が獲得できるインドネシアでの新しいビジネスを探していました。

日本とインドネシアの間でのタイムマシン経営が通じなくなっている件 13

先進国と後進国との間にある流行のタイムラグを利用して、先進国での成功例を後進国で実践するビジネスモデルをタイムマシン経営といいますが、インターネットの普及に伴い情報がフラット化してしまい、モノと情報のタイムラグが限りなく小さくなった今、先駆者である中小零細同業他社が乱立し市場が出来上がったところに、後発の大手が参入し先発零細を駆逐していく、という典型的な負けパターンにはまります。

サリナデパートとマクドナルド 14

本日5月10日を最後にインドネシアのマクドナルド第1号店であるサリナデパート店(Sarinah)が閉店になりますが、ジャカルタのショッピングモールが新しいコンセプトでモダンにリニューアルされ続ける中で、僕がインドネシアに来たばかりの20数年前には、若者の待ち合わせ場所の定番でもあったサリナデパートやブロックMのパサラヤ(Pasaraya)などは完全に時代に取り残されてしまいました。

不景気の歴史 15

僕がインドネシアに来てからこれまで何度か経済不況を見てきましたが、今回の新型コロナウィルスの感染拡大により、間違いなく景気後退しますので、数年後にはこれがコロナショックとかコロナ不況とか呼ばれるようになるのかもしれません。

日本のバブル経済崩壊後とインドネシアの通貨危機後 16

自分が大学に入学したのがバブル経済末期の1991年、土地も株価もMAX爆上げして、三菱地所がアメリカの象徴であるロックフェラーセンタービルを買収し、ジュリアナ東京でワンレンボディコン(登美丘高校ダンス部のバブリーダンスみたいなやつ)のお姉さん達が扇子振って踊っている時期でした。

内需と外需の自国経済に及ぼす影響 17

公共事業投資を行っても、お金が企業内や個人の貯蓄に滞留してしまい国内消費が増えないのが日本の状況であり、国内消費は増えても消費材の輸入品比率が高く、国内資産が海外に流出しているのがインドネシアの状況です。

2019年の総選挙を前にインドネシア政治史のおさらい 18

来年の大統領選挙(Pemilu Pilpres Pileg Indonesia 2019)に向けての選挙運動(Kampanye)を解禁するにあたり、投票用紙に印字される順番はジョコウィ現職大統領・マフル副大統領候補組が1番、プラボウォ大統領候補・サンディアガウノ副大統領候補組が2番と決まりました。

コーヒーをもっと楽しくもっと美味しく 19

インドネシアは北回帰線と南回帰線をはさむコーヒーベルトに位置するコーヒー栽培に適した国で、1602年の東インド会社の進出を契機にオランダの植民地支配が300年以上続き、その間アラビカ種のコーヒーが持ち込まれ、気候のいい高原地帯で栽培が開始されました。

インドネシア人の悪魔祓い 20

人間誰しも自分の中に悪魔が潜んでおり、それが何らかのきっかけで表面に出て来るという考え方自体には、背景に宗教が有るか無いかの違いだけで、基本的に理解できる話であり、それを信じるか信じないかは別として、そういう考えがあることを認めることは大切なことだと思います。

-ビザ取得と会社設立

© 2020 バテラハイシステム Powered by STINGER