工数と賃率の関係は、かつて発注先と外注先との合意の下で支払加工賃を算出するために適用されていました。しかし、標準原価計算では工数は能率、賃率は配賦率として、次年度予算の策定のために採用されます。
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インドネシアの原価管理システム
インドネシアのマスプロダクション型工場では総合原価計算を採用。個別受注生産工場では個別原価計算を採用。IoTを用いた実績データで配賦ルールを設定。
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この記事でわかること
- 標準原価計算では工数は能率、賃率は配賦率として次年度予算策定に用います。
- 製品別の直接労務費は、直接作業時間を基に賃率を掛けて計算します。
- 製品ごとの手間隙を考慮した標準工数が、製品別直接作業時間の按分基準となります。
- 実際賃率と標準賃率の差異分析により、効率的な労務管理が可能です。
- 実際賃率と標準賃率の差異を見て、労務管理と予算を見直します。
実績工数と標準工数
原価管理システムで製品別の直接労務費を計算するには、会計システムから集計したコストセンター別または製品グループ別のセミグロスの直接労務費を、直接作業時間を配賦比率として按分するのが妥当です。しかし、製品別直接作業時間をどのように取得するかという問題があります。製品ごとの手間隙が異なる点を無視して、製造実績数量按分というのは適切ではありません。
作業日報に直接作業時間が製品別に正確に記入されていれば、月末にこれを集計するだけで済みますが、直接作業の間には間接作業や現場離脱等が挟まります。正確に品目別の直接作業の実際発生時間だけを日報ベースで取得するのは、現場端末またはタッチパネルで簡単に開始時間と終了時間が入力できるシステムがあればともかく、少しハードルが高いかもしれません。
事例:インドネシアの日系製造業で、この直接作業時間集計までシステム化されているのは相当IT化の進んだ工場だけです。直接作業時間の集計方法としては、現場端末から直接作業開始時間と終了時間を入力し合計する方法と、出退勤データから間接作業時間と非稼動時間を控除する方法があります。
コストセンターに集計された直接作業時間を製品別に按分するための基準としては、「製品ごとの手間隙」と製造実績数量を考慮する必要があります。この製品ごとの手間隙の指標が標準工数(1個あたり標準で何分かかるか)です。
- 標準工数x製造実績数量
製品別製造原価を計算するには、システムを使う場合でもExcelでマニュアル計算する場合でも、事前に製品別の直接作業時間の計算が必須です。
- 製品別直接作業時間=全体の直接作業時間x{(標準工数x製造実績数量)/SUM(標準工数x製造実績数量)}
算出された製品別直接作業時間に賃率(1時間当たりのコスト)を掛けることで製品別の直接労務費が計算されます。この賃率はコストセンター別または製品グループ別に以下のように計算されます。
- 全体の賃金 ÷ 直接作業時間合計=直接労務費賃率
ここまできてようやく製品別原価要素である直接労務費が計算されます。
- 製品別直接作業時間x賃率=製品別直接労務費
製品1個あたりの直接労務費は、製品別直接作業時間を製造数量で割った実績工数(1個あたり実際に何分かかったか)に賃率を掛けることで求められます。工数は通常分単位、賃率は時間単位ですので単位はあわせる必要があります。
- 実績工数x賃率=1個あたりの直接労務費
実際賃率と標準賃率
salaryは月給で固定費であり、wagesは残業代など労働時間に対する賃金で変動費となります。この違いを最近になって初めて知りました。賃率はバイトの時給のようなもので、時給が面接時に契約として固定されるように、賃率も標準(予定)を使うのが一般的です。
原価管理システムを利用する場合、賃率は計算結果として得られる実際賃率であり、Excelでマニュアル計算する場合は直接労務費計算のために事前に準備する標準賃率になります。ワンオペで忙しくてもトイレでサボっても、バイト代の実際受け取り額は同じですが、雇用主にとっては賃率はバイトがサボればサボるほど上昇します。
よくある質問|原価計算の工数と賃率管理
本稿の内容に沿って、繰り返し出る問いを短く整理します。
工数と賃率はどのように標準原価計算で使用されますか?
標準原価計算では、工数は能率として、賃率は配賦率として使用されます。これにより、次年度予算の策定が行われます。
製品別の直接労務費はどのように計算されますか?
製品別の直接労務費は、製品別直接作業時間に賃率を掛けることで計算されます。製品別直接作業時間は、全体の直接作業時間を製品ごとの手間隙と製造実績数量に基づいて按分して求めます。
実際賃率と標準賃率の違いは何ですか?
実際賃率は原価管理システムで計算される結果で、標準賃率はExcelでのマニュアル計算時に事前に準備されるものです。賃率はバイトの時給のように標準(予定)を使うのが一般的です。

