インドネシアのIT事情と日系製造業のシステム化の現状

はじめに

このセミナーでお話する趣旨としましては、まずはインドネシアのIT事情と日系工場のシステム化の現状について理解していただくことであり、話す内容はすべて自分の実体験をベースに構成し、詳細な各論はネットで調べていただければと思います。

自分は生産スケジューラAsprovaとERP統合業務パッケージの導入を担当しておりますが、それ以外にもサーバーの設置やネットワークの導入等で、毎日お客様の現場で作業をさせていただいております。

私自身は、もともと日本の銀行系のシステム会社で勘定系と情報系のシステムの開発保守をやってまして、縁ありまして1997年に今の会社で仕事をすることになり、インドネシアは今年で14年目になります。

ただその間ずっと今の会社にいたわけではなくて、しばらくバリ島で家具と雑貨の輸出をやってまして、まあ最初の数年は日本のアジア家具ブームにうまく乗り、結構儲かってたのですけど、ブームが去ってしまうとまったく売れなくなり、これはまずいと危機感を感じてジャカルタの今の会社に復帰しているといういきさつです。

今回このセミナーでしゃべらせていただく機会をいただいたことで、11年ぶりに日本に帰国しました。

11年ぶりというと怪訝な顔をされる方がいますが、別に日本に帰れない理由があったわけではなく、商売をやっていたときは小金が溜まると支払いや次の仕入れに回そうと考えてしまうので、日本への旅行にお金を使おうという心の余裕がありませんでした。

会社に戻ってから3年以上たちますが、その間は単に忙しかったという理由で帰国できなかった訳ですが、まあ今はインターネットで必要なものは何でも揃いますから、11年間帰国しなくとも普通に日本人として生活できます。

久々に日本に帰りまして、日本は本当にきれいな国だな、整備されているなということを成田エクスプレスで車窓の景色を眺めながら感じました。インドネシアは非常に汚い国でいろんな病気も蔓延しています。泥水の中で生活している魚は何がきれいで何が汚いか判らないと思いますが、今回澄んだ綺麗な水の中に落とされた心境です。

今日はインドネシアのIT事情と日系製造業のシステム化の現状について、話をさせていただくわけすが、正直なところあまりマクロ経済的な知識はありませんしアカデミックな話もできませんが、日々の工場の現場での作業を通じた私の毎日の業務の中で感じたことや経験したをベースにして話をさせていただきたいと思います。

あくまで独立系IT会社の現場担当者としての意見ですので、これが大手のITインテグレータさんであれば感じ方も変わってくると思います。

会社案内の動画を流し、ジャカルタの雑然とした雰囲気を感じていただきます。ジャカルタ中心部の大通りの様子やスマンギ陸橋の渋滞のひどさが伝わってくる動画です。

朝夕の通勤帰宅時は車に3人以上乗っていないと罰金を取られる「3in1(スリーインワン)」という制度があります。私も客先から帰るとき裏通りを通るより大通りを通ったほうが早いので横着して一人で運転しているにもかかわらず大通りに入り、運悪く警察に見つかると罰金を取られます。

罰金は警察のポケットに入りますので価格交渉になるのですが、だいたい5,000円くらいからはじまって1,500円くらいで落ち着きます。

会社案内

まず弊社のご紹介をさせていただきたいのですが、ちょっといきなりですが簡単な紹介ビデオがありますのでこれを見ていただきたいと思います。

こちらが日航ホテルで秋篠宮殿下ご夫妻がご宿泊されたホテルです。

株価は東南アジアの中では非常に安定しており取引高も多いです。

自動車の販売台数も伸びてますが今年がピークだと言われております。

これが弊社のあるコスゴロビルでさっきあった日航ホテルから北に150mくらい、日本大使館の対面です。日本大使館の対面というのが唯一の自慢で、お客様からオフィスの場所を聞かれるとき、ちょっとした優越感を得られます。

これがコスゴロビルの正面ですが、インドネシアの伝統的な正装であるバティックを着た男性が2人出てきました。

これがオフィスの入り口の様子です。

これまでAsprovaを4本導入させていただきました。Asprovaさんのホームページに事例紹介として載っています。恥ずかしながら私の写真も出ております。

これがオフィスの様子で、とにかく狭いのでたこ部屋状態になっております。

今の会社ですが、最初は町のPC屋のような会社で小さい仕事をこつこつ取っていかないと生きていけない時代がありまして、私が来た1997年ごろはハード中心の会社で、当時はインターネット出始めの頃でしたので、インターネット接続サービスと称してWindowsのネット接続の設定をするだけで数百ドル請求するという、お客の無知につけこんで儲かった時代もありました。

いまはエンドユーザーさんはわれわれよりもPCの知識は詳しいので、そういう商売はできなくなりました。

会社の所在地は日本大使館の対面なので、お客さんに会社の場所を聞かれたとき「日本大使館の対面です(キリッ)」と答える際に若干優越感が得られます。

お客さんの信用を得るという意味では絶好のロケーションですが、古いビルなので場所がいいにも関わらず家賃は格安です。1平米あたり1,000円弱なので、弊社が120平米くらいありますので、月々の支払いは12万円くらいです。

業務内容

ここ数年JSOXの関係で、日本の本社から内部統制ちゃんとやってね、というお達しがインドネシアにも来るようで、お客様も社内コンプライアンスというものに神経質になっている傾向があります。

そんなときに、JP1を導入すればJSOXのIT全般統制はしっかりしてますよ、というようなポーズになりますよ、なんて説明して導入していただいいておりますが、クライアントセキュリティコントロールとかアセットインフォメーションマネージメントなんかができる非常に良いソフトだと思います。

Asprovaのサポート体制

弊社はは2007年からAsprovaのインドネシア代理店をさせていただいておりまして、その間お客様へのAsprova導入に際していろいろ困難も出てくるわけですが、そういうときは日本にあるAsprova社に質問を投げさせていただくのですが、非常にレスが早くて弊社としてもお客様をお待たせすることがないんですね。

インドネシア概観

インドネシアのIT事情を説明させていただく前にインドネシアがどのようなところか、ということを説明させていただきます。とにかく街中バイクが多いです。

バイクはほぼすべてホンダかヤマハかスズキかカワサキですので値段は決して安くなく日本と同じかそれ以上です。

それでも月の給料が1万円のメイドさんや2万円のドライバーですらバイクを持っているんですね。何で10万円以上するバイクが買えるか不思議ですよね。

インドネシアは分割払いのシステムが非常に発達しており、頭金5,000円、月々2,000円の8年ローンというのが平気であるくらいバイクや車を買いやすいです。

インフレが激しいので、例えば私が今15万円でバイクを買って3年後に売却するときでも10万円以上で売れたり、下手すると買った値段より高く売れる可能性だってあります。だからバイクを買うのは「資産を買う」という意味が強く、給料の安い人も比較的躊躇せずにバイクを買う傾向があります。

インドネシアは中古市場が発達しており、ローンの途中でオーバークレジットできるのが、インドネシア人が思い切って高価なバイクを積極的に購入する理由の一つでもあります。

同じ2輪でも自転車はどうなのということですが、最近は健康ブームで週末に早朝から自転車でサイクリングをするのがブームです。ただ交通事情が劣悪で道路は危険極まりなく、何よりも暑いので、日常生活での用事で自転車を使う場面はほとんどありません。

世界有数の親日国家

ショッピングモール日本語だらけです。日本のカレー、日本のチーズケーキ、日本のシュークリーム、日本のパン、とにかく「日本の」とつければ何でも売れるんじゃないかという幻想があるんじゃないかと思われます。

インドネシアの子供達はドラえもんとしんちゃん、ナルトを見て育ちますし、ラルクアンドシェルのコピーバンドっぽいのがあったり、インドネシアポップの歌詞の中に「愛してる」とか「あなたが好き」とかいう日本語を入れたりしています。

このように日本のB級グルメとかサブカルチャーを中心とした日本ブームが、日本人がインドネシアで生活しやすい環境を作っていると思います。日本人がビジネスをやる環境として他国に比べてやりやすいと思います。

ただやはりインドネシアでも韓国の勢いがすごくて、在留邦人は1万人いかないくらいですが、韓国人は3万5千人います。また日本人は駐在員がほとんどなので、任期満了に伴って帰国しますが、韓国人は現地に根を張って商売をしている人が多い、これが違いだと思います。

電化製品はサムソン、LGが圧倒的に強く、テレビでも韓国ドラマがよく放映されており、やはり韓国人の勢いはすごいなあ、日本人もがんばらないといけないなあと思います。

1万8千の島からなる島嶼国家ですが、島の数はインドネシア政府ですら正確に把握していないという、いいかげんな国です。

人口ピラミッドが出てますけど、非常に理想的な形をしています。30歳以下の若者が人口の半分を占めるといううらやましい構造です。

インドネシア人が良く言うことですが、インドネシアは先進国になる条件は十分備わっています。

  1. 温暖な気候
  2. 豊富な天然資源
  3. 人口の多さ(人口ピラミッドの形が理想的)
  4. 豊富な観光資源

でもどうして発展しないのかというと、インドネシア人の心構えが問題だと言います。

汚職、収賄、縁故主義がはびこっている以上、公正な経済活動が成り立たない、これがインドネシアの発展を阻害しているといいます。

輸出品目が石油や鉄鉱石など一次産業品目なので付加価値がつけられないのもキビシイ。これもよくインドネシア人が言うことですが、インドネシアで加工して付加価値をつけて輸出しないと、利益は先進国に持っていかれてしまいます。

インドネシアは他民族、多宗教、多島嶼(とうしょ) 国家です。大きな島が4つあり、ジャカルタにはインドネシア中からいろんな人が集まっており、東京と状況は同じです。

私のERPチームの一人がスマトラのリアウ島出身の中国系とスラウェシ島出身の中国人。ジャカルタ出身の中国人。今メンバー全員が中国人です。4%の中国人が80%以上の富を握っていると言われます、確かに中国系インドネシア人は優秀です。これは否定しようのない事実なんですね。

ちなみに給料は基本給が7万円くらいでプロジェクトコミッションを含めて12-15万円くらい、インドネシアでは非常に高給取りです。

一方でハードウェアの技術者はいわゆるインドネシア人(マレー系)が多く、給料が上がらない構造になっています。ハードの技術者は替えがゴロゴロいるので、嫌なら辞めてねというスタンスで、辞めても仕事を探すのは大変なので安月給で甘んじなければならないという面があります。弊社で10年以上働いているハードの技術者がいますが、いまだに給料が2万円行かないというかわいそうな状況です。

ソフトウェアの場合は経験によって給料が上がりやすく、例えば業務に精通していない単純プログラマーなら3万~6万円、業務フローの知識があってコンサルテーションできるレベルなら8万-10万というようにステップアップできる構造になっています。

ですから人種によって職種が分かれる傾向があり、優秀なコンサルタントは中国系、単純プログラマーはマレー系、ハードウェアもマレー系といった具合です。

また会社の中でも会計・財務は中国人が多い。このように中国人が重要な収入の高い職種につく傾向があるので、これがインドネシア人の嫉妬の対象になります。中国系に対する嫉妬が爆発したのが98年の暴動でした。

弊社にも中国人とインドネシア人がいますが、普段は親しくしていても、時に中国人に対する差別的な発言が今でも見られます。ただし、はっきり言って中国人が圧倒的に優秀で給料も高いのですが、これは嫉妬としか思えません。

ちょっと話が脱線しました。

世界最大のイスラム国家ということでイスラム教徒が多いです。私の嫁が少数派のカトリックなんですが、結婚するにあたって宗教をそろえなければいけないんですね。ですから私も書類上はカトリックなんですが、教会には行ったことがありません。

インドネシア人の生活費

インフレ率は98年に急上昇していますが、これはアジア通貨危機とインドネシア暴動の時期です。

私がインドネシアに渡ったのがちょうど1997年で、給料はルピア建て契約だったんですが、そのときは日本円に換算してもそれほど悪くなかったんですが、あれよあれよという間に価値が6分の1に下がりました。

経済成長率も98年にがた落ちして急上昇して、リーマンショックで落ちましたが今は上昇傾向です。人口は産めよ増やせよで順調に右肩上がりで、少子高齢化社会に突入した日本からするとうらやましい状況です。

失業率も98年の暴動時に一気に落ちましたが、ここ数年は比較的仕事を探しやすい時期だと思います。

マクロ的な指標を見てきましたが、ちょっと視点を変えてミクロ的な視点から、実務経験1-2年の初級プログラマレベルのインドネシア人ってどんな生活をしているの、というところを見ていきます。

高級レストランやビールやコーヒーなどの嗜好品の値段は日本とそれほど変わりませんので、このクラスの人にとって縁のない世界です。ただ普通にローカルの生活をしていればなんとか食べていけるという収入だと思います。

世界有数の四輪二輪車市場

2009年から2010年にかけての二輪四輪車の販売台数の推移ですが、大きく販売が落ちることなく順調に売れています。ただ四輪に関しては今年がピークと言われています。

車の台数は増えても道路が拡張されないので、車の台数面積が道路面積を上回ってしまい、渋滞時は完全にデッドロックしてしまって全く動かないという状態になります。

ジャカルタ近郊の工業団地

弊社のオフィスはジャカルタの中心部にありますが、ここから毎日1時間から2時間かけて工業団地を往復します。行きは1時間で着いても帰りはひどいときは4時間以上かかることもあります。ジャカルタ中心部から東に向かう高速道路沿いに日系の商社さん系の工業団地が多いです。

こちらが一覧になります。経済が発展するにつれて製造業も景気が良いのでそれをむすぶ高速道路も混雑します。今インドネシアは非常に景気がいいのでどこの工場も活気があります。特に国内市場向けの製品、四輪二輪部品工場なんかは特に忙しいです。

ここまででインドネシアがだいたいどんな国か、そして今どれだけ景気がいいかというのが大よそつかんでいただけたかと思います。

次にインドネシアのIT事情と題しまして、インドネシアのモバイル環境やインターネット環境を中心に説明させていただきます。

この写真が北ジャカルタにあるマンガドゥアというところで、秋葉原のようなところで、PCや電化製品、アニメのフィギュアとかがたくさん売ってある歩いてなかなか楽しいところです。

モバイル環境

人口2億3千万人で今年は携帯電話契約数が2億件に達すると言われています。確かに子供から大人までメイドさんから運転手まで携帯を持っていますけど、さすがに幼児と赤ん坊は持っていません。

じゃあなんでこんなに多いのかというと、要は一人で2個も3個も持っているからなんですね。彼らに聞くと、同じキャリアー同士だと通話料が安いからと言うのですが、私が思うに机の上に携帯を2個も3個も並べておくことがかっこいいという風潮があるのが理由だと思います。

ちなみにさっきからメイドさんって出てきますけど、インドネシアはメイドさんというのは日本のメイドカフェのメイドさんとはぜんぜん違いますから。

インドネシア駐在の日本人なら普通メイドさんを雇っていますけど、せいぜい田舎から出てきた小汚い小娘かおばちゃんで、家に帰っても「おかえりなさいませ」なんて決して言ってくれませんので。そこだけ誤解のないようおねがいします。

インドネシア人はとにかく皆携帯大好きで、会議中でもお客さんの前でも平気でメールをやります。日本に比べて会議中は携帯電話を切るとかマナーモードにするという風土がなくて、携帯がなったらしょうがないじゃないという感じです。

ですからインドネシア人のスタッフとミーティングしているときに、彼の携帯がなって「ちょっと待ってください」といわれると最初は「なんだよ」と思いますが、そのうち慣れます。

日本ではどうか知りませんが、インドネシアでは写真にあるブラックベリーが圧倒的なシェアを占めています。

インドネシアのモバイル市場

まだ主流はGMS、GPRSが主流ですが、UMTSの3Gが大分普及してきたところで、最近の新しいモデルはほとんど3G対応モデルだと思います。

携帯のキャリアーは3.5GのHSDPA対応を謳っているところがあるが、インフラが追いついているのか疑問です。それにデータ通信のためにスピードが速くなっても、利用するコンテンツが圧倒的に不足しているのが現状で、結局は利用するコンテンツFacebookかTwitterかとなってしまいます。

一人何個の携帯を持っているか

先ほども出ましたけど、みんな複数個持っており2個が多です。理由としては同じプロバイダ同士だと通話料が安いからとみんなよく言うのですが、ただの見栄っ張りなだけだと思います。

このグラフを見ても判りますが、ブラックベリーのシェアがどんどん伸びています。

ブラックベリーとかiPhoneのようなスマートフォンを除いて純粋な携帯電話としてではノキアが圧倒的シェアを持っています。インドネシアではノキアの電波のキャッチが一番強いというのが理由です。

データ通信の価格も大分安くなりました。だいたい月1000円から2000円で使い放題のデータ通信が利用できます。たださきほども申し上げましたとおりコンテンツが圧倒的に少ないので、使ってもFacebookかTwitter中心の利用になっています。

ジャカルタ中心部の大通り沿いは光ファイバーが来ていますけど、工業団地なんかの場合ネットワークのインフラが遅れています。

光ファイバーを提供する大手のプロバイダでも工業団地まで回線を引いていないです。ただこれはそのうち整備されていくとは思います。ですから弊社のお客様の工場でも、インターネットの口は2MbpsのブロードバンドADSLルーターだったりして、これですら月5万円くらいかかります。

それでも皆様結構我慢して使っていらっしゃいます。ただCADの図面なんかを日本とやり取りされるお客様は、インターネット接続が遅くてかなり不便を感じていらっしゃると思います。

3.5Gを売りにしたブロードバンドインターネットサービスもありますが、不安定で繋がらないときはまったく繋がりません。実測では500Kbpsでればいいくらいでしょうか。

インターネット事情

中国は別格としてアジアの中ではインターネットユーザー数がかなり多い国の一つにあげられます。3000万人というのはインターネット強国と言われる韓国とそれほど変わらない数字ですからすごいと思います。

APJIIというインターネットを取りまとめる機関に各プロバイダーがツリーになって繋がっているという状態です。

個人ユーザーの場合はUSBに差し込む方式のカード型のブロードバンドモデムでの接続が一般的になりつつあります。企業ユーザーの場合は、ジャカルタ中心部のオフィスには光ファイバーが来ている場合は、オフィスの中にゲートウェイとしてルーターを置くだけですが、工場の場合はADSLで電話回線を使うか、ワイヤレスブロードバンドルーターでプロバイダのネットワークに繋がっている場合が多いです。

JICAの専門家の方なんかは電波の届かない、かろうじて電話線がきているようなところで仕事をされていますので、いまだにダイアルアップ
接続の需要もあります。

インターネットプロバイダー

現在の代表的なインターネットプロバイダーを列挙しておりますが、どれも「帯に短し襷に流し」といった感じでいまいちぱっとしないのが現実です。

2000年より前はダイアルアップ接続が主流でしたので、インターネットに接続するにはプロバイダーに登録してWindowsに設定をしてというような作業が必要でした。しかもインターネットというものがよく判っていない時代でしたので、弊社にはインターネット接続サービスなるもので多くのお客様からお問い合わせいただき、これだけで結構もうかったという時代があります。

今はお客様のほうがPCに詳しかったりしますのでこういうサービスが成り立たなくなってしまいました。必然的に弊社内でかかえるハードウェアの技術者の数も随分少なくなりました。当時は15名ほどハードの技術者をかかえ現在はハードの個人ユーザー様の需要がなくなりましたので、インフラ系の技術者を3人置くだけになりました。

インドネシアでアクセスされるサイト(FacebookとMixi)

フェイスブックが圧倒的で、フェイスブックのアカウントを持っていない人を探すのが大変なぐらいです。日本だとまだMIXIがトップシェアなのだと思うのですが、Mixiも実はインドネシア人がFreindstarの日本語版として開発して売却したものだと聞きますので、もしかしたらインドネシア人はソーシャルネットワークに対してマッチするのかもしれません。

このアンケートは都市部のビジネス街かショッピングモールで行われたものだと思いますが、PCの値段が随分と下がりましたので個人の保有率は非常に高いです。

インターネットを利用する場所ですがオフィスの41%というのは業務での利用ではなく個人的に休み時間、または仕事中にネットで遊んでいる率だと思います。

インターネットカフェ

ネットカフェは非常に多いです。ワルンというのが食堂とか屋台という意味でこれとネットをかけてワルネットと呼ばれています。私は日本のネットカフェに入ったことがありませんが、カフェといってもコーラやファンタが飲める程度で食べ物は売っていません。

日本のネットカフェはそこで一晩過ごせるくらい、椅子が快適で落ち着いた空間らしいですが、インドネシアのネットカフェはそれには到底及びません。

電話の普及率ですが、特徴的なのが固定電話よりも携帯の伸び率が圧倒的に高いということです。

ハードウェアソフトウェア事情

WAN・VPN環境ですが、ジャカルタのHeadOfficeと地方の工場をVPNで結ぶという需要も最近でてきました。

弊社でERPを導入させていただく場合も、購買と在庫と製造の入力は地方の工場で、販売と会計はジャカルタのHead Officeでというようなケースがありますので、この場合はサーバーをどちらかに置いてVPNでアクセスするということになります。

たとえば弊社のお客さんでジャカルタとチレゴン間(ジャカルタの西約100km)を256kbpsのVPNで結ぶ場合につき2000ドルを支払っているところがありますが、256kbpsだと1端末から会計のトランザクション入力を行うと、他の端末からのスループットは一気に落ちます。

PCやルータなどのハード機器やソフトウェアは日本と同じく最新のものが入手できます。ただソフトは海賊版が出回るので、個人でPCを購入する場合にプリインストールされている場合はOEMの正規版のWindowsが入っていますが、それ以外でたとえばOfficeやフォトショップをインストールしたいといった場合は9割以上はコピーを250円で入手してインストールするのが一般的です。

一般的なんて言ったらいけないのですが、著作権の意識が非常に希薄ですので不法コピーを撲滅するのは至難の業ではないかと思います。

また弊社はシステム会社ですので、ハードウェアとソフトウェアの技術者が両方いるわけですが、先ほども申し上げましたがハードウェアの技術者は数が多いので給料が上がりにくい傾向があります。弊社のハードの技術者で12年働いているのがいますが、12年前とほどんど上がっていません。

一方ソフトのプログラマーやコンサルタントは経験と能力に応じて給料があがります。ですから先ほど出た中国系インドネシア人はソフトウェアの技術者を選ぶことが多いです。弊社のERPのプログラマー兼コンサルタントはまだ20台後半と若いですが、しっかりとした能力を持っています。

業務フローの一通りの流れを把握しており、お客からのシステム化の要求を、弊社のERPにどのように反映させていくかということについてのコンサルテーションを行うことができるレベルです。ですから結構いい給料をとっています。基本給が8万円くらいで、これにプロジェクトコミッションがありますので、だいたい月10万円から15万円くらいで、インドネシアでは高給取りに分類されます。

ここまでで、インドネシアの一般的なIT事情についてご説明させていただきました。

インドネシアが未開のジャングルではなく、比較的ITという面では進んでいるということがお分かりいただけたかと思います。ここからは、実際に弊社の日常業務として製造業のお客様の現場を訪問させていただいている経験を基にして、日系製造業のシステム化の現状と題しまして、業務システムの導入に際しての問題点、インドネシアならではの特殊な事情等を現場の声としてご説明させていただきます。

ただこれは私が独立系の小規模の会社の社員としてお客様とお付き合いさせていただいている場合の事情ですから、仮に日本のもっと名の知れたITインテグレータの会社としてなら、もっと違う感じ方になるかもしれません。このあたりの事情についてご留意いただけましたらと思います。

業務フローのシステム化の現状

弊社のお客様は比較的中小が多いので業務フローすべてがExcelという会社もザラではないです。

まあシステム化の目的はというと、「業務効率を上げて全社的なコストを下げる」というものだと思いますが、これを実現する方法は必ずしもシステム化であるというわけではなく、インドネシアは人件費が安いので無理にシステム化するより人を増やして人海戦術で業務処理を行うほうが割安でリスクも小さいというのも一つの考え方だと思います。

現に2000年頃に日本主導で比較的大規模なシステムを導入されたお客様で、結局うまいとこ使いこなすことができずに、償却期間が過ぎたちょうど今のタイミングでダウングレードして会計回り以外はすべてExcelに戻すというところも出ています。このようにシステム化がうまくいかない原因はいろいろ考えられます。

私が考えますに、インドネシアでのシステム導入で一番重要なことはコミュニケーションだと思っていますので、まずはお客様の日本人担当者とのコミュニケーション、次に現場のローカルリーダーとのコミュニケーションがうまくいく必要があります。

だいたい日本人経営者とローカルリーダーとのコミュニケーションはうまくいっていないのが普通ですので、この間の橋渡し的役割もしないといけません。これはお客様の問題なので社内で調整して意見をすり合わせてください、と言ってしまうのは簡単ですが、そうするとまずスケジュールどおりにインプリが進みません。

これまでインプリが途中で頓挫している場合、お客様は導入業者が悪かったのでシステムが止まっていると必ずおっしゃいますが、実際はシステム自体は問題なくて、もっと基本的なコミュニケーション不足で、システム化によって今何ができて何ができないのかといった現状把握すらできていないというケースもあります。

インドネシアの製造業はERPシステムがまだ導入されていないところも多いのですが、ERPシステムなしでAsprovaをどのように導入するのか、という大きな問題があります。

これが弊社でERPもしくはAsprovaの導入をさせていただいているお客様のうちいくつかピックアップしてシステム化の現状を一覧表にしたものです。計画系システムというとちょっと敷居が高いイメージがありますが、インドネシアで導入されているお客様は決してシステム化の進んだ工場ばかりではないということがわかります。

日本だとAsprovaを導入される場合、お客様に既にERPが動いている場合が多いかと思いますが、インドネシアの場合は何もないところに導入するというのが大きな違いです。

一般的にはERPが先で、それがきちんと回った上で、システム化がされていない唯一の分野であるスケジューリングもシステム化しようという風になるのかと思いますが、インドネシアでそれくらいIT化の進んだ顧客セグメントには弊社のような独立系企業はなかなか入れません。
というのはそれくらいIT化の進んだ会社というのは必ずといっていいほど日本主導でシステム化されているからです。

ですから今のように日本の景気があまりよくないときは、日本に投資するのではなく収益があがる海外、特に新興国へのIT投資ということになるのだと思います。そうなると日本主導のIT投資が増えてしまい、弊社の出る幕がなくなってしまいます。インドネシアへのIT投資が増えることは現地に根をはるシステム会社にとっては喜ばしいことのように思えますが、必ずしもそうでないという複雑な状況になっています。

ですから必然的に弊社のお客様は、日本からのIT投資の指導がそれほど行き届かない中小の工場が多くなっている傾向があります。実行系のシステムが入っていない中小の工場にいきなり計画系のシステムの導入を進める場合にどうすればいいのか、というのは弊社の永遠の課題のようなものです。

弊社の場合、Asprovaをプリセールスする場合に心がけていることは、まずは社長さん、経営トップにAsprovaのコンセプトを訴えかけます。

Asprovaのうたい文句であるリードタイム削減、在庫削減、キャッシュフローの増大というのは、経営者の方が思い描く理想に結構ピタッとはまりますので、トップの方が思い描く理想とAsprovaのうたい文句がうまくはまると、とんとん拍子で導入が決まっていきます。

要はトップダウンで現場の反対を押し切ってでも導入を推進していただける力のある社長さんがいる中小の工場に入りやすいです。これまで弊社で4社様に対してAsprovaの導入を行わせていただきましたが、いずれもERPのないところですが意外とスムーズに導入も進み稼動までこぎつけます。

現地主導で導入の場合

インドネシアでシステム導入の傾向ですが、大きく分けて現地主導のローカルプロジェクトと本社主導のグローバルプロジェクトに分かれます。

弊社は自社開発ERPとAsprovaをメインに扱っているが、何度もアプローチして見積もり出して最終回答待ちというところまできても最後に本社の意向で全世界統一でSAPを導入することに決定という話になることがあります。こうなると弊社としてはどうしようもないです。

ですから弊社はローカルプロジェクト狙いで、カスタマイズを前提としたシステム導入を売りにしています。

日本は業務をシステムに合わせるのが一般的かと思いますが、現地主導のローカルプロジェクトの場合は、少ない予算で多くの要求をされますのでシステムを業務にあわせるという傾向が強いです。

よくある話ですが、ローカルのシステム会社に導入依頼して、導入途中で会社がなくなってしまったという例は山ほど聞きます。ローカルの会社は確かに非常に安価で導入期間の短いシステムを提案しますので、弊社にとっては非常に迷惑な存在なのです。

お客様にも予算がありますので、そういう格安なシステムに惹かれる気持ちも理解できますが、結局安かろう悪かろうで終わって業務フローは分断されたまま、ただの帳票出力システムになっているケースが多いです。

日本のIT部門のサポートの元で導入

弊社には入り込めない分野なのでパス。

日本側の指導の下、現地主導で導入

現地で導入するシステムを決めてもいいけど、重要な会計、とくにG/Lだけは名のしれたパッケージを使ってくれないと困るといったものです。

この場合、例えばG/LだけはAccpacを使ってそれ以外へ弊社のERPでカスタマイズしながら導入ということになります。最近はこの3のパターンが多くて、会計コンサルタント会社が作ったExcelのマクロのG/Lにシステムを繋いでくれという要望もありました。

G/Lをパッケージを使う場合、パッケージのデータベースのテーブル構造とかを調査して、必要なフィールドをとってくる必要があるので
弊社側の負荷が多少増えます。

インドネシアで業務システム導入の進め方ですが、カスタマイズ前提の場合は弊社の開発型ERPシステムを推薦させていただきますが、パッケージシステムの場合できることは限られているので、できないことはシステムにあわせると割り切った導入になります。

導入スケジュールですが、日本からの指導のもとで現地主導で導入するというパターンで、基本は現地主導でやってもらってもかまわないけど日本の本社からしてみれば、弊社はどこの馬の骨とも知らない現地業者ですから不安になるんでしょうね。G/Lだけは有名なの使ってねということになります。

弊社にとっては予算のお墨付きがあるのでありがたいのですが、パッケージを入れてしまうとあまり儲からないので、使うパッケージは極力小さくした上で弊社のシステムを導入することを推奨しております。

インドネシアでのシステム導入に際しての問題・障害

これは弊社がERPの導入をさせていただくときの、よく発生する問題点をまとめたものです。

部門間の意見が強すぎる場合で、各部門が複数拠点に分かれている場合はもっとやっかいです。ジャカルタに営業部門があって、ジャワ島の西端っこのメラクという町に会計部門があるケース。

例えばお客へ発行したINVOICEの金額が間違っていた場合に、会計部門としてはジャカルタの営業側でキャンセル処理をして赤黒処理を行った上で、再度正しい金額でINVOICEを発行し直してくれと言います。

一方ジャカルタの営業部門では、修正INVOICEはマニュアルで作り直すから、会計部門で修正仕訳を切ってくれと言います。このように部門の場所が離れていると二つの部署の担当者をそろえて調整しなければならないのでやっかいです。

コミュニケーション、調整がキチンとできる導入業者を選定する。

先ほども少し申し上げましたが、システム導入で一番大事なのはコミュニケーションです。

これは別に弊社が調整がキチンとできると自慢しているわけではなくて自戒の意味をこめてしゃべらせていただきます。実際は言葉の問題で日本人経営者とローカルスタッフのコミュニケーションがうまくいかない場合がほとんど これをお客様の責任にするのではなく導入業者が間にはいって調整を行います。 ここまでやらないと導入は停滞します。

新規導入システムについて

在庫の原価評価を月次平均でとりたいのに、パッケージシステムは移動平均(リアルタイム)方式でしかできない仕様。こんな基本的な確認ができないままパッケージの導入に踏み切って、高額なシステムが全く使われていないというケースがあります。これもコミュニケーション不足が原因です。

導入体制

プロジェクトが佳境に入ったところで、トランザクション入力のための人員を確保できないという問題が発生すると最悪です。