怒らない技術は事前に心の中で入念な下準備があって初めて習得できるということ

2014/07/25

バリ島

喧嘩は怒った時点で負けが決まると分かっていても感情的に反論したい気持ちを抑えることは難しいものですが、怒らない技術は事前に心の中で入念な下準備があって初めて習得できるといえます。

ジャワ

インドネシア生活における思考と感情

人間は弱い生き物ですから感情に支配されて勘定の赴くままに意思決定したり行動したりするものですが、結果は得てして非合理的なものになりがちなので、相手の感情を汲み取りながらも自分は感情に流されない合理的な思考訓練が重要だと考えます。

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インドネシアのポリシ(警察)とイミグレ(入国管理局)

インドネシアは「見えない階級社会」であり、階級の基準は役職であったり、お金であったりさまざまで、特に役人や金持ちの階級意識は強いです。

また日常生活のさまざまな場面で出くわすちょっとした「イラッとさせる」人達も、大体がなんらかの職権をもった人で、これはインドネシアに限ったことではないかもしれませんが、相手が職務を厳格に全うしようとしているだけなのか、職権をカサに着て意地悪しているのか、その当落選上にあるのか、実際に場面に出くわしたときにとっさに判断するのは非常に難しいです。

警察とイミグレに関してはいろいろと悪い評判を聞きますが、自分の経験からすると、彼らは何にも落ち度がない人間に対しては決して言いがかりは付けてこないように思います。

例えばPulogadungからジャカルタ中心方面に向かうと、Tolの高架に突き当たり、ここには大体警官が張っていまして、左折前に左車線への寄せが遅れた車を停車させ罰金を科します。

自分はこれが判っていながら、2度も罰金を取られたことがあるのですが、コレなんかはサッカーの主審がファウルをとるかとらないかの違いみたいなもので、自分が十分余裕を持って寄せたと思っていたのを、警官はそうは思わなかっただけという話です。

だからここで無駄な抵抗をしてエネルギー浪費するのは損だと思うので

余裕もって寄せたつもりなんだけどなぁ、うーん、すみませんねぇ

みたいな感じで、にこやかにやり過ごしてさっさと切符を切ってもらってお別れします。

この罰金が国庫に入るのか警官のポケットに入るのかというのは別問題として、サッカーや野球の審判と同じように最終的には判定に従います。

うちの嫁はんは警官を言い負かすまで引かないのですが、残念ならが自分はこんな才能は持ち合わせていません。

インドネシアのアパートの警備員

先日想定外の状況でイラッとすることがありました。アパートの警備員(Satpam)です。

アパートの駐車場から出るときにはIDカードをスキャンすることで自動ゲートが開く仕組みになっているのですが、その日に限って何故か開かない。

自分のせいで後ろに長い待ち行列が出来てしまい、日本人的には非常に申し訳なく焦る状況で、幸い近くに居た警備員が来てくれたので

スキャンしても開かないんだけど?

と申し訳なさげに説明すると、この警備員はいかにも迷惑そうな顔で

あんた昨晩帰宅時に駐車場に入るときにIDカードをスキャンしなかっただろう?そのときにIn登録されていないのでOutできないんだよ

と冷たく言い放たれました。

おいおい、そりゃないでしょう。そもそも帰宅時にIDカードをスキャンしないと駐車場に入れないし、Mr.ビーンみたいに前の車がInするタイミングを見計らって後ろにくっついて入るほど器用な技は持ち合わせていないし、いずれにせよ自分の落ち度にされる筋合いはありません。

こんなときは自分も人並みにイラッとする訳ですが、彼らにも彼らなりの事情があります。

  1. セキュリティを守るという使命がある(それが仕事だし)。
  2. 親切なホスピタビリティを提供する義務はない(ホテルマンじゃないし)。

ここで感情的になって仮に相手を言い負かせたとしても、何も得るものはありません。

だから「初回は仕方がない」と割り切るしかなく、重要なのは2回目以降にイラッとせずに平然としていられるかどうかです。

そのために「イラッさせる人予備軍リスト」にアパートの警備員をそっと追加し、次回同じ場面に遭遇した際に、上記の事情思い出して心の準備をしておく。実際にはこんなに理論どおりには実践できないものですが、怒りの抑止力としては十分な効果があると思います。

ジャカルタのアパートのエージェント

アパートのエージェントから賃貸料金値上げの連絡を受けたのが、更新日前2週間のことでした。

さすがにこんなギリギリの時期に言われても

次の部屋見つける暇ないじゃないか。そりゃないでしょう

と不満を言うと、エージェントの兄ちゃんはしたり顔で

まあ2週間もあれば十分だよね

と言いました。こいつは・・・(怒)。

おそらく貸手市場なので顧客も多く抱えており、彼自身も潤っているんだろうからこんな強気なことを言えるのだと思いますが、これで頭に来ない人はマハトマ・ガンジーかマザー・テレサくらいじゃないでしょうか?

どう考えてもフェアーじゃないし理不尽、だがしかしここで感情的になったらロクなことはありません。

第一に今借りているこの部屋は、事前情報や相場から判断しても非常にメリットが多く、別の部屋に引越すには実現損と未実現損のリスクが高すぎます。

  1. 日当たりが良くリビングが広い
  2. 高層階という自分の好み
  3. 確かに相場より安い(だいたい1割以上は安いと推測している)

この癇に障る一言を言われたときにいかに平常心を保てるか。感情的になったら損をするのは分かっている。じゃあ粛々と実利を取るためには事前準備をしておき、限りなくマニュアル対応をするしかありません。

ただここで怒らないと自分の中で思考と感情のバランスが保てないので、こっちは非常に気分を害したことを冷静に伝えた上で、しばらく時間を置いて価格交渉に入ります。

まあ相手もレバラン明け休み直前に出られたら最低でも1ヶ月分は損するので、予想どおり翌日には折れてきました。

まあこれを交渉成功と見るか、実は相手に乗せられただけと見るかの判断は難しいが、事前情報で得ている相場よりも大分安い線で妥結したので、後にしこりは残さない結果になりました。