テレコムグループがNetflixへのブロックを解除したことで、Telkomselの契約者とIndihomeの固定ブロードバンド回線契約者に、ビデオ・オンデマンドを販促することで、Netflixのインドネシアへの浸透が急速に拡大すると考えられます。 インドネシア市場でのビジネスで重要な要素は価格とブランド、コネの3つと言われますが、必ずしもこれらを持ち合わせない日本人はどのように戦えばよいのか。これはインドネシアに関わり合いを持って仕事をする人にとっての共通の問題意識かと思います。 続きを見る
インドネシアのビジネス
テレコムグループがNetflixのブロックを解除
今週2020年7月7日より、テレコムグループがアメリカからのビデオ・オン・デマンドサービスのブロックを解除したことにより、子会社である高速通信回線サービスプロバイダーIndiHomeと、携帯電話キャリアーのTelkomselの契約者がようやくNetflixにアクセス出来るようになりました。
とは言うものの僕のスマホのキャリアーである老舗弱小ProXLでは、以前から普通にNetflixを視聴出来ましたし、自宅ではネット接続用にIndihomeに契約してはいるものの、テレビをほとんどつけたことがないため、Netflixは2016年にインドネシアでサービスを開始していたにも関わらず、国内最大の携帯電話キャリアーであるTelkomselでは観られなかったという事実を知って驚いたくらいです。
今回のブロック解除の主な理由が、Netflix側によるインドネシア社会の規範に反すると考えられるコンテンツの削除ポリシーの改善と、ASEANのオンデマンド業界向けビデオサブスクリプションの自主規制コード(Self Regulatory Code for Subscription Video on Demand Industry)への準拠義務に基づいて、著作権を侵害し、児童ポルノ、テロ行為、差別的行為の要素を含み、知的財産権に違反するコンテンツを表示しないことに合意したことです。
これ以外にも、親のアカウントをPINロック機能でロックして、子供に有害なコンテンツをフィルタリングする機能の実装が評価され、さらにNetflixはローカルコンテンツを増やすことで、インドネシアの映画産業の発展に貢献することを約束しています。
ちなみに今回のテレコムグループとの合意には直接関係ありませんが、2020年7月からインドネシア国内に現地法人がないNetflixやAmazonなどの海外のEC会社も、恒久的施設(PE=Permanent Establishment)として、インドネシア国内の代理人を通してPPNの支払が義務化されていますので、今月末の契約者へのインボイスにPPN10%分が上積みして計上される可能性があります。
テレコムグループがNetflixのプロモーションをしやすい理由
テレコムグループがNetflixへのアクセスのブロックを解除した2020年7月7日のテレコムの株価が2.3%上昇していますが、これは今回の措置によりテレコムグループがビジネス上で大きな利益を得て成長することが見込まれているためであり、Telkomselの既存の1億6,200万人の携帯電話契約者と、Indihomeの730万人の固定ブロードバンド回線契約者情報を使って、ビデオ・オンデマンド(視聴者が観たい時に様々な映像コンテンツを視聴することができるサービス)をプロモーションすることで、Netflixのインドネシアへの浸透が急速に拡大すると考えられています。
通常Indihomeなどの高速通信回線プロバイダーはインターネット接続とTVとその他サービスをパケットという形で販売しており、例えばうちが今契約しているIndihomeのパケットは、インターネット速度20Mbpsに加えて、92のテレビチャンネル以外にiflixというNetflixの東南アジア版のビデオ・オンデマンドサービスが含まれていますが、ここにオプションとしてNetflixが入り込む可能性があります。
消費者はNetflix単独で契約するよりもパケットで契約するほうが安上がりであるため、テレコムグループとNetflixとの合意によりIndihomeがNetflixを放映出来るようになれば、既存のIndihome契約者に魅力的なサービスの提示が出来るのです。