インドネシア中古車市場の日本車価格動向と潜在力

2020/05/21

インドネシア中古車市場における日本車の価格動向と潜在力を構造化した図解

インドネシアの中古車市場では、日本車のミドルクラス以下の大衆車は価格が下がりにくいです。初年度で10%下落し、その後少しずつ価格が下がります。一方、ミドルクラス以上の車は初年度で15%程度下落するのが一般的です。しかし、2020年から2021年の外出制限期では、車の売却価格の下落が大きくなりました。

インドネシアの政治・経済・社会の成長構造と戦略を示す図解

インドネシアはなぜ発展するのか?政治・経済・社会を支える構造と成長戦略

スカルノ大統領時代は共産主義政策が推進され、西側諸国からの投資が減少しました。スハルト大統領は西側諸国との関係を強化し、工業化を進めましたが、石油依存から脱却できませんでした。1998年のアジア通貨危機後、インドネシアは民主主義国家と…

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この記事でわかること

  • インドネシアでは日本車のミドルクラス以下の大衆車は初年度で10%下落し、その後少しずつ価格が下がります。
  • 2020年のインドネシアの自動車出荷台数目標は経済状況の変動の影響で108万台から60万台に引き下げられました。
  • インドネシアの全人口2億6千9百万人のうち、ジャカルタにはわずか3.7%の9百9十万人が住んでいますが、国内自動車出荷台数の約2割を占めています。
  • インドネシアの年間自動車生産能力は220万台で、2035年までに生産400万台、輸出150万台を目標としています。
  • Toyota FJ-40ランドクルーザーは1980年式が2005年に65jutaで購入され、2020年当時3~4倍に値上がりしています。

ジャカルタに集中する自動車需要とインドネシア市場の潜在力

2020年の外出制限(大規模社会制限)実施前の1月から3月までの自動車出荷台数の累計は、前年同期と比べて15.9%下落した260,804台で踏みとどまっていました。しかし、外出制限の施行後の4月には、前年同月比で90.7%減の7,871台となり、2020年の年間自動車出荷台数目標が108万台から60万台まで引き下げられました。

2020年の東南アジアのGDP成長率予測では、インドネシアは他国に比べて低い水準にあり、「潜在的巨大市場」としてもてはやされることが多いものの、そのポテンシャルに疑問を持つ声もあります。しかし、インドネシアの国内自動車市場の潜在能力を知るための指標として、「インドネシアの全人口2億6千9百万人のうち、わずか3.7%に過ぎない9百9十万人のジャカルタにおいて、国内自動車出荷台数の約2割が占められている」という事実があります。生産年齢人口が従属人口の2倍以上ある人口ボーナス状態が2030年まで続くという予測と掛け合わせると、ジャカルタ以外の潜在的購買層がいかに厚いかが分かります。

特に全人口の6割が集中していると言われているジャワ島のジャカルタ以外の地域の潜在購買能力は非常に高いと考えられます。

ジャボデタベック(JaBoDeTaBek)域内の人口

  • ジャカルタ:9,900,000人
  • ボゴール:5,800,000人
  • デポック:6,700,000人
  • タンゲラン:5,800,000人
  • ブカシ:4,500,000人

合計32,700,000人

インドネシアでは車やバイクの購入は、日本以上に資産形成的意味合いが強く、外出制限期には外出機会が減ったことや将来に対する先行き不安感から需要が減っています。企業や個人の金策手段としての車の売却が増えたことで中古車価格が下落中ですが、外出制限前の感覚では大衆車の新車は1年目で10%価格が落ち、それ以降は5%ずつ落ちていくというもので、日本では廃車になるような10万~15万Km走った車も中古車市場で普通に売られています。

この調子で廃車になることなく中古車市場に流れ続けていけば、いずれ街中の道路が車で飽和しそうですが、ジャカルタ以外の地方や他島に受け皿はいくらでもあることが分かります。

私もインドネシアで中古車を4回買ったことがありますが、2007年にジャカルタで買ったジープCJ-7(1980年製)は、走行中にブレーキとラジエーターが壊れ、クニンガンのRasuna Said通りで大事故を起こしそうになったことがありますので、古い車種や洪水被害が大きかった年に売り出される水没車には十分気を付ける必要があります。

近隣諸国と比較したインドネシアの自動車輸出競争力

東南アジアでインドネシアの人口は2億6千万人を超え、フィリピンが1億人、ベトナムが9,000万人、ミャンマーが6,000万人を超えるなど、近隣諸国も有望な市場として成長しています。タイは年間100万台以上を輸出していますが、インドネシアは年間30万台前後に留まっています。輸出競争力を高めることで、インドネシアの自動車出荷台数は飛躍的に増加する可能性があります。

私は学生時代に何度もタイを訪れましたが、インドネシアではToyota AvanzaやDaihatsu Xeniaが多いのに対し、タイではピックアップトラックが多いのが印象的でした。国内向けに多く製造される車種は生産コストが下がり、それが輸出競争力に反映されます。タイの輸出車の50%近くをピックアップトラックが占め、輸出先はアジア、中東、ヨーロッパなどに分散されています。

インドネシアの自動車製造体制の強みであるMPV車の需要が、アジアやオーストラリアで高まる傾向があります。オーストラリアとの距離がタイよりも近い地理的な優位性を活かし、物流コストの低減を売りにMPV車の輸出を推進する余地があります。

インドネシアの年間自動車生産能力は220万台で、2035年までに生産400万台、輸出150万台を目標としています。しかし、生産現場の生産性はタイに比べて20%低く、インドネシアで生産するメリットが低いのが現状です。

インドネシアの国家優先事項「メーキングインドネシア4.0」の一つである「原材料フローの改善」は、材料部品の現地調達化で材料コストを下げ、国内加工による付加価値創出を進めることを目指しています。

日本車が強いインドネシア中古車市場の価格推移と特徴

2020年、外出制限が施行され、ジャカルタや西ジャワ州で自動車の生産台数が前年同月比で79.6%減、国内販売台数は90.6%減と大幅に減少しました。インドネシアの自動車出荷台数は2013年の122万台をピークに下降し、2019年は103万台でした。外出制限の影響で2020年の目標は60万台に下方修正されました。

中古車市場では、日本車のミドルクラス以下の大衆車は価格が下落しにくく、初年度で10%下落し、その後少しずつ落ちます。しかし、インフレ率が低く、供給増加と需要減少の影響で、売却価格の下落が激しくなっています。

私が乗っているToyota Avanza Veloz 1.3 ATは、2016年に202jutaで購入しましたが、2020年の中古売買価格は130juta前後まで下落しています。一方で新車価格は230juta前後まで値上がりしており、買い替え需要が下がると考えられます。

2016年までは下落率が年平均5%でしたが、インフレ率が低く、買い控えが重なり年平均8%まで上昇しています。

インフレ時代に価値が上がる車:Toyota FJ-40ランドクルーザーが人気な理由

日本は1990年代前半のバブル崩壊以降、物価がほとんど上がっていませんが、インドネシアではインフレや金利の影響を考慮する必要があります。かつて「車は買ったときより高く売れる」時代がありましたが、古い車が高値で取引されることがあります。Toyota FJ-40ランドクルーザーはその一例です。

事例:昔、友人が車を売ったとき、買った値段より高く売れたと言っていましたが、当時のインフレ率が30%-35%で償却率より大きければ十分あり得る話です。ToyotaランクルFJ-40は2005年に65jutaで買った1980年式がその後3~4倍に値上がりしています。

2007年にバリ島からジャカルタに移転する際に手放したこの車は、オーストラリア人から65jutaで購入しましたが、2020年の相場は200juta~250jutaで取引されています。

中古車エージェントを営むバリ人の友人が「ハードトップ(Toyota FJ-40ランクルの通称)は時代遅れしない」と言っていたように、この車は事故車の牽引や発電機の搬送などに使用され、東ジャワのブロモ山ツアーでは急こう配の山道や悪路を走破します。

リッターあたり4km~5kmしか走らない燃費の悪さを補う外観、直線と曲線が交差するフォルムは、130年の自動車の歴史の中で、世界のToyotaによって産み落とされた最高傑作であると信じています。

日本車が強いインドネシア中古車市場の価格推移と特徴

2020年、外出制限が施行され、ジャカルタや西ジャワ州のブカシ、カラワンでは自動車の需要と供給が停滞しました。この結果、2020年4月のインドネシアの自動車生産台数は前年同月比で79.6%減少し、国内販売台数も90.6%減少しました。

インドネシアの自動車出荷台数は2013年の122万台をピークに下降傾向にあり、2019年には103万台となりました。2020年は外出制限の影響で目標の108万台から60万台に大幅下方修正されましたが、達成は困難とされています。

中古車市場では、日本車のミドルクラス以下の大衆車は価格が下落しにくく、初年度で10%下落し、その後少しずつ落ちるのが一般的です。ミドルクラス以上の車は初年度で15%程度下落します。しかし、インフレ率が年平均3.5%と低水準であることや、経済状況の変化による企業の資金繰り対策、個人の生活費捻出のため供給が増加し、需要が減少した影響で、車の売却価格の下落が激しくなっています。大衆車を5年乗った後の売却価格は取得価額の25%-30%落ちが一般的でしたが、2020年は35%-40%落ちとなっています。

私が乗っているToyota Avanza Veloz 1.3 ATは、2016年に202jutaで購入しましたが、2020年の中古売買価格は130juta前後まで下落しています。一方で、新車価格は230juta前後まで値上がりしており、Tukar tambah(新車の支払い代金として2020年の車を売却して差額の現金を支払うこと)を行うと100juta以上の持ち出しが発生します。このような相場では買い替え需要がさらに下がると考えられます。

2016年までは下落率(償却率-インフレ率)が年平均5%程度でしたが、インフレ率が3.5%程度と低水準であることに加え、消費者の買い控えが重なり、年平均8%程度まで上昇しています。

インフレ時代に価値が上がる車:Toyota FJ-40ランドクルーザーが人気な理由

日本では1990年代前半のバブル崩壊以降、物価がほとんど上がっていないデフレ傾向が続いています。しかし、インドネシアでは不動産や車などの資産購入時にインフレや金利の影響を考慮することが一般的です。かつて、車は購入時より高く売れることが普通だった時代がありました。これは1998年から1999年頃の話で、インフレ率が非常に高く、中古車市場で取得価格より高く売れることがありました。

しかし、償却率やインフレ率に関係なく、古いほど価格が上がる車も存在します。その一例がToyota FJ-40ランドクルーザーです。

事例:昔、友人が車を売った際、購入価格より高く売れたと言っていました。当時のインフレ率が30%-35%で、償却率を上回っていたため可能な話です。しかし、そんな状況に関係なく価格が上がり続ける車があり、その一例がToyotaランクルFJ-40です。2005年に65jutaで購入した1980年式は、その後3~4倍に値上がりしています。

2007年にバリ島からジャカルタに移転する際に手放したこの車は、オーストラリア人から65jutaで購入しましたが、2020年の同モデルの相場は200juta~250jutaで取引されています。

中古車エージェントを営むバリ人の友人が「ハードトップ(Toyota FJ-40ランクルの通称)は時代遅れしない」と言っていたように、この車は4Lのモンスターエンジンを搭載し、事故車の牽引や発電機の搬送に使用されています。東ジャワのブロモ山ツアーでは急こう配の山道や悪路を軽々と走破します。

特筆すべきは、リッターあたり4km~5kmしか走らない燃費の悪さを補う非の打ち所がない外観です。直線と曲線が交差する芸術的なフォルムは、130年の自動車の歴史の中で、Toyotaによって産み出された最高傑作とされています。