ルワックコーヒーの魅力とインドネシア産地の違い

2019/04/10

ルワックコーヒー

ルワックコーヒーは、ジャコウネコの未消化かつ発酵済みの糞を原料とする特別なコーヒーです。食べた豆の産地独特の風味とまろやかなアロマが評価されます。ルワックはケージで飼育されることもありますが、自然の中で動物の本能で選別された豆から作られるものはより高価です。

コーヒー大国インドネシア

インドネシアのコーヒー文化と産地別スペシャルティ豆の魅力とは?

インドネシアのコーヒーはオランダ植民地時代に輸出目的で持ち込まれました。スペシャルティコーヒーは高原地帯で栽培され、風味が異なります。UCC上島コーヒーのマンデリンやキーコーヒーのトラジャは有名です。

続きを見る

この記事でわかること

  • ルワックコーヒーはジャコウネコの未消化の糞から作られます。
  • インドネシアは世界第4位のコーヒー生産国で、70%がスマトラ島で生産されています。
  • ルワックコーヒーは天然モノと養殖モノがあり、天然モノはより高価です。
  • スペシャルティコーヒーはSCAAの基準で100点満点で評価されます。
  • インドネシアのコーヒーはロブスタ種が主流で、アラビカ種は10%に過ぎません。

ルワックコーヒーの原料はジャコウネコの糞?知られざる動物と製法の真実

ネコというよりネズミ似のルワック

ルワック(Luwak)という動物がジャコウネコだと聞くと、ネコが陽だまりでコーヒー豆の上でお昼寝している様子を想像するかもしれませんが、実際には鼻が長くネズミのような顔をした動物です。このルワックという名前はジャコウネコのご当地での呼び名であり、ジャカルタのインドネシア人でもルワックがどんな動物か答えられる人は少ないです。イタチ(musang)と混同されることもありますが、イタチはイタチ科、ジャコウネコはジャコウネコ科で、ネコ科よりも原始的な種類の動物です。

2014年から2015年に東ブカシのSukataniからTambun地域で、夜中にルワックコーヒーの香りとともに家の中のお金が消える事件が発生し、ルワックコーヒーの悪魔の仕業だという噂が広まりました。「世界で一番高価なコーヒー」「幻のコーヒー」とも言われ、日本でも一杯1,000円以上するほどです。コーヒーチェリーを食べたジャコウネコの未消化の糞を精製するという変わったコーヒーです。

生々しい未消化体内発酵された糞

生々しい写真で恐縮ですが、犬を飼ったことがある人ならわかる毛が混じった糞、こんなものをありがたく飲む行為が文化的なのか原始的なのかわかりませんが、飽食で退廃した人類の欲望を満たすには、一周回って糞食に回帰せざるを得ないという予兆かもしれません。

ルワックコーヒーはジャコウネコ科の哺乳類の糞の中にある未消化かつ発酵済みの豆から作られますが、ケージの中で飼育されたルワックの糞を集める「養殖もの」が主流です。バリ島のコーヒー農園でもケージで飼われているルワックが見学できます。実際に森の中に落ちている「天然モノ」の糞を探すよりも、ケージに入れて飼育しながら定期的に糞を採集したほうが効率が良いですが、その飼育環境が劣悪だと問題視され、動物愛護団体から糾弾されることもあります。

Kopi Luwakは14万RP/100gとAche Gayoの6倍以上するが香りの芳醇さは舞茸と松茸くらい違う。天然モノは野生のluwakだかmusangが美味しいコーヒーチェリーを本能で選別して食べた後の糞を精錬、養殖ものの糞はゲージの中で人間が与えるのを食べて排出されるので風味が全然違う、という話は納得できる。

コーヒー界の松茸的存在としてあがめられる一方で、名前だけLuwakを冠した廉価品がスーパーやお土産物名店に多く並び、商業主義が行き着く先には自然破壊と動物の生活環境の破壊があり、最終的には人間と動物の共存という難しい問題に行きつきます。

インドネシアコーヒーの魅力とは?ロブスタ・アラビカ・ルワックの違いと評価基準

オフィスの前のKedai Kopi

インドネシアは赤道付近に位置し、東西に長く連なる国土に高原地帯が点在するため、コーヒー栽培に適した条件を備えています。1602年の東インド会社の進出を契機に、オランダの植民地支配が始まり、アラビカ種のコーヒーノキがジャワ島に持ち込まれ、プランテーション栽培が始まりました。

栽培から流通までのサプライチェーンにおいて、一貫して高い品質管理を受け、厳正なカッピングをクリアしたものがスペシャルティコーヒーと呼ばれます。インドネシアは世界第4位のコーヒー生産国であり、その生産の70%がスマトラ島で行われ、全体の90%がロブスタ種です。スペシャルティコーヒーの対象となるアラビカ種はわずか10%です。

4万ルピアのルワックコーヒー

ロブスタ種は苦味が強く、アイスコーヒーのブレンドに適しています。アラビカ種はスマトラ島を中心にインドネシア各地で栽培されています。ジャワ島にも良質なアラビカ種の農園が、西ジャワのガルングン火山周辺や中部ジャワのスマラン高原地帯にあります。

スペシャルティコーヒーのカッピングの目的は「そのコーヒーが産地の風味の傾向を明確に表しているか」を評価することです。SCAA(Specialty Coffee Association of America)の採点基準では、以下の基準に基づいて100点満点で評価します。

  1. Fragrance / Aroma(飲む前のコーヒーの粉と液体の香り)
  2. Flavor(コーヒーが口と鼻で感じられる風味)
  3. After Taste(コーヒーを口に含んだ後の余韻)
  4. Acidity(コーヒーの酸味)
  5. Body(コーヒーを口の中で感じるコク)
  6. Uniformity(味の統一性)
  7. Balance(FlavorとAcidityとBodyのバランス)
  8. Clean Cup(雑味の少なさ)
  9. Sweetness(甘さ)
  10. Overall(総合評価)

同じ産地で同じ条件で収穫されたコーヒーチェリーを使っても、サプライチェーンの各段階での管理が重要です。コーヒーチェリーから生豆への精製、保存環境、焙煎、粉砕、淹れ方など、各段階での管理が最終的な味に影響を与えます。

  1. コーヒーチェリーから生豆に精製⇒工場管理者の仕事
  2. 生豆の保存期間と保存環境⇒バイヤーの仕事
  3. 焙煎のされ方、焙煎後の保存期間と保存期間⇒焙煎士の仕事
  4. 粉砕(挽き方)・淹れ方⇒バリスタの仕事
  5. 淹れる⇒バリスタまたは消費者の仕事

ルワックコーヒーの場合、産地だけでなく、精製する原料が糞100%であることが重要です。評価には、ジャコウネコの糞から精製したルワックコーヒーを飲み、産地独特の風味とルワック特有のまろやかなアロマの強さが重要です。

本物のルワックコーヒーを味わうには?インドネシア各地の糞100%ルワックを飲み比べ

その名もズバリKopi Luwak(中部ジャワSemarang産)

Grand Indonesia西館地下

店の名前がそのまんまKopi Luwakですが、これは1969年に設立されたコーヒー栽培総合メーカーPT Java Prima Abadiによって商標登録されたもので、グランドインドネシアやコタカサブランカなど、ジャカルタを中心としたモールにアウトレットを展開しています。

ジャワ島ではロブスタ種の栽培が中心であり、アラビカ種コーヒーはそれほど有名ではないのですが、Kopi Luwakのルワックコーヒーは、スマランにある独自農園で採集したLuwakの糞100%を精製したものであり、店頭では10gの粉末をtubruk式(沈殿式)で淹れたものをRp.89,000で飲めますが、150gの粉をRp.650,000で購入することもできます。

「糞100%」というのがなんともたまりませんが、ルワックの名を語ったコーヒーのほとんどが通常のコーヒー豆とのブレンド品なので、糞100%という表現は正真正銘のルワックコーヒーであるという高い評価になるのです。

沈殿式とはコーヒーの粉がカップの上を漂流した状態のままスプーンでかき混ぜて、粉が沈殿するのを根気強く待ってから飲むという方法ですが、私の場合、沈殿しきれないで中層あたりを回遊しているコーヒーの粉が喉にひっかかるのが気になってしまいます。

この飲み方はバリのコーヒー「バリコピ」とか「コピバリ」で有名であり、実際にバリ島旅行でコーヒーを飲んだ人が、これがトラウマになって「バリ島のコーヒーは粉っぽいから嫌だ」と誤解されることがあるのですが、これは単にバリ島の地元の人がフィルタを使わないで飲んでいる飲み方を呼んでいるだけです。

この「かきまぜて2分待つ」沈殿式で淹れたコーヒーは、豆本来の酸味が十分に出きれず、お湯を注ぐ瞬間に立ち込めるルワックコーヒー独特の芳醇なアロマが出ないので、残念ながら私にとっては物足りない感じがします。

昔からあるインドネシアのコーヒーチェーン店Excelso(Tanah Toraja産)

Excelso
Excelsoは1991年にPlaza Indonesiaでオープンしたインドネシアの老舗カフェで、サイフォン式で淹れてくれましたが、小さめのエスプレッソカップでクッキーが付いて1杯Rp.115,000で飲めます。

スラウェシ島のタナトラジャにある独自農園で採集した糞100%のルワックコーヒーは、口に含んだときのまろやかさと、トラジャ特有の酸味が残ったパンチの効いたコーヒーですが、ただルワック特有のアロマは強くなく、言われなければ普通のトラジャコーヒーと考えてしまうかもしれません。

ここでも200gの粉末をRp.500,000で購入できますので、1杯10gで20杯分として1杯あたりRp.25,000とお徳です。

街中のKedai Kopi(中部スマトラJambi産)

バリスタ

インドネシア人はコーヒー好きなのでKedai Kopi(コーヒーショップ)が街のいたるところにあり、本格的なカフェだけでなく、道端のKedai Kopiで出してくるコーヒーですら、明らかにレベルアップしており、経済成長著しいインドネシアの中間所得層が分厚くなり、食の面でも豊かになって、インドネシア人の舌が肥えてきていることが分かります。

弊社オフィスは西ブカシのSummareconという開発区画地域にありますが、すぐ近くの完全にインドネシア人の中間層をターゲットとしたKedai Kopiで、本格的なマニュアルブリューのシングルオリジンコーヒーをその場で淹れてくれます。

大半が1杯Rp.20,000程度のインドネシア各地から取り寄せたコーヒーの中に、1杯Rp.40,000のルワックコーヒーがあり、Luwak Sungai Penuhというスマトラ島中央部のジャンビ州(Jambi)2番目の都市のコーヒー農園で精製されたものです。

残念ながら豆の品質というよりも焙煎過程または保存方法が原因で発生したと思われる酸味が強すぎて、何か食べながらでないと胃に流し込むのはキツイと感じました。

自宅で楽しむ極上ルワックコーヒー

ルワックコーヒーは、ジャコウネコの体内で発酵される過程で生まれる独特のまろやかさと強烈なアロマが魅力です。口に含んだときのフレーバーやアフターテイストは、他のスペシャルティコーヒーと異なり、豆の品質と鮮度が重要です。私は南ジャカルタのBlok M Square前のPasar MelawaiにあるBatu Timbanganで購入した100gがRp.140,000のルワックコーヒーを自宅で挽きたて、淹れたてで楽しむのが最高だと感じています。

事例:Blok Mプラザ前の小規模卸屋さんが集まる建物の入り口付近にある小さな店、Batu Timbanganのコーヒー豆を買うためだけにジャカルタに来ます。Aceh Gayo1kg Rp.220Kでこの味と香りはなかなかです。

松茸を自宅で炭火焼きしながら芳醇な香りを楽しむように、ルワックコーヒーも自宅で豆を挽くときと淹れるときの2段階で放たれるまろやかなアロマを楽しむのが贅沢です。