社内業務は、売上と購買に繋がる重要な要素です。現状が見えない、数字が合わない、前後が繋がらないという問題があると、業務効率が低下し、社員の売上コスト意識も低下します。
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インドネシアの生産管理システム
製造業の至上命題は生産性向上と納期遵守です。製造原価、売上原価、販売管理費の違いを理解することが重要です。勘定連絡図は製造業の原価計算に役立ちます。
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この記事でわかること
- インドネシア工場では、業務システムの見えない・合わない・繋がらない問題が業務効率を低下させます。
- 多品種少量生産では、受注と生産の紐付けが見えないと余計な生産が発生します。
- インドネシアでは、仕入先の力が強く、正確な需要予測と余裕あるリードタイムが必要です。
- パッケージシステム導入時には、要件定義で業務をどう合わせるかが重要です。
- インドネシアの業務システムは、現行業務のプロセスを尊重しつつ段階的に導入することが効果的です。
インドネシア工場の社内業務のやり方に影響する要素は何か
インドネシアで長年業務システムに携わってきましたが、日系企業のお客様との会話で浮かび上がる業務システムの問題は、主に以下の3つに集約されます。
- 業務の流れで流動するモノがどの出荷に繋がるのかが見えない。
- 業務に合わないシステムに無理やり業務を合わせると、多くのExcel管理が介在するようになる。
- 部門間・部署間の業務フローが繋がらず、システム外の無駄な調整が多い。
社内業務は売上(出荷)と購買に繋がります。この見えない・合わない・繋がらないという3点セットにより、業務効率が低下し、社員の売上コスト意識も低下します。会社の事業は市場のニーズに対して何を提供するかで決まり、その事業のために顧客や仕入先とどう付き合うか、社内のスタッフがどう関係するかで社内業務のやり方が決まります。具体的な例として以下のようなものがあります。
- 顧客の数が増え、オーダの単位数が小さくなると、現場でどのオーダのための生産をしているのか見えなくなり、納期回答ができない。
- 製品ライフサイクルが短命化し、需要予測が難しくなると、受注に必要なだけ発注、必要なだけ生産しないとデッドストック化する。
- 在庫が少なすぎるとライン停止で生産性を落とし、納期遅れする。
- 多品種少量化で小ロットが生産ラインを流れると、共用ラインを増やし稼働率を上げるためには、受注との紐付きが見えないと余計な生産をしてしまう。
- インドネシアは仕入先、外注の力が強く、正確な需要予測に基づいて十分に余裕を持ったリードタイムで発注する必要がある。
- インドネシアは現地調達率が低く、輸入材のショートは致命傷になる。
業務システムは社内業務のやり方によって定義されるべきであり、決まった社内業務のやり方をシステム化するために変更するのは、標準化とも言えますが、朝令暮改ともなりかねません。
経済活動はサプライチェーン上で行われる
製造業では、原材料を仕入れて加工し、付加価値を加えて販売します。サービス業では、顧客の依頼に応じてサービスを提供し、付加価値を生み出します。モノを仕入れる際には、川上に仕入先があり、販売する際には川下に顧客や消費者が存在します。この流れをサプライチェーンと呼びます。
サプライチェーン上でのモノやサービスの流れが経済活動の本質であり、付加価値を生み出さずに単にお金を吸い上げるだけでは経済活動とは言えません。経済活動は自社だけで完結するものではなく、仕入先や顧客、消費者との約束と実績で成り立ちます。これらの活動は、納期、品質、数量を守る「信頼性」、需要変動に対応する「柔軟性」、納期短縮の「応答性」で評価されます。
取引先や顧客との関係を強化するために、最適化された業務フローを標準業務フロー(Standard Operation Procedure=SOP)と呼びます。ISOの認証を得ることで、サプライチェーン上での信頼を築きます。
事例:インドネシアの日系工場では、現地のサプライチェーンを活用し、信頼性と柔軟性を高める取り組みを行っています。
要点:サプライチェーン上での信頼性、柔軟性、応答性を高めることが経済活動の成功に繋がります。
サプライチェーン上の仕入先や取引先との関係の中で業務のやり方は決まる
一般的に、サプライチェーン上で経済活動を行う企業に対して業務システムを導入する方法は、日本でもインドネシアでも大きく2通りあります。
- パッケージシステムの業務フローに自社業務を合わせる前提でシステム化
- 自社業務独自のフローに合わせてシステム化
2019年の時点で、開発メーカーのノウハウを集約したパッケージシステムの業務フローに自社の業務を合わせることで、会社の業務を標準化するのが主流です。しかし、その結果として「システムは動いているが費用対効果が出せていない」という状況がよく見られます。
- パッケージシステムの機能のうち、マスタ管理と在庫管理を行うためだけにシステムが運用されている。
- 標準フローに業務を合わせる前提で導入したのに、現場の声に押されて中途半端なカスタマイズが入ってしまう。
パッケージシステム導入には、要件定義、実装(開発)、現場への展開(トレーニング)という3つのフェーズがあります。業務をパッケージシステムに合わせる場合、実装を最小限にし、要件定義のフェーズで「パッケージの仕様に業務をどう合わせるか」が中心となります。実際に合わせられるのは以下のような条件の場合です。
- 1日あたりの生産バッチ数やP/O発行数が少ないなど、取引数自体が少ない。
- ⇒システム入力負荷が小さい。
- ⇒トレーニングのための時間が十分とれる。
- ⇒システム在庫の精度が高く、在庫調整の手間が少ない。
- 仕入先へは発注してから入荷する運用が明確。または顧客からは受注してから出荷する運用が明確。
- ⇒注残管理の重要性が認識されているので、在庫のためだけの運用にならない。
- 仕入先、顧客数が少ない。
- ⇒データフォーマットの種類が少なく、取り込みの負荷が小さい。
これは、社内業務のやり方がサプライチェーン上の仕入先や取引先との関係で決まるため、上記のような条件に合致しない企業では、社内業務をシステムに合わせるのが難しいということです。社内業務をパッケージに合わせるのが難しい場合、要件定義に基づいてシステムの開発実装を行い、現場への展開時に要件定義で拾いきれなかった要件を取り入れながら仕様を微調整していく必要があります。
Excel文化が花咲くインドネシアの社内業務のシステム化
SAPやMicrosoft Dynamicsなどの大手パッケージソフトウェアに実装される標準業務フローは、パッケージベンダーの長年のノウハウの集積です。これに合わないやり方をしている業務があること自体おかしいとされ、ユーザーはシステムのフローに業務を合わせることが、業務効率改善への最短の道であるという考えが、日本で業務システムの導入を検討する際には一般的です。
これはサプライチェーンの中で、顧客と仕入先との間のモノが契約どおりに円滑に流れ、取引に関する情報がすべてシステムに反映され、自社の意思決定がシステムに蓄積された情報を解析することによって実現可能な環境下において、有効な選択肢の一つです。
しかし、インドネシアのように社内の意思決定が個人や部署の政治的意図によって押し切られたり、サプライチェーンの制約が原因で顧客・仕入先・外注先との商慣習が複雑化するような環境では、社内業務のやり方は独自の文化に染まっていきます。関係者それぞれが一番やりやすいやり方を模索した結果、部分最適の集合体になりやすいのです。
これらの部分最適同士を繋ぎ合わせるための補修剤としてExcelが重宝され、社内業務全体としてはExcelによる継ぎ接ぎが目立つとはいえ、結果として全体最適を志向したものになっています。
このようなインドネシアの日系企業の業務のやり方をシステム化しようとすれば、Excelで継ぎ接ぎして連携し合う業務のやり方の中から、本当に必要な要件をとりまとめた上で、システムを業務に合わせて実装するほうが理にかなっています。
サプライチェーン上でモノが円滑に流れ、取引に関するすべての情報がシステムに反映されるような環境であれば、大手パッケージソフトウェアの導入がベストプラクティスである可能性もありますが、インドネシアのようにそうでない環境の場合には、ひたすら要件をとりまとめ地道にシステムに実装していったほうが、結果として目に見えた改善結果を出しやすいのです。
- 汎用パッケージソフトでは対応できなかった社内業務のためにカスタマイズしたシステムを使うことで業務効率が向上しました。
- 受注オーダの納期や数量の変更に対して短時間で計画変更ができるようになり、高い精度で計画を維持できるようになりました。
- 工程実績管理が現場の大画面モニター上で見えるようになりました。
- 倉庫の入出庫管理をハンディターミナルで行うことで、在庫管理システムに簡単に自動連携できるようになりました。
- 現場を流動するロットに受注番号付きの現品票を貼付することで、現品とシステム在庫の繋がりが見えるようになりました。
- 1週間かかっていた月次生産計画の作成が3時間で終わるようになりました。
- 受注と購買が連動することにより今月必要な原材料が明確になり、在庫切れによるライン停止がなくなりました。
- Excelでは作れなかったオーダの色まとめ、仕様まとめ、曜日まとめの複雑な生産計画が短時間で作れるようになりました。
- 需要予測の精度が上がることで余分な生産がなくなり工程内在庫が削減されました。
このようにインドネシアでは、業務にシステムを合わせて開発導入することによって、社内業務の効率は格段に改善する余地があります。
インドネシアで生産管理システム導入を検討するときの理由
インドネシア工場の重要性が増し、正確で迅速な情報管理とその有効活用が求められるようになりました。これにより、システム投資が検討されるようになった背景には、日本本社からの要請とインドネシア現法での必要性があります。
- 全社統一して運用負荷を減らしたい。
- 日本からデータを監視できるようにしたい。
- 日本のシステムにデータを連携したい。
- 日本のルール(在庫評価方法・帳票の表示項目など)と同じに合わせたい。
- データの正確性が低い。
- データの入力が遅い。
- データ入力の負荷が高い。
- 必要なデータ(帳票)が足りない。
- 入力したデータが有効活用されていない。
日本主導型とインドネシア主導型のシステム導入時の問題

日本主導型のシステム化は、比較的大企業で日本本社からの依頼で進められることが多いです。日本の工場と同一システムを本社の情報システム部の支援のもと導入しますが、高価なシステムを使いこなせない、本社導入者が帰国後に使われなくなる、情報の精度が確保できない、マスタメンテナンスができないなどの問題が発生しがちです。
一方、インドネシア主導型のシステム化は中小規模の会社で多く見られ、インドネシア工場独自でシステムを選定します。業務全体を同一システムに統一せず、一部はEXCEL管理が残ることが多いです。この場合、二重入力が多発し、システム上の業務のつながりがない、個人に依存したシステムになるという問題が発生しがちです。
システム導入の最初には、現行業務を見直し、どのようにシステムに落とし込むかを決める要件定義というフェーズがあります。インドネシアでは大きく3パターンに分かれます。完全本社主導型はPerintah langsung(トップからの直々の命令)で、日本本社による仕様をインドネシアに展開する方法です。
現地多数決型はPengambilan suara(多数決)が基本で、部門間の力関係がシステムの仕様に影響するため、現地の調整役となるキーマンが重要です。ムシャワラ型(Musyawarah)は話し合いに基づく合議制で、納得いくまで話し合って全員一致を目指します。
生産管理システム導入時に配慮すべきインドネシア人の国民性

1990年代に世界中に名を轟かせた日本的経営の代名詞であった終身雇用、年功序列、企業別組合という三種の神器は、中国やアジア諸国の台頭で厳しいビジネス環境の中、昔という感があります。
しかし、日系企業に残る決定事項を敢えて明確にしない「あうんの呼吸」は、明確なJob Descriptionによる指示を当たり前とするアメリカスタイルのインドネシア人オフィスワーカーにとって、日本人駐在員や日本本社とのコミュニケーション上の支障となっています。

事例:海外の日系企業の現地スタッフが日本人に対して「なぜ自分達が納得いくまで説明してくれないのか」という言葉を、インドネシアのシステム導入の現場で何度も聞いてきました。
要点:インドネシア人スタッフに対しては、明確な指示と説明を心掛けることが重要です。
インドネシアに最適な段階的なシステム導入手法
長年、私は標準業務フローとしてパッケージソフトをノンカスタマイズで導入する手法が、インドネシアのシステム導入において最も有効だと信じていました。しかし、システムを標準形として受け入れてもらおうとしても、新業務フローと現行業務フローの乖離が大きいと、インドネシア人スタッフは結果に懐疑的になり、心情的に受け入れられないことに気づきました。
例えば、100の結果を出すために、現行業務では50の結果を確認してから次の50の結果を出すプロセスを経ています。しかし、新システムでいきなり100の結果を出し、微妙に結果が異なると、たとえ結果がより正確でも、スタッフは懐疑的になります。
そこで、新システムの機能でいきなり100を出すことができるにも関わらず、敢えて0から50までは外部アドオンで現行業務と同じプロセスを実行し、結果を確認してもらった上で、残りの51から100までを新システムの機能で実装します。
システム化の目的は現行業務の改善です。現行業務と全く同じ流れをシステムに置き換えても改善の効果は少ないですが、ユーザーの心情に配慮し「システムから出てきた結果がどのようなプロセスを経てきたのか見える」ことを優先します。パッケージのカスタマイズではなく、アドオンによるユーザー支援機能の実装を重視しています。
事例:インドネシアの日系工場では、現行業務のプロセスを尊重しつつ、新システムの導入を段階的に進めることで、スタッフの理解と信頼を得ることができました。
要点:段階的なシステム導入は、現行業務との乖離を減らし、ユーザーの心情を考慮することで、スムーズな移行を実現します。
インドネシアに合った業務システムとは
インドネシアの見えない・合わない・繋がらない問題を改善するためには、独自の社内文化で形成された業務のやり方から重要な要件をまとめ、地道にシステムで実装していく必要があります。これをゼロからスクラッチ開発するよりも、業務システムとしての共通機能、例えばユーザー権限管理、マスタデータ管理、ExcelやCSV形式からのエクスポートまたはインポート、受払取引の管理、締処理などは標準化することが可能です。
弊社では、管理機能を業務テンプレートHanaFirst、計画部分をスケジューラーAsprovaで実装しており、これがシステム業界20年以上の経験を持つ私が、インドネシアで日系企業様に提案できるベストプラクティスです。業務改善という目的を実現するための手段の1つがシステムであり、システム化によってデータ入力の効率化と正確性の向上、見える化・共有化・体系化による情報の有効活用が実現されれば、現場からの情報が会社の競争力を生み出します。
システム導入による目に見える効果を生み出すために、お客様の要件を十分ヒアリングした上で、業務がどれだけ良くなったか、どんな新しい成果が出たかにこだわったシステムのご提案をいたします。
よくある質問|インドネシア工場の業務システム最適化
本稿の内容に沿って、繰り返し出る問いを短く整理します。
インドネシア工場での業務システムの問題点は何ですか?
インドネシア工場では、業務の流れで流動するモノがどの出荷に繋がるのかが見えない、業務に合わないシステムに無理やり業務を合わせると多くのExcel管理が介在する、部門間・部署間の業務フローが繋がらず無駄な調整が多いという問題があります。これらの問題により、業務効率が低下し、社員の売上コスト意識も低下します。
インドネシアでのシステム導入の際に考慮すべき点は何ですか?
インドネシアでのシステム導入では、現行業務のプロセスを尊重しつつ、新システムの導入を段階的に進めることが重要です。ユーザーの心情に配慮し、システムから出てきた結果がどのようなプロセスを経てきたのかを見えるようにすることで、スタッフの理解と信頼を得ることができます。
インドネシア工場での業務システム最適化の効果は何ですか?
インドネシア工場で業務システムを最適化することで、受注オーダの納期や数量の変更に対して短時間で計画変更が可能になり、高い精度で計画を維持できるようになります。また、倉庫の入出庫管理をハンディターミナルで行うことで、在庫管理システムに簡単に自動連携できるようになり、業務効率が向上します。

