インドネシアのロータリー交差点と交通事情の考察

2019/07/25

ジャカルタのラウンドアバウト

インドネシアのラウンドアバウトは、オランダ統治時代の名残と言われています。これがジャカルタの渋滞の要因になっているのか、信号交差点だったらもっと酷いことになっているのかは不明です。しかし、効果を発揮する条件は交通量が比較的少なく、運転者のマナーが高い環境です。

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この記事でわかること

  • インドネシアのロータリーはオランダ統治時代の名残です。
  • ジャカルタのBundaran HIは信号があるためロータリー交差点です。
  • ロータリーは信号交差点よりも低コストで作れます。
  • 北ブカシのSummareconには完全なラウンドアバウトがあります。
  • ロータリーの運転は譲り合いの精神が重要です。

ジャカルタのロータリー交差点とは?都市設計と交通事情から見るインドネシアの都市インフラ

インドネシアの道路でよく見かけるロータリー(bundaran lalu lintas)は、車がぐるぐる回りながら流れる様子が特徴的です。私はThamrin通り裏のアパートに住んでいた頃、日が暮れてからBundaran HI(ホテルインドネシア前広場)まで散歩し、渋滞の波が詰まっては流れる様子を眺めて楽しんでいました。

ホテルインドネシア前広場の歓迎の塔
ホテルインドネシア前広場の歓迎の塔(Patung Selamat Datang)を中央島に配したロータリー

運転する際、ロータリーの1番目の出口から出るには、左に寄ったままロータリーに侵入し大外から出口を目指します。2番目以降の出口から出る場合は、右に寄せておき、時計回りに流れる車列に自然に溶け込むように進みます。言葉で説明するのは難しいですが、理想的には緩やかな放物線を描くように出るのが良いです。

ジャカルタのBundaran HIはPullman Hotel方面への出口手前とPullman Hotel横からロータリーに入り込む手前に信号と横断歩道があり、厳密にはロータリー交差点に分類されますが、英語の旅行ガイドブック等にはRoundaboutやTraffic Circleと記載されています。中央島にそびえ立つ歓迎の塔(Patung Selamat Datang)は1962年の第四回アジア大会開催時にスカルノ大統領によって建設された銅像で、ジャカルタのアイコン的存在です。

北ブカシのSummareconにある完全なるラウンドアバウト
北ブカシのSummareconにある完全なるラウンドアバウト

ロータリー交差点と環状交差点の違いは、入り口と出口の信号や一旦停止ラインの有無と言われますが、これらを明確に分ける意味はありません。北ブカシのSummareconにあるロータリーは完全なるラウンドアバウトの例ですが、ブカシのバイクの運転マナーは悪く、目的の出口に向かう際に道を譲らず加速して突っ込んでくるので、運転には緊張が伴います。

インドネシアの道路にロータリーが多い理由は、350年間続いたオランダ統治時代の街の景観を重視する道路建設の名残と言われています。日本の道路ではロータリー交差点を見ることはほとんどありません。

インドネシアの道路にはラウンドアバウトが多い
カリマンタン島のパランカラヤにある大環状交差点

ロータリーはジャカルタ渋滞の要因とされることもありますが、普通の信号交差点だったらもっと酷いことになるという意見もあります。将来も増えていくのか廃止の方向で進むのかは不明ですが、インドネシアの都市景観の大きな特徴の一つであり、Polisi Tidur(スピードバンプ)と共にジャカルタの道路のアクセントとして後世に残していって欲しいものです。

首都移転先の最有力候補であるカリマンタン島のパランカラヤ(Palangka Raya)にある大環状交差点(Bundaran Besar)は、インドネシアの8大島であるジャワ島、スマトラ島、スラウェシ島、カリマンタン島、バリ島、ヌサ・トゥンガラ諸島、ニューギニア島を表す8本の道路が交差しています。

インドネシアのロータリー交差点はなぜ運転が難しいのか?交通マナーと渋滞事情から考察

一般的にロータリーは、信号のある交差点での出会いがしらの衝突事故のリスクが小さく、信号が不要なため低コストで作ることができます。しかし、一切の規制がないため、運転手同士の紳士協定による自然の流れが形成され、初心者には運転が難しく、減速による渋滞が発生しやすいと言われています。

Thamrin通りの北端アルジュナ・ウィジャヤ像(Patung Arjuna Wijaya)前ロータリー
Thamrin通りの北端アルジュナ・ウィジャヤ像(Patung Arjuna Wijaya)前ロータリー

ロータリーでの運転が難しいのは、入り口から環道に侵入する際に1番目の出口に向かう車やバイクとの間合いの取り方と、2番目の出口から出る際に環道を斜めに横断する際に3番目の出口以降を目指す車との間合いの取り方です。インドネシアでも基本は直進優先で、環道を流れる車列に入る時も、横切る際も、相手の優先度が高く、譲り合いの精神に依存します。

インドネシアでの生活が長くなると、行列横入りが少なくなったり、ゴミのポイ捨てが減ったりと、公衆マナーの向上を感じることがあります。しかし、インドネシアの車やバイクの運転マナーは決して良いとは言えず、ロータリーでの譲り合いのマナーが期待できないため、運転の難易度は高いです。

Sudirman通り南端の青年の像
Sudirman通り南端の青年の像(Patung Pemuda)を中央島に配したロータリー

ロータリーが信号交差点よりもメリットがあるのは、交通量が少なく、運転者のマナーが高い場合です。これに該当するのはヨーロッパや日本などの先進国の地方都市で、渋滞都市ジャカルタでの導入のメリットは景観をよくすることだけかもしれません。

ちなみに、Sudirman通り南端のロータリーにはSenayan方面への出口前に信号があるため、ラウンドアバウトではなくロータリー交差点に分類されます。中央島に立つ青年の像(Patung Pemuda)は1972年に若者の精神充実を啓発する目的で建てられ、在住日本人の間では「あっちっちの像」として親しまれています。