システム上の会計と在庫の同期方法 【勘定連絡図】

本記事の概要

勘定連絡図を見ると、P/L上で売上-売上原価が売上総利益であり、売上原価は月初製品+当月製造原価-(他勘定振替+月末製品)である。当月製造原価(COGM)は月初仕掛品+当月製造費用-月末仕掛品であり、当月製造費用は材料費+製造労務費+製造経費から成る。売上総利益から販管費を差し引いたものが営業利益であり、営業外収益費用を考慮した後が経常利益になる。

製造業の一般的な勘定連絡図

勘定連絡図を見ると、P/L上で「売上-売上原価」が売上総利益であり、売上原価(COGS)は「月初製品+当月製造原価-(他勘定振替+月末製品)」です。

当月製造原価(COGM)は「月初仕掛品+当月製造費用-月末仕掛品」であり、当月製造費用は「材料費+製造労務費+製造経費」から成ります。詳細は6. 原価管理システムとはから。

売上総利益から販管費を差し引いたものが営業利益であり、営業外収益費用を考慮した後が経常利益になります。

asset-account

会計システムによるPeriodic Method:三分法

Periodical methodでの資産勘定の動きは月初繰越高をOpening stockで、実地棚卸に基づいて月末在庫残をClosing stockに振替えるだけであり、これらはCOGM勘定で仕入(Purchase goods), 製造経費(FOH), 労務費(Labor cost)と共に三分法仕訳により売上原価を確定させる限りなくマニュアルに近い方法です。詳しくは「継続記録法と三分法から。

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在庫管理システムによるPeriodic method

在庫管理システム上で移動平均単価を随時アップデートし、月末にシステムが在庫残高更新処理(Balance Update)により評価額を確定し会計にインターフェイスします。

または在庫管理システムが月末にバッチで総平均単価を算出し、月末にシステムが在庫残高更新処理により評価額を確定し、会計にインターフェイスします。

非製造業向けERPシステムで採用される仕組みですが、購入品自体の原価以外にかかる仕入諸係等を考慮した評価単価をシステムで計算するのは難しいです。

原価管理システムによるPeriodic method

原価管理システムによる会計仕訳の生成については「原価管理システムによる会計仕訳生成」でも記載しています。

まず材料や購入部品は総平均単価で計算されます。

総平均単価=(月初在庫金額+購入実績金額)/(月初在庫数量+購入数量)

総平均単価に生産実績数量に掛けることで品目単位(仕掛品・製品)の直接材料費を算出し、間接労務費と間接経費のT/Bバランスを間接部門から直接部門(コストセンター)まで一次配賦(部門配賦)または、製品グループ直下に配賦し、最終的に直接部門または製品グループ(製品)に集計されたコストを直接作業工数で品目按分(製品)することにより、品目単位の製品製造原価として積み上げます。

仕掛品や製品の月初在庫は「材料費+前月までの加工費」であり、月末在庫は「材料費+当月までの加工費」です。つまり当月配賦されるのは当月発生分のみです(あたりまえ)。

会計システムにて三分法により帰納的にR/M Usage, COGM, COGSを算出するのではなく、原価管理システムでは総平均法で当月材料単価を算出し演繹的にR/M Usageを計算する一方、労務費と経費は部門配賦後に帰納的に直接工数で按分することにより製品単価(直接部門)の加工費として積上げられ、「製品単価x売上実績数量」にてCOGSを算出しするところに違いがあります。

原価管理システムでは月末在庫が原価計算のプロセスによって確定され、これを会計システムにインターフェイスすることによって在庫と会計がシンクロします。

ちなみに原価管理システムを使い製造間接費を部門配賦し、G/Lで部門別損益を把握したい場合は、Globalな間接労務費勘定をDetail(成形と加工)に分割して振替(re-class)仕訳を行なう必要がありますが、会計システム上Periodic Methodでこれを実現するには、あらかじめ費用計上時に部門コードを入力する必要があります。

会計システムで部門コードが入力されていれば部門単位の間接労務費が把握できるため部門単位に振替える必要はありません。

Dr. 間接労務費  10,000    Cr. 当座預金  10,000

原価計算システム上で配賦計算結果に基づき振替仕訳を行なう場合

Dr. 間接労務費(成形)  40,000    Cr. 間接労務費  40,000
Dr. 間接労務費(加工)  60,000    Cr. 間接労務費  60,000

生産管理システムによるPerpetual Method:継続記録法

生産管理と会計が一体化したERPパッケージでは材料費単価を移動平均法で随時アップデートし、労務費と経費はStandard Costとして品目マスタまたはBOMに持たせます。継続記録法を採用する会計システムの動きについては「標準原価差異分析と実際原価予定配賦差異の売上原価と製品在庫への按分」でも記載しています。

材料投入時にInternal Usage処理で資産勘定であるR/MをR/M Usage(材料費)に振替えて、Inventory Adjustment処理で材料費を投入実績でWIPに振替えて、労務費と経費をStandard CostでOffset勘定にてWIPに振替えて、リアルタイムに投入実績(Internal Usage)と生産実績(Inventory Adjustment)の仕訳を生成し、棚卸資産の動きを会計上のB/Sに反映していきます。

労務費と経費は月末に確定するため、製品評価額は材料使用額(移動平均)+標準労務費と標準経費なので、月末に実際原価との差異の調整仕訳が必要になります。そして出荷の都度、製品を売上原価に振替えていくことにより、月中でも在庫とP/LとB/Sがシンクロします。

直接材料費でMaterial Usageを振替えずContra勘定(Offset=相対勘定)であるR/M Usage-Offsetを使っているのは月末にMaterial Usageの残高をG/Lから取得したいためです。

1.Purchase entryにて入荷分の棚卸資産(材料)が実績計上される(Perpetual method)。

Dr. R/M 10    Cr. A/P 10

2.材料投入実績からInternal Usage処理にて材料費に振替えます。このとき材料評価額を決定する材料単価は移動平均単価です。

Dr. Material Cost 10    Cr. R/M 10

3.生産実績からInventory Adjustment処理で当期製造費用をOffset勘定にて振替えます。その際に発生する経費と労務費は月末に実際原価が確定するまでの間、BOMにセットしてあるStandard Costを使用します。この場合Cost creditというマイナス費用が先に計上されることになります。

Dr. WIP 10    Cr. Material Cost-Offset 10
Dr. WIP 5    Cr. FOH-Offset (Cost credit) 5
Dr. WIP 30    Cr. Labor Cost-Offset (Cost credit) 30

4.Internal Usage処理でWIP投入をCOGMへ振替えます。

Dr. COGM 45    Cr. WIP 45

5.COGM-OffsetでFGへre-classする。

Dr. FG 45    Cr. COGM-Offset 45

6.Sales entryにより出荷分の棚卸資産(F/G)がCOGSに振替えられます(Perpetual method)。

Dr. COGS 45    Cr. F/G 45

7.労務費と経費の差異をF/G(月末棚卸高)とCOGSとに数量按分し算入します。

Dr. F/G 0.2    Cr. FOH-Offset 1
Dr. COGS 0.8

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