インドネシア語は世界で一番習得しやすい言語と言われる理由

2019/03/23

インドネシア人

インドネシア人が英語を習得し易いのは表音文字であるアルファベットで表現され同じ基本5文型で構成されているからです。日本人がインドネシア語を習得し易いのは、単語の独立性が高く前後に繋がって発音が変わることがなく、前後入れ替えても意味が通じるからです。

インドネシアの子供

インドネシア語

インドネシア語は英語のように単語が繋がることで表記と発音が異なる難しさがなく、書いてあるとおりにローマ字読みすれば一定レベルまでは理解し合えるという点で、他民族他宗教国家を一つにまとめるための公用語にインドネシアを選定したことは先人の英断だったと思います。

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「言語学習は慣れが重要」と言われる理由

日常生活ではほぼ日本語とインドネシア語オンリーなので、たまに客先でやむをえず英語で説明しなければいけない状況に置かれるときに、だいたい言葉に詰まって意味不明な英語を喋ってしまう、インドネシア長期滞在者ならこんな悩みを抱えている人は少なくないと思います。

日本語も英語もインドネシア語も単語の組み合わせで文章が構成されますので、単語量が多いほど言語能力は高くなるのは異論ないはずです。

  • 単語量 ≒ 言語能力

ところが自分の場合、インドネシアに20年以上住んでいるにも関わらず、単語量はまだまだ英語のほうが多いです。

  • 日本語 >英語>インドネシア語

それにも関わらず言語能力は間違いなくインドネシア語のほうが高いと言えます。

  • 日本語>インドネシア語>英語

インドネシアに長く住んでいるとは言えども、中学生の頃から学校の授業で無理やり暗記させられてきた甲斐あって、単語の語彙数は英語のほうが多い、しかしインドネシア語のほうがスラッと言葉が出てくるし文章も書くことができる。

言語能力をSpeakingとWritingに分ける場合もありますが、単語のスペルを正確に暗記していなくとも、会話の流れや前後の文脈からだいたい通じますので、この場合単語を正確なスペルで書けるかどうかは無視するとして、単語量では「英語>インドネシア語」であるにもかかわらず、言語能力では「インドネシア語>英語」となってしまうのは何故でしょうか?

その一つの理由として考えられるのは、ある事柄を適切に表現するための単語を知らなくとも、他の言い回しでなんとか表現する能力が英語よりもインドネシア語のほうが高く、これは日常生活でインドネシア語に浸る時間が長いことで培われた「言い回し能力(言い換え能力)」のおかげだと思います。

「言語学習は慣れが重要」と言われるの所以の一つが、「慣れる=言い回し能力が高まる」からだと思います。

インドネシア語が「単語を並べるだけで意味が通じる」と言われる理由

自分はWhenとかIfとかで副詞節を作るのが非常に苦手なんですが、1番目の「副詞節内では未来形も現在形で表すルール」に至っては未だに納得できていませんw。

  1. 副詞節内では未来も現在形で表し、主節で未来形にする。
    After I go to bed, I will have a nice dream tonight.(寝た後、今夜はいい夢見るだろう。)
  2. 副詞節の主語が主節の主語と同じ場合、主語+be動詞は省略できる
    When I am considering about something, I often touch my nose without knowing.(何か熟考するとき、しばしば知らずに鼻を触っている。)
    When considering about something, I often touch my nose without knowing.
  3. 副詞節の主語と動詞は動名詞で置き換えられる。
    Before I go to bed, I stretch every day.(寝る前に毎日ストレッチしています。)
    Before going to bed, I stretch every day.
  4. 主節と主語が違っても慣用的に主語が省略できる。
    If it is possible I would like to cancel booking.(可能であれば予約をキャンセルしたい。)
    If possible I would like to cancel booking.

これらの時を表す副詞節を作るWhenとかAfterとかBeforeは接続詞であり、副詞節内の時制は条件付で時制が変化するため、英語は頭を使いながら書く話す言語だと勝手に思っています。

逆に言うと「時を表す副詞節内の時制は無視、主語も省略」してしまえば、インドネシア語を話すのと同じ感覚で文法的には怪しい英語を話せるわけです。

Sebelum tidur, saya lakukan stretch setiap hari.(寝る前に毎日ストレッチしています。)

そして日常会話の英語では、上記文法ルール意外にも平気で主語は省略されるため、自分みたいに文法ルールを意識しながら真面目に英語を話そうとする人間よりも、相手に意味が伝わることを意識しながら自由に英語を話そうとする人間のほうが上達は早いといわれる理由がこれです。

この言語的特徴に加えて、インドネシア語は単語の独立性が強く、順番を間違ったとしてもその場の状況から相手の意図を把握しやすいという特徴を持っているため、相手に察してもらうことに慣れているインドネシア人は、真面目に全部自分で説明しようとする日本人よりも肩の力を抜いて英語を話せるのではないかと推測します。

インドネシア語は時と条件を表す副詞節について、特に意識することもなく話すことができ、単語の独立性が強いことで順番を入れ替えても文脈から意味は汲んでもらえる、という点において「インドネシア語は単語を並べるだけで意味が通じる」と言われる大きな要因となっています。

決まり文句の種類を増やしルールを増やす元凶である冠詞

インドネシア語が英語よりも勉強しやすい理由は3つあると思う。
1.時制がないこと
2.単語を後ろに繋げていく関係詞のルールがゆるいこと
3.冠詞と定冠詞がないこと
英語の場合、時と条件を表す副詞節内での時制のルールとかいまだに理解出来てないし。

上述の副詞句と異なり、定冠詞(the)や不定冠詞(a/an)を使った前置詞句は「決まり文句」であり、定冠詞が入る前置詞句に不定冠詞を使ったら、英語の文法的に間違いになります。

英語の前置詞句を構成するのは前置詞・定冠詞・不定冠詞・名詞・接続詞・形容詞の6種類の単語(たぶん)ですが、インドネシア語には定冠詞(the)と不定冠詞(a/an)がないので、前置詞句を構成する単語の種類は4つに絞られることで、順列組み合わせから考えても3語以上から成る前置詞句のバリエーションが圧倒的に少なくなります。

そして何よりも定冠詞か不定冠詞のどちらを付けるのが正しいかで悩まなくて済むというのは非常に楽です。

日本語より英語のほうが簡単だと言うインドネシア人の言い分

「インドネシア語は世界で一番習得しやすい言語だ」と言われるだけあって、日本人にとって英語よりもインドネシア語のほうが簡単であることは、インドネシア在住日本人の多くが短期間でインドネシア語会話が出来るようになるという事実からも明らかです。

そしてインドネシア人にとってはカタカタ・ひらがな・漢字という全く異なる文字を使う日本語に比べて、同じアルファベットで書かれる英語のほうがより習得しやすいであろうことは、容易に想像できます。

平均的な日本人とインドネシア人の英語能力を比較した場合、インドネシア人の圧勝であることは残念ながら否定しようのない事実ですが、その理由は子供の頃からテレビやラジオで英語に親しんできたという理由以外に、インドネシア語の構造そのものにもあります。

英語は基本5文型で構成されますが、インドネシア語もこれに近い構造をしているのが、インドネシア人が英語のほうが簡単だと感じる最大の理由です。

    • 第一文型:S+V(私は笑いました。)
      印:Saya tertawa.
      英:I laughed.
    • 第二文型:S+V+C(私は先生です。)
      印:Saya adalah guru. 名詞文あるいは同定文であり第二文型とは言えないがまあ近いと言える。
      英:I am a teacher.
    • 第三文型:S+V+O(私は本を持っています。)
      印:Saya punya buku.
      英:I have a book.
    • 第四文型:S+V+O+O(彼は私に本を買ってあげました。)
      印:Dia membelikan saya buku.
      英:He bought me a book.
    • 第五文型:S+V+O+C(私はこの猫にニョニョンと名づけました。)
      印:Saya menamai kucing ini Nyonyon. 『menamai』という動詞、あまり使わないがちゃんとあります。
      英:I named this cat Nyonyon.

同じアルファベットを使い、基本5文型に則り、子供の頃から聞きなれているとくれば、インドネシア人が英語の習得は早いのもうなずけます。

発音の変化が英語を難しくしている

しかしこれほどまでに抜群の相性を持っているインドネシア語と英語ですが、一部のインドネシア人に「いや、日本語よりも英語のほうが難しいだろ」と言わしめるほどの英語の難しさというのがあります。それが発音(pengucapan)です。

日本語もインドネシア語も書かれたとおりにローマ字読みして発音する言語ですが、英語は「and(ən(d) エンド)」「bat(bˈæt ベット)」みたいに書き方と発音が一致せず、子音で終わる単語の後に母音で始まる単語が来ると「Get out!(ゲラウト!)」みたいにくっついたり、書き方と発音が一致せず、これが英語のヒアリングを難しくしている最大の理由です。

インドネシアの子供

インドネシア語は接頭辞と接尾辞が単語のバリエーションを増やす

インドネシア語は表記どおりにローマ字読みする言語であり、単語の独立性が高く前後の単語が繋がって発音が変わることはありません。単語の順番を入れ替えても通じやすいことから、インドネシア語能力は語彙量に比例すると言われる傾向があります。

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インドネシア人にとって日本語のひらがなやカタカタ、漢字などは得体の知れない文字かもしれませんが、発音の1つ1つが「子音+母音」で構成され(開音節性と呼ばれる)、一旦暗記してしまえば書いてあるとおりに読むだけであり、前後の単語で繋がることがないので、聞き取りやすいはずです。日本語は発音の難易度はゼロに近い言語だと思います。

やはりインドネシア人にとって日本語は習得し易いのだと思う。ローマ字読みの発音はインドネシア語より簡単、単語の独立性が高く語彙数と会話能力がほぼほぼ比例、一定レベルまで達してから一歩先のレベルまで行くには一念奮起(漢字の克服)が必要というのも似ているよなあ。

英語>インドネシア語>日本語の順番で主語が曖昧になっていく一方で、単語の独立性の強さは逆の順番になるということは、日本人はインドネシア語を勉強してから英語を勉強したほうが上達が速いのかも。

「インドネシア語は単語の順番を入れ替えても通じる」と言われる一方で、インドネシア語と同じく基本5文型からなる英語の場合は、単語の順番を入れ替えると通じないのは、英語は「ゲラウト」みたいに単語の繋がりも含めた音が繋がって一つのカタマリとして意味をなすからです。

インドネシア語も単語レベルでRとL、NとNG、EとUなど発音が重要視される要素がありますが、発音が間違っていても単語内での問題だけで、前後の文脈で推測できるため、コミュニケーションは成立します。

「インドネシア語は世界で一番習得しやすい言語」という評価は発音の問題をクリアしている欧米人による評価だと思いますが、自分が今インドネシア語を話す環境にいるからという優位性を差し引いても、英語と日本語とインドネシア語の難易度は以下のようになると思います。

  • 英語は読み書きも会話も難しい(高)
  • 日本語は読み書きは難しいが会話は簡単(中)
  • インドネシア語は読み書きも会話も簡単(低)

インドネシア語を喋れるけど書けないは本当か?

インドネシア語は発音の変化もなく、単語が前後に繋がることもありませんので、確かに読み書きも会話も簡単な言語だと言えるかもしれませんが、その前提として単語のスペルを正しく暗記し、スペルどおりに発音しなければ正しく喋れているとはいえません。

銀行で振込み用紙の数字の綴りをお姉さんに修正されて気づいたけど、外国人が日本語を喋れるけど書けないというのはアリでも、インドネシア語の場合喋れるけど書けないということはNとNG、RとL、NとMとか間違って覚えているから発音もいい頃加減で実は喋れていないということなんだよなあ。

インドネシア語は英語と同じように、表音文字であるアルファベットのみから構成され、単語の発音そのものが意味をなす言語ですが、英語と違って発音は単語レベルで独立しており、前後の単語とくっついて別の発音に変わることがないため、間違った発音をしていても、その単語が何かを推測できるため会話が成立します。

自分は韓国人とかハンガリー人とか在住外国人とインドネシア語で会話するときすごく聞き取りやすいと感じるので、シングリッシュとかヒングリッシュは聞き取りにくいという人の感覚がいまだ理解できず、いや欧米人の英語が一番難しいだろと言いたくなる。

僕自身インドネシアに長年住んでいるにもかかわらず、いまだに基本的な単語のスペルを間違えたりして恥ずかしい思いをすることがあるのですが、生活に大きな支障が出るわけでないので、意識して直そうと思わないかぎり、ずっとそのままになってしまう可能性もあるわけです。