P/L上での発生主義ベースの実績に対して、未決済の債権をマイナスし、債務と現金が動かない減価償却費をプラスすることで現金主義に変換します。キャッシュフロー計算書を作成する際には、発生主義から現金主義への変換を意識する必要があります。
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インドネシアの会計システム
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この記事でわかること
- 会計システムがダウンすると、P/LとB/Sの元データが作成できず、税務報告ができなくなります。
- WannaCryランサムウェアは、暗号化されたサーバーの復号化にUS300ドルをビットコインで要求します。
- 生産管理システムは購買管理、生産管理、販売管理をカバーし、会計システムと連動しています。
- 発生主義ベースの実績入力は、現金主義への修正を行うことでキャッシュフロー管理に役立ちます。
- SAP HANAを用いた基幹システムの導入は、多くの工数と全社単位での調整が必要です。
会計システムが生産管理システムよりミッションクリティカルと言われる理由
最近、インドネシアの日系企業で基幹システムのサーバーがWannaCryというランサムウェアに感染し、アクセス不能になる事例が増えています。これにより、ハードディスクをフォーマットし、DBのバックアップをリストアして復旧する必要が生じています。暗号化されたサーバーの復号化には、US300ドルをビットコインで送金するよう要求されます。
この金額は、システム会社でのフォーマットとバックアップデータからの復旧にかかる費用に近く、データの重要度によっては支払うことも考えられます。
先日、生産管理システムのサーバーがWannaCryに感染し、復旧作業を行っていた際、先方の社長が「会計システムのサーバーでなかったのが不幸中の幸い」と述べていました。しかし、その1週間後に会計システムのサーバーも感染する事態に発展しました。会計システムが麻痺すると、会計コンサル会社に提出するP/LとB/Sの元データが作成できず、税務報告ができなくなります。
日本本社への財務資料も作成できず、企業イメージに大きな影響を与えるため、「不幸中の幸い」という感想が自然です。
生産管理システムの場合、WannaCryに感染しても、原材料と製品の在庫を余裕を持ってキープすれば、出荷伝票の準備がマニュアル対応となるため、出荷が滞る事態には至りません。
- 生産管理システムのダウン
日々の業務を滞らせるリスクはありますが、Excelを使ってシステム外で対応することで業務を止めない努力が可能です。 - 会計システムのダウン
月末に正しい数字が準備できればよいので、システムダウンにより月中の日々の業務が滞っても、事後にまとめて入力すれば問題ありませんが、月末までに復旧しないと社内外に大きな影響を与えます。
要は企業経営上、業務システムの優先度としては
となるのは仕方がないことです。
生産管理システムと会計システムが連動しているとは?

生産管理システムは購買管理、生産管理、販売管理をカバーしており、購買管理で仕入実績を入力する際や販売管理で売上実績を入力する際に、会計システム上に債権債務データを生成し、自動的に元帳に仕訳を転記します。生産管理と会計が連動しているとは、生産管理システム上での在庫の払出実績が会計仕訳を生成し、資産科目の元帳残高を自動的に更新し、在庫管理上の数量に対する評価額が会計上の資産科目残高と同期されることを指します。
この連動のメリットは、業務システム全体の整合性が保たれることに加え、生産管理側で正しい実績入力が行われれば、会計システム側での入力負荷が軽減され、正しい数字が計上されることです。しかし、間違った実績が入力されると会計システム上でも誤った数字が反映されるため、修正作業には実績入力を時系列に遡ってキャンセル処理を行う必要があり、緊急時に柔軟な対応が難しくなります。
事例:製造実績入力後にNGによる廃棄処理を行わないと、システム上で仕掛品の過剰在庫が積み上がり、監査に指摘された際に一括調整することでP/L上で大赤字になることがあります。また、帳簿上で利益を出すために恣意的に仕掛品在庫を積み上げる行為は、将来必ず問題を引き起こします。
会計上の数字を合わせるために調整を行った結果は、生産管理側のどこかにツケとして残り、翌月以降に帳尻を合わせる必要があります。問題の先送りを繰り返すと、年度末に大きな特別損失で処理せざるを得なくなります。
業務システムは発生主義ベースで実績入力される

月末の締処理時点で正しいT/B(試算表)が完成すればOKという会計システムと、実績入力に基づく伝票の発行という月中の日常業務をサポートする生産管理システムを連動させる意味は少ないかもしれません。しかし、生産管理と販売管理という2つの場所で、モノがどこでどのように動くと会計上費用化するかという意識は重要です。
生産管理システム上での実績入力に基づく在庫(モノ)が生産管理場所にある場合の払出は発生費用であり、受入は仕掛品在庫として資産勘定に計上されます。販売管理場所にある場合の受入は製造原価であり、払出は売上原価として認識されます。
ERPシステムには、在庫払出実績を会計システム上で当月発生費用としてリンクさせ、FIFO(先入先出法)や移動平均法で在庫額をリアルタイムでアップデートするシステムと、月末在庫を押さえて月初と当月購入分との差し引きで発生費用を計算するシステムがあります。すべての実績入力は取引発生時点を計上日として行われる発生主義ベースで行われます。
この発生主義ベースの実績入力を前提とし、手元で自由に動かせる真水の資産、すなわち現預金の動きを把握するために現金主義への修正を行うのがキャッシュフロー管理です。会社が儲かるというのはP/L上で利益が出ていることを意味します。
- 債権債務が発生済み未決済の費用と収益
- 減価償却費分
これらを調整してキャッシュフロー計算書を作成することで、現金主義で直近の決済に対応するための経営情報が得られます。
販購買から生産、会計まで連動して動くシステムの難しさ
2024年、グリコがデロイト主導の基幹システム移行に失敗し、プッチンプリンなどの出荷ができない問題や、クボタがアクセンチュア主導で更改した基幹システムで生産休止トラブルが発生するなど、SAP導入トラブルが目立っています。
SAP HANAを用いた販購買から製造、会計までの『連動した仕組み』は機能美として優れていますが、要件の取りまとめ、導入期間中のギャップ解消のための開発、切り替え時の全社単位でのカットオフ調整など、多大な工数が必要です。
インドネシアでも、比較的大規模な製造業では全世界拠点基幹システム統一化の一環としてSAPを導入することがありますが、通常は本社主導で日本の大手SIerが数か月間出張して行うため、インドネシア現法は完成品を使用するだけというケースが多いです。
規模は小さいながらも、インドネシアで自社プロダクトを用いて基幹システム導入サービスを行っている立場からすると、ライセンスと導入支援にかかる初期費用や毎年のライセンス保守などのランニングコストがペイするのか、名のあるパッケージを高額なコンサルに依頼して選定の責任を回避するという大企業病があるのではないかと考えますが、これらは本質的なトラブルの原因ではないはずです。
『SAP HANAは日本の製造業に不向き』という意見もありますが、これは向き不向きの問題ではなく、多くの関係部署が関わる大組織に『連動した仕組み』を1パッケージで実現すること自体の難易度が高いという仕組み自体の問題であると考えます。
よくある質問|会計と生産の連動
モノとお金の流れをつなぐ論点です。
なぜ会計の方がミッションクリティカルと言われるのですか?
対外報告と資金・税務の期限が明確で、誤りが直ちに信用とコンプライアンスに効くためです。
連動している状態とは何ですか?
生産・在庫の実績が、発生主義のタイミングで仕訳・原価に落ち、手打ちの二重入力が減っている状態です。
つまずきやすい点は?
出荷・入荷基準と現場入力のずれ、月末の未到着・未計上です。基準を先に合意します。

