インドネシアにPE(恒久的施設)として事業所を構える場合、納税義務に加え、インドネシア人への技術移転義務が発生します。外国人就労の制度条件は、日系サービス業の成長モデル(ローカル化)を設計する前提条件になります。
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インドネシアの労務・労働法まとめ|最低賃金・退職金・外国人就労・裁判制度
インドネシアの労働法は2003年に制定され、労働者を手厚く保護しています。オムニバス法は外資参入を促進し、雇用条件を柔軟化しました。sweepingはデモ集団が工場に押しかける行動で、拘束されることもあります。
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この記事でわかること
- インドネシアの外国人就労では、インドネシア人への技術移転が前提条件になる。
- 日系企業の健全な成長は、設立直後から完全ローカル化までの4段階で設計できる。
- 外国人雇用の実務手続の中核は、RPTKA(外国人雇用計画)とIMTA(外国人雇用許可)です。
- 6ヶ月以上就労する外国人には、BPJS Kesehatan と BPJS Ketenagakerjaan の加入義務がある。
- コスト上昇下では、日本人を技術営業に特化させ、インドネシア人管理者比率を高める戦略が有効です。
外国人就労の前提は技術移転義務です
インドネシアの外国人就業規則は、労働法2003年法律第13号の第8章第45条(pasal 45 ayat [1] huruf a UU No. 13/2003)に規定されています。中核は次の要件です。
単なる欠員補充の外国人配置ではなく、技術移転を伴う配置設計が求められます。
日系企業のローカル化は4段階で進みます
制度環境を前提にすると、日系企業(とくにサービス業)のビジネスモデルは次の4段階で遷移するのが健全な姿です。
- 設立直後:日本人が受注し、日本人が管理し、日本人が作業します
- 拡大期:日本人が受注し、日本人が管理し、インドネシア人が作業します
- 安定期:日本人が受注し、インドネシア人が管理し、インドネシア人が作業します
- 成就間近:インドネシア人が受注し、インドネシア人が管理し、インドネシア人が作業します(完全ローカル化)
当面は第2〜第3段階を目標に、案件管理と技術実行を現地へ移譲します。日本人は技術営業(新規獲得と既存フォロー)に特化する設計が現実的です。
外国人雇用の定番手続きはRPTKA・IMTA・DKP-TKAです
手続は労働省(Kementerian Ketenagakerjaan)の管轄で、実務上の定番は次の3点セットです。
- RPTKA(外国人雇用計画)の策定と承認
- IMTA(外国人雇用許可)の承認取得
- DKP-TKA(外国人労働者雇用補償金)の支払い(IMTA取得条件の一つ。毎月100ドルを政府へ前払い)
事例:DKP-TKAの月100ドルは、筆者がインドネシアに来た頃から変わっていません。ドル建てのこの金額の据え置きは、通貨としてのドルの安定を物語る一方で、その後に乗ってくる義務(BPJSなど)とは別問題です。
要点:補償金単価は長期固定でも、後続の社会保障義務が乗ると外国人コスト全体は上がり続けます。
6ヶ月超の外国人就労にはBPJS加入義務があります
インドネシアで6ヶ月以上就労する外国人には、BPJS Kesehatan(健康)とBPJS Ketenagakerjaan(労働)への加入義務が課されます。旧JAMSOSTEKからBPJSへの移行は、社会保障の充実が目的とされます。
- BPJS Kesehatan:医療保障(JK)。固定賃金の5%(会社4%・本人1%、上限あり)
- BPJS Ketenagakerjaan:労働災害(JKK)、死亡(JKM)、老齢(JHT)、年金(外国人加入義務なし)など
事例:BPJSが使える医療機関は限定され、多くのインドネシア人患者と同じ列に並ぶイメージが強いです。在住外国人がBPJSを実際に使うのはなかなか大変だ、という声が多く、筆者自身もまだ利用したことがありません。
要点:加入義務と実際の利便性は別問題であり、医療アクセス設計は別途必要になります。
コスト増下では現地管理者比率と生産性設計が勝敗を分けます
UMP上昇と外国人コスト増の下では、インドネシア人技術者・管理者比率を高め、日本人コストを案件へ平準化する必要があります。
- 日本人コストの分散(案件に対して平準化)
- インドネシア人技術者の環境整備による生産性向上
事例:インドネシアで長く仕事をしてきて変わらない感覚の一つが、「自分で仕事をしないことは、自分で仕事をするより大変」だということです。刀を抜く(自分でやる)のは、後でその何倍もの仕事を現地に任せ切るための投資です。周囲の風当たりを受けても意に介さない打たれ強さと、自分というリソースへのレバレッジ意識がないと、特定案件に埋没します。
要点:日本人リソースにレバレッジを効かせないと、現地リソースの最適活用が進まず、対コスト生産性が下がります。