インドネシアにおけるクラウド化と業務システム導入の課題

2014/12/12

インドネシア中央銀行ビル

インドネシアの日系企業でも、サービスやシステム開発、ファイル共有などをクラウド環境で運用する事例が増えています。物理的リソースをソフトウェアで分割統合する仮想化という技術革新が、コスト削減をもたらしたことが普及の要因だと思います。

ホテルインドネシア前広場

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この記事でわかること

  • インドネシアの日系企業ではクラウド環境の利用が増加しています。
  • 1990年代後半からWEBシステムの構築がジャカルタで進みました。
  • 2011年の災害を契機にVPSサービスが普及しました。
  • 高機能システム導入には適切な人材配置が不可欠です。
  • SaaSとPaaSの選択肢がインドネシア企業のコスパ戦略に影響します。

インドネシアにおけるクラウド化の歴史とSIに求められる技術の進化

インドネシアでもクラウドという言葉が一般的になりましたが、その背景にはネットワークインフラの急速な改善があります。1990年代後半、ダイアルアップ接続によるインターネットが普及し始めた頃、WEBの利用は主に情報収集のためのものでした。しかし、WEBの利用は社外から社内イントラネットに広がり、グループウェアを中心とした社内WEBシステムの構築が進みました。ジャカルタでもこの動きは比較的早かったです。

事例:私がジャカルタで最初に手掛けた仕事は、ASP(Active Server Pages)による工場の基幹システムデータのBI化でした。

要点:このように、WEB上でアプリを利用する流れはこの時期から始まりましたが、当時は社内LAN内の話で、カテゴリ5の100MBpsのLANケーブルが普及していたため、社内でWEBアプリを構築するための障壁は低かったのです。

ASP(Application Service Provider)というサーバーサイドでのアプリケーションサービス提供が始まり、「分散化から集中化」への動きが見られました。しかし、ネットワークインフラの壁に阻まれ、ASPは普及しませんでした。その後、SaaS(Software as a Service)が登場しましたが、VPNを使ったプライベートネットワーク内での普及に留まりました。

クラウドの大きな特徴は、仮想化技術による価格破壊です。タイの洪水や東日本大震災を契機に、企業の情報資産をデータセンターで運用する流れが加速し、VPS(Virtual Private Server)サービスが普及しました。

これからのSI(System Integration)には、インフラ系ではVPSを使った仮想サーバー運用の環境設定の知識が重要になります。業務系では、クラウド化しても変わらない技術、置き換えの効かない技術が必要です。それが業務アプリに対する知識、WEBフレームワーク・プラットフォーム上での開発技術、基幹システムのデータを使ったBI化のためのフロントエンドの知識です。

インドネシア製造業での業務システム導入に潜む落とし穴|高機能システムが抱える運用リスクと選定の盲点

インドネシアで業務システムを導入する際、技術的には「このシステムは御社にとって機能が多すぎるのでは」と心配しつつも、営業的には「将来の事業拡大を見越して高機能なシステムを導入すべきです」と推奨せざるを得ない状況に陥ることがあります。

高機能で高価なシステムは、販売予測や生産計画の作成だけでなく、KPI資料を作成することで事業戦略の材料となります。しかし、これらのシステムには見えないところに重要な使用条件が存在します。

  1. システムのコアとなるマスタは正確に入力してください。
  2. 実績は正確にタイムリーに入力してください。
  3. システムを運用するスタッフは、十分意識も技量も高い人を選定してください。
  4. このシステムにより生じた損害・逸失利益に関して、当社は一切責任を負いません。

事例:インドネシアの日系製造業では、UMK(最低賃金)の高騰により間接部門の人件費削減が課題となっています。そのため、IT選任担当者を置く余裕がなく、高機能なシステムを導入しても使いこなせず、コストパフォーマンスが悪化することがあります。

要点:高機能システムの導入には、適切な人材配置と運用体制が不可欠です。企業は自社の規模や能力に見合ったシステム選定が重要です。

個人で車を購入する際には収入に見合った選択ができるのに、企業としてシステムを導入する際には過剰な選択をしてしまうことがあります。これは、フェラーリを購入して低オクタン価のガソリンを入れるようなものです。

業務システム導入はクラウド時代へ|SaaS・PaaS・スクラッチの選択肢とインドネシア企業のコスパ戦略

お客側では豊富な業務知識・経験を元にシステムを構築したいという思いがありますが、それを形にするにはSI費用やライセンス費用、導入支援費用が必要です。

  1. スクラッチ開発
  2. オープンソースをカスタマイズ
  3. パッケージ
  4. SaaS(クラウド)型
  5. PaaS(Platform as a Service)型:Salesforce・サイボウズKintoneなど

SI業者は、コスパを重視するお客に対し、基本機能のみを短期間で導入し、不足する機能はアドオンすることで開発期間を短縮しコストを下げる提案を行います。

SaaSとPaaSはクラウドサービスの形態の違いで、システムをインターネット上で使うか、開発して使うかの違いです。SaaSは既に開発済みのクラウド専用システムを利用する形態です。

事例:インドネシアでは、インターネット通信速度の向上により、会計や給与計算、人事管理などのSaaSサービスを提供する会社が増えています。ライセンス一括購入やオンプレミス型からクラウド型への移行が進んでおり、ソフトウェア使用料を低く設定することが重要です。

要点:クラウド型業務システムへの移行が進む中、コストパフォーマンスを重視したシステム投資が求められています。

PaaSでは、自社の業務形態に合わない既存システムを独自に開発したい場合に利用されますが、現状ではこのレベルをクリアできるサービスは少ないです。Salesforceやサイボウズの開発プラットフォームは主にCRMなどの対顧客Webサービスの開発が対象ですが、PaaS化の流れは業務システムの分野にも広まると考えられます。