インドネシア語の日常会話に不自由しないが正しいスペルで書けないと気付いたら、実際には正しく喋れていなかったことになります。英語は表記と読みが異なる発音に難しさにあり、インドネシア語は表記通りのローマ字読みである点が日本人には学習しやすいと言えます。
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インドネシア語
インドネシア語は英語のように単語が繋がることで表記と発音が異なる難しさがなく、書いてあるとおりにローマ字読みすれば一定レベルまでは理解し合えるという点で、他民族他宗教国家を一つにまとめるための公用語にインドネシアを選定したことは先人の英断だったと思います。
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「喋れるが書けない」とは「正しく喋れていない」ということ
外国語は実践が大事、使わざるを得ない環境に移住すれば必然的にしゃべれるようになるとはよく言われます。
特にインドネシア語はアルファベットのローマ字読みであり、書いてあるとおり発音すればよい言語なので、数多く喋ることで語彙が音のカタマリとして記憶に残りやすい。
英語の場合、got itは「ガッリット」みたいに、2つの単語が繋がって1つのカタマリの発音になりますが、インドネシア語の場合、buntut itu(その尻尾)は「ブントゥッティトゥ」とはならず、日本語読みと同じように「ブントゥット イトゥ」のように単語が独立した状態でローマ字読みで発音されます。
普通はインドネシアに住み始めて1年もすれば、耳から音のカタマリとして覚えた単語の数が増えてくる頃ですが、これがいざメールで文字に置き換えるというとき意外と悩むものです
自分もインドネシアに来たばかりの頃、日本の方からインドネシア人へのお礼の代筆を頼まれたことがあり「ありがとうございます」を「テリマカシ」という音のカタマリとして記憶しているにもかかわらず「kasih」を「kashi」と書いてしまったことがあります。
ローマ字は基本は「母音+子音」で表記されますが、インドネシア語は語尾が子音で終わるケースがあり、このときはじめて「テリマカシ」の発音の語尾が「SHI+H」みたいに、気持ちだけ「ヒ」という子音で終わることを知りました。
インドネシア語の勉強にスランプがあるとすれば、それは「喋れるけど正しく書けない」と感じたとき、もっと言うと上達したと得意になっていた矢先に「実際には正しく喋れていなかった」ことに気づいて落ち込むときかもしれません。
まぎらわしい3つの音の違い
日本語学科出身で英語もペラペラのうちの嫁はん曰く、英語の難しさは表記と読み(ヒアリング)が異なること、つまり発音(Pengucapan)の難しさにあると言います。
そして発音が簡単なインドネシア語を母国語とするインドネシア人にとっては、50音という「母音+子音」から構成される日本語は、インドネシア語以上に発音が簡単と感じるわけです。
逆に言うと日本人にとっての発音の難しさは、英語よりもインドネシア語のほうがはるかに少ないので、赴任してくる日本人は日々の実践の中で語彙数を増やし、帰任する頃には一定のレベルのインドネシア語使いとなります。
限られた任期の中で言語特性の違いを理解し、正確な口腔と舌の動きを意識した発音練習をするのもいいのですが、とりあえず日常生活に支障が出ない程度の発音が身に着けば十分かと思います。
実際には「喋れるけど正しく書けない」問題は以下の3つの音の違いが原因となっていますので、それぞれの対処方法を説明します。
Nは「ヌ」でNGは「ン」と発音する
NとNGの発音の違いは「ヌ」と「ン」の違いと割り切って問題ないと考えます。
例えばmakanは「マカヌ」、mungkinは「ムンキヌ」、panjangは「パンジャン」、tolongは「トロン」と発音しておけば、インドネシア人に聞いても合格をもらえるはずです。
これらの単語の語尾にANを付けて抽象名詞化したときに、「ヌ」で終わるものは「ナン」、「ン」で終わるものは「ガン」になりますので、音のカタマリとして覚えた「makanan マカナン(食べ物)」「kemungkinan クムンキナン(可能性)」の語尾は「ヌ」、「panjangan パンジャンガン(長さ)」「pertolongan プルトロンガン(助け)」の語尾は「ン」ということになります。
Rは舌を巻いて「ラ」でLは普通に「ラ」と発音する
これは意識して舌巻いて「ラ」と言うと「R」、日本人が普通に「ラ」と言えば舌巻かないので「L」になります。
ただ「R」が語中や語尾にある場合は、舌を巻くための心の準備が一瞬できるのですが、語頭にくる場合の巻き舌は非常に難しく、「R」の前につい「ア」が付いて「アラィ」みたいに不自然なべらんめえ口調になりがちです。
しかし語頭の「R」はインドネシア人にとっても難しい発音なので、日本人が落ち込む必要はありません。
うちの嫁はんの名前は「RINI リニ」といいますが、スタバで名前を聞かれるとき、高い確率で「ディニ」とか「ティニ」、酷いときは「ディンダ」と聞き間違えられるので、日本人の我々が語頭の「R」を正しく発音できないのは当然なのです。
また「R」と「NG」、「L」と「N」の組み合わせとしてjarang jalan2(滅多に出かけない)を日本語的に読めば「ジャラ(巻)ン ジャラヌジャラヌ」となりますが、仮に「ジャラン ジャランジャラン」と単純に「ジャラン」を3回繰り返しても、文脈の中で相手は理解してくれるのでコミュニケーションは成立します。
Eは「エ」とUは「ウ」で暗記して違和感から判断する
「perempuanプルムプアン (EかUか)」「スプル sepuluh (UかEか)」「スリブ seribu(RかLか)」など、カタカナで覚えたら「U」だが実際は「E」だった、もしくはその逆というケースが多々ありますが、これは「ペレムプアン」「セプル」「セリブ」と覚えて、違和感からEとUの中間の音を出すしか方法はないと思います。