インドネシアのビジネス

インドネシアにおけるソーシャルメディアの政治への影響力

2014/09/02

新商品を積極的に取り入れるイノベーター、流行に敏感で情報収集力の高いアーリーアダプター、この上位2層を合わせた16%に追従するのがアーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードと呼ばれます。

イノベーター理論とインドネシア大統領選挙

マーケティング理論の分析手法として有名なイノベーター理論は、50年以上も前の1962年にアメリカで既に体系化されていた理論であり、1962年といえば日本の高度成長期(1955年~1973年)のド真ん中にあたるわけで、今のインドネシアがまさにこの時期にあたると思います。

もともとは技術革新(イノベーション)がいかにして大衆に普及していくかを、商品購入の態度から新商品購入の早い順に五つに分類したものなんですが、今のデジタルマーケティングに当てはめると、情報発信力の強いいわゆるインフルエンサー達がアーリーアダプター層に属し、インフルエンサーとして市場に影響力を持っていると言えると思います。

最新技術を積極的に取り入れる「新しいもの好き」のイノベーターから、スマホやタブレットなどのデジタルガジェットを積極的に情報収集ツールとして使うアーリーアダプター層までの16%に如何に情報を波及させるかがポイントとなり、特にFacebookやTwitterで多くのフォロワーを集めインフルエンサー的役割を果たすアーリーアダプターの拡散力をうまく利用したソーシャルメディアマーケティングが近年注目されています。

  1. イノベーター(Innovators:革新者):新しいモノ好きな人 市場全体の2.5%。
  2. アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者):いわゆるインフルエンサー 市場全体の13.5%。
  3. アーリーマジョリティ(Early Majority:前期追随者):比較的新しいモノを取り入れるのに興味はあるものの慎重な潜在的購入者で市場全体の34.0%。
  4. レイトマジョリティ(Late Majority:後期追随者):右倣え右の層でいわゆるフォロワーズ。市場全体の34.0%。
  5. ラガード(Laggards:遅滞者):最も保守的な伝統主義者 市場全体の16.0%。

ただネットでいかにバズったとしてもそれがそっくり現実の成果に結びつくかどうかに対しては疑問の残るところで、先のインドネシア大統領選挙時もネット上では圧倒的にジョコウィ氏支持者が多かったにもかかわらず、実際はジョコウィ氏53.16%、プラボウ氏46.84%という比較的僅差であったことがいい例だと思います。

会社のホームページが検索順位が上位に上がってもオフラインでの知名度はそれほどでもないこと。これらはネットでの情報収集を行わないレイトマジョリティ層とラガード層が現実には理論以上に厚かったということかもしれません。

ソーシャルメディアのジャカルタ日本食レストランと政治への影響の違い

16%のアーリーアダプターまでと84%のアーリーマジョリティ以降との間には超えられない大きな溝(Chasm:キャズム)があると言われています。キャズムを超えることがWEBマーケティングの成功であり、そのためにはアーリーアダプターだけではなくアーリーマジョリティに対するマーケティングも必要というのがキャズム理論です。

これはジャカルタの日本食レストランを考えると判りやすいのですが、必ずしも美味い店が流行るというわけではなく、日本食に対する理解や日本食レストラン情報に対してはアーリーマジョリティまたはレイトマジョリティにあたるインドネシア人の客層をつかむことがキャズム越えになると思います。

それでは現実のオフラインの世界でキャズムを越えるためにオンラインのWEBマーケティングがどれだけ有効か、という点ですが、ネット上、特にソーシャルメディア上でのバズり具合の現実の評判への影響度は、飲食店の評判という点では日本もインドネシアも同じですが、政治への影響力はインドネシアのほうが圧倒的に大きいと思います。

それは若い有権者の政治への関心が日本よりもインドネシアのほうが圧倒的に高いうえに、全人口に占める若年労働人口の比率が圧倒的に高いからであり、2億4千万人という世界第4位の人口を持つインドネシアは、人口構造も綺麗なピラミッド型で、2030年頃まで人口ボーナス(15~64歳の生産年齢人口が、0~14歳と65歳以上の従属人口の2倍以上ある状態)が続くと言われています。

働き手1人あたり2.3人の高齢者を支える日本からすると、うらやましいくらいのバラ色の経済成長が見込まれるわけですが、ソーシャルマーケティングが政治利用された場合の影響力も大きいというリスクがあります。

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