MRP IIとAPSの生産管理システムの進化と課題

2011/04/16

車両運搬車

生産管理システムのコアはMRP II(製造資源計画)であり、その中心にはMRP I(資材所要量計画)があります。正確なMPS(基準生産計画)を準備することが重要です。受注からMPSを生成し、MRPで製造オーダを生成し、負荷平準化後に購買オーダを生成するプロセスを一気通貫で行うのがAPSです。

Asprova

インドネシアの生産スケジューラ

生産計画と負荷計画は密接に関連しており、数量ベースでの確認が求められる。PSI表を用いて生産数量、消費数量、在庫数量を対比することが重要。計画は実績と比較して進捗を確認し、在庫数量に基づく予測でリセットされる。

続きを見る

この記事でわかること

  • MRP IIはMRP Iを基にし、受注オーダからMPSを生成します。
  • MPSは営業部門と生産管理部門の合意で作成されるべきです。
  • リードタイムは日単位で調整し、通常オーダに対応します。
  • APSはMPSから製造オーダと購買オーダを自動生成します。
  • 製番管理は受注オーダに基づき製造オーダを個別に作成します。

MPSからMRP, MRPIIという発展

MRPとは資材所要量計画(Material Requirement Planning)であり、将来の部品や材料の調達を計画するために、製品を部品展開して在庫や発行済み製造オーダや購買オーダを引当てて正味所要量を計算します。これは製品の完成日ベースの月次生産計画である基準生産計画(Master Production Schedule=MPS)がMRP計算のスタート地点となります。

純粋なMRP機能だけの場合、Excelなどで製品のMPSを自前で準備する必要があり、MRPにより在庫引当や安全在庫を考慮して所要量計算するのは、仕掛品や材料のみになります。

もう一つのMRPは製造資源計画(Manufacturing Resource Planning)で、MRP IIとも呼ばれます。従来のMRPの前に、受注オーダや内示を元にMPSを生成するプロセスが含まれ、MRPの結果として計算される資材所要量から購買計画を作成するプロセスまで含むイメージです。

通常、顧客からの受注数量は変動するものであり、受注オーダや内示をMRP計算のスタート地点として、製品在庫を引当てた上で製品の正味所要量のみを製造する方法は、需要がある程度予測できる業態にのみ適用できます。

このように受注オーダや内示から製品在庫を差し引き最低在庫を考慮した上でMPSを作成し、部品展開を行い所要量計算を行った結果として製造オーダを作成し、負荷平準化を考慮しながら資源割付を行った上で製造指図を発行し、これをベースに発注書を発行する機能がMRP IIに近いです。

製造資源計画

業務システム(ERP)のコアはMRP IIであり、MRP IIのコアがMRP Iです。MRP IIではMPSの作成が非常に重要で、MPSの管理対象が製品で、MRPの管理対象が材料と仕掛品という区分けがなされています。

リードタイムずらしと負荷平準化

本来、MPSは顧客サービスの観点から出荷スケジュールや内示(Forecast)を重視する営業部門と、現場の事情を考慮したい生産管理部門(Production Planning and Inventory Control=PPIC)の双方の合意をもって作成される最終製品の生産計画です。

しかし、インドネシアでは、実際に現場で見る限り、MPSは生産管理部門が営業部門から受け取った内示と出荷スケジュールから機械的に作成され、営業部門もMPS作成段階で特に介入することは少ないようです。出荷時に納期遅れが発生しそうになると、あわてて現場におりてフォローするという光景が日常です。

リードタイム(Lead Time=L/T)の単位は日単位であり、工程ごとに日単位でL/Tをずらすことで製造指図発行のタイミングを計算します。これは「オーダ数量が1個でも1,000個でも製造L/T1日分前倒しする」ということです。L/Tを日単位にするということは、サンプル製作などの小口オーダや稀に発生する大口オーダではなく、通常オーダに対応した計画を立てるということです。

大口のオーダが入った場合は、複数マシンに並行して作業を割り当てるなど負荷平準化にて対応すべきであり、MRPで対応する問題ではありません。それで対応できないということは、そもそも能力計画が間違っているか、1日10個の生産能力に対して100個のオーダを取ってくる営業の問題です。

MRPの目的は通常生産時に正味所要量を製造するためのグロスの生産計画を作成することです。MRPリードタイムずらしにより作成した生産計画は、現場の調整能力や生産準備(能力計画・販売計画)など人間系の努力があってはじめて成立します。

これが限界に達したときに生産計画と能力計画がアンバランスになり、MRPから効率の悪い製造指図が発行されるようになり、生産能力が十分あるにもかかわらず不必要な残業や休日出勤が発生したり、中間在庫が滞留したりします。

この問題を解消するために、タイムバケットを設定しない有限能力の先進的計画&スケジューリング(Advanced Planning and Scheduling=APS)の導入が検討されます。

MRPと製番管理

まず、営業が用意した内示を基に、生産管理部が設備能力を考慮しながら日次のMPSを作成します。この際、オーダ数量の少ない製品を均等に日割りにすると段取り時間が多くなるため、週の初めや月初めに集中して生産する調整を行います。

MRPをまわすことで所要量展開を行い、正味所要量を計算すると資源能力を考慮しない製造オーダが作成されますが、同時に最終製品や仕掛品を製造するための月間必要稼動時間が計算されます。

製造オーダーを生成する際にロットまとめをせず、受注オーダから必要数量分だけの製造オーダを作成し、紐付きをもたせるものが製番管理です。MRPと製番管理は製造工程でロットまとめするかしないかという面で大きな違いがあります。専門書では相対する概念として扱われるにもかかわらず、システム上では「製番管理に対応したMRP」という言い方がされます。

APSのMRP機能

ERPシステムでは、MRPを回した後に製造オーダを負荷平準化を考慮しながら資源割付作業(スケジューリング)を行います。そして、もう一度資材調達のためのMRPを回すことで、製造に必要なタイミングで材料を入荷する購買計画を立てることができます。このプロセスを自動化し、MPSから一気に製造オーダと購買オーダを出力できるのがAPSです。APS機能を持つ生産スケジューラーでは、MPS生成以降のプロセスが一気に自動化されます。

よくある質問|MRPとAPS

所要計画からスケジューリングへ進むときに多い問いです。

MRPだけでは足りないのはなぜですか?

MRPは所要の展開が中心で、設備の有限能力や段取りを時間軸で崩しきれない場面があります。APSは制約を踏まえた割付で、負荷の平準化と納期の見える化を補います。

製番管理とMRPはどう関係しますか?

製番は案件単位の流れを追う枠組み、MRPは需要からの所要展開です。両者を混同せず、計画の粒度と実績のひも付けを設計することが重要です。

APSのMRP機能はどう位置づけますか?

スケジューラ側でも所要展開に近い処理を持てますが、役割は設備割付と制約充足に寄せるのが一般的です。MRPの出力を入力として受け、現場の実行計画へ落とします。