生産スケジューラ

プリセールス時に直面する価格と導入期間の問題 【インターフェイスとセットで導入することで機能のボリュームを膨らませ、プロジェクト前にマスタの事前整備を依頼】

2015/02/20

生産スケジューラーのプリセールス時に必ずぶち当たるのが、価格と導入期間の問題です。「生産計画作成だけでこんなに高いの?」とか「生産計画作成をシステム化するだけでこんなに日数かかるの?」という反応が来るのが普通なので、これに対して相手を納得させる回答がないとプリセールスは成功しません。

インドネシアの生産スケジューラーまとめ
生産スケジューラ

インドネシアの製造業界においてMESやIoT導入により生産情報が自動的に取得できるようになれば、それを生かすための未来の生産シミュレーションというニーズが発生するのが自然であり、日本発生産スケジューラAsprovaの活躍の場は多いと考えます。

続きを見る

価格の問題

生産スケジューラーで何が出来てそれが価格に見合ったものであることをいくら言葉で説明しても、インドネシア人生産計画作成担当者にインプットされた割高感は決して拭いきれないことは経験上実証済みです。高い買い物をしてもらうのですから、買ってもらうものが価格相当のものであることを目で見て肌で感じてもらうしかないです。

ですから対応策としては、生産スケジューラーとサブシステムのパッケージ化、機能の幅を横に拡張することでサービスのボリューム感を膨らませるしかないと思います。

「生産計画だけ」と範囲限定するのではなく、そのためのマスタ共有、実績入力、実績データ共有、分析レポート共有といった社内全体でシステムを有効活用できるという点を訴えます。

ここでは「WEBによる社内共有」という言葉がキーであり、そのために有効なのはWEBベースのサブシステムなのですが、URLをメールで告知して「ここにアクセスしてみてください」という気軽さがポイントになります。

但しサブシステムはあくまでも業務系システムのサポート機能に徹し、本来得意としないデータ管理の領域に踏み込まないことです。つまり在庫管理機能、販購買管理機能とは一線を引き、サブシステムの開発工数を増やさないことであり、サブシステムで機能の幅を広げるとはいえ、専門分野から逸脱しないことが重要だと思います。

つまりサブシステムが業務系システムに蓄積される成果物を社内共有するBIツールの役割を持ち、この場合WEBによる社内共有が以下の効果を発揮することにより、インドネシアの日系製造業のシステム導入の現場の共通の課題を克服する可能性を持っていると思います。

  1. システムのOutputが見える化される。
  2. サブシステムへのアクセス負荷が最小化される。
  3. 日本人上司の進捗監視のプレッシャーでスタッフの士気が上がる。
  4. Sier側の保守負荷が最小化される。

導入期間の問題

標準的な導入期間は3~5ヶ月の中で、最大のネックになるのは間違いなくマスタの不備です。

よってプロジェクト開始前に、最大のネックとなるマスタ準備の効率化のために、人海戦術でメンテナンスできるサブシステムを提供することを説明し「本気で取り組めばマスタの精度は2ヶ月で95%以上まで上がるはずであり、そうすれば導入期間を短縮できる」ことを理解してもらいます。

導入のおおまかな流れは以下のとおりですが、最初の2ヶ月でマスタの精度がどれくらい上がったかが、その後の運用開始までの導入期間に大きく影響します。

  1. プロジェクト開始前にマスタある程度まで準備してもらう。
  2. 要件定義でサブシステムの範囲定義・マスタ作成方法を説明
  3. マスタ準備
  4. サブシステムの開発・カスタマイズ。
    ⇒ここで1ヶ月目終わり
  5. 受注(製造)オーダから計画のアウトプットまで一通り実行
  6. Fit&Gapでシステムのパラメータのチューニング
  7. I/Fの修正後5に戻る。
    ⇒ここで2ヶ月目終わり以降5~7を1回(1ヶ月)~2回(2ヶ月)繰り返すことで計画の精度を上げます。

総括

 

  1. 効果を訴えても目に見えないのでインドネシア人担当者の心に響かないので、機能の幅を横に拡張することでサービスのボリューム感を膨らませる。
  2. 導入期間はマスタ準備に要する期間に依存することを認識していただいた上で、マスタ準備の効率最大化のために人海戦術でメンテナンスできるサブシステムを提供する。
  3. 具体的な「社内情報共有化」のために有効なサブシステムについては次記事で考察する。
生産スケジューラー用インターフェイスの開発 【マスタ入力・実績収集・レポート出力の3点セット】

ここでは生産スケジューラーのサブシステムを例に考えますが、ユーザービリティ向上のために開発するインターフェイスは、大きく分けて既存マスタと追加マスタを統合する入力インターフェイス、バーコードスキャナーやハンディターミナルによる実績収集インターフェイス、製造指図や稼働率予実比較表等のアウトプット用の出力インターフェイスの3種類に分かれます。

続きを見る