会計システム

システム上の会計と在庫の同期方法 【勘定連絡図】

2014/12/02

仕入勘定で費用計上しておき、月末の決算整理仕訳でOpening Stock(月初在庫)とClosing Stock(月末在庫)という費用コントラ勘定を使って棚卸資産を入れ換えることで、在庫評価額を同期させB/Sを作成すると同時にP/Lの総利益が正しくなります。

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会計システム

インドネシアでキャッシュレス化が浸透し、銀行口座を通して行われた企業取引がすべてシステムに自動仕訳されることで日常的な記帳業務はなくなれば、人間がマニュアルで会計業務に絡む場面は少なくなることが予想されますが、頭の中に業務の基本を体系的に記憶することは重要だと考えます。

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製造業の一般的な勘定連絡図

勘定連絡図を見ると、損益計算書(P/L)上で「売上-売上原価」が売上総利益であり、売上原価(COGS)は「月初製品+当月製造原価-(他勘定振替+月末製品)」で算出されます。

当月製造原価(COGM)は「月初仕掛品+当月製造費用-月末仕掛品」であり、当月製造費用は「材料費+製造労務費+製造経費」から成ります。。

売上総利益から販管費を差し引いたものが営業利益であり、営業外収益費用を考慮した後が経常利益になります。

製造業の一般的な勘定連絡図

会計システムによる三分法(Periodic Method)

三分法での資産勘定の動きは、月初繰越高をOpening stockという費用コントラ勘定に振替え、実地棚卸に基づいて月末在庫残をClosing stockという費用コントラ勘定に振替えるだけです。

これらは製造原価勘定で仕入、製造経費(FOH)、労務費(Labor cost)と共に三分法仕訳により売上原価を確定させる方法です。

三分法

在庫管理システムによる三分法

在庫管理システム上で移動平均単価を随時アップデートし、月末にシステムが在庫残高更新処理(Balance Update)により評価額を確定、月末にバッチで総平均単価を算出し、同じく在庫残高更新処理により評価額を確定し、会計システムに棚卸在庫評価額をインターフェイスします。

非製造業向けERPシステムで採用される仕組みですが、購入品自体の原価以外にかかる仕入諸係等を考慮した評価単価をシステムで計算するのは難しくなります。

原価管理システムによる三分法

材料や購入部品は総平均単価で計算されます。

  • 総平均単価=(月初在庫金額+購入実績金額)/(月初在庫数量+購入数量)

総平均単価に生産実績数量に掛けることで、品目単位(仕掛品・製品)の直接材料費を算出します。

労務費や製造間接費などの固定費は、試算表(T/B)残高を間接部門からコストセンター(直接部門や製品グループなど)まで集計してから、コストセンター直課で品目按分します。

三分法により帰納的に材料消費高、製造原価、売上原価を算出するのではなく、原価管理システムでは総平均法で当月材料単価を算出し、演繹的に材料消費高を計算します。

一方で固定費は発生額を帰納的に直接工数で按分することにより、製品の直接材料費に積上げられ、「製品単価x売上実績数量」にてCOGSを算出するところに違いがあります。

製造間接費を部門配賦し、元帳(G/L)で部門別損益を把握したい場合は、間接労務費勘定を成形部門用と加工部門用に分割して、マニュアルで振替(re-class)仕訳を行なう必要がありますが、費用計上時に部門コードを入力する必要があります。

  • Dr. 間接労務費  10,000    Cr. 当座預金  10,000

原価管理システム上で配賦計算結果に基づき振替仕訳を行なう場合

  • Dr. 間接労務費(成形)  40,000    Cr. 間接労務費  40,000
  • Dr. 間接労務費(加工)  60,000    Cr. 間接労務費  60,000

生産管理システムによる継続記録法(Perpetual Method)

本来の実際原価計算では、月末に算出される総平均単価から直接材料費を算出し、直接労務費や間接費はG/L(General Ledger 一般会計)から集計した当月発生費用を、作業時間や出来高で配賦しますが、企業会計の現場における機動的なスピード会計が難しいという判断から、原価計算基準の実際原価計算の定義で予定配賦が認められています。

直接材料費単価は移動平均法で随時更新、固定費は標準単価を品目マスタまたは部品構成表(BOM)に持たせます。

材料の投入実績によって、資産勘定である材料を費用勘定である材料消費高に振替えて、材料費と固定費をコントラ勘定(相対勘定)を通して仕掛品に振替えて、リアルタイムに投入と生産の受払仕訳を生成し、棚卸資産の動きを会計上のB/Sに反映していきます。

固定費は月末に確定するため、製品評価額は「材料使用額(移動平均)+標準固定費」なので、月末に実際固定費発生額との差異の調整仕訳が必要になります。

そして出荷の都度、製品を売上原価に振替えていくことにより、月中でも在庫とP/LとB/Sがシンクロします。

材料消費分を資産勘定である材料から直接減らすのではなくコントラ勘定である材料消費コントラ勘定を使っているのは月末に材料消費高の残高をG/Lから取得したいためです。

1.購買入力にて入荷分の棚卸資産(材料)が実績計上される。

  • Dr. R/M 10    Cr. A/P 10

2.投入実績にて材料を材料費に振替えます。このとき材料評価額を決定する材料単価は移動平均単価です。

  • Dr. Material Cost 10    Cr. R/M 10

3.生産実績から当期製造費用をコントラ勘定にて振替えます。その際に発生する固定費は月末に実際原価が確定するまでの間、BOMにセットしてある標準単価を使用します。この場合マイナス費用のコントラ勘定に先に計上されることになります。

  • Dr. WIP 10    Cr. Material Cost-Offset 10
  • Dr. WIP 5    Cr. FOH-Offset (Cost credit) 5
  • Dr. WIP 30    Cr. Labor Cost-Offset (Cost credit) 30

4.仕掛品投入分を製造原価へ振替えます。

  • Dr. COGM 45    Cr. WIP 45

5.製造原価コントラで製品へ振替(re-class)する。

  • Dr. FG 45    Cr. COGM-Offset 45

6.売上登録により出荷分の棚卸資産(F/G)が売上原価に振替えられます。

  • Dr. COGS 45    Cr. F/G 45

7.固定費の差異を製品(月末棚卸高)と売上原価とに数量按分し算入します。

  • Dr. F/G 0.2    Cr. FOH-Offset 1
  • Dr. COGS 0.8