インドネシアのビジネス

コロナ禍下のインドネシアでのB2B営業活動【中小企業の露出戦略】

2021/07/27

狭いインドネシア日系B2B市場で露出度を増やす努力は、選挙の立候補者による駅前の街頭演説に似ており、日系企業の担当者がIT案件が発生しそうなときに、会社名を思い出して候補の一つにリストアップしてもらうためには、ネット上での地道な露出戦略が重要になります。

オンラインが主流となった今、オフラインの営業活動を行う意味

昨日2021年7月25日、緊急活動制限(PPKM Darurat)が レベル4社会活動制限(PPKM Level-4)という、緊急措置よりもやや緩和された名前に変更された上で、8月2日まで延長されることが発表されました。モールも17時までは通常営業で、制限時間20分間に限りイートイン可能とのことですが、果たしてこれが着席から数えるのか着丼から数えるのかは不明です。

(2021年8月24日追記)
ジョコウィ大統領は、新規感染者数の減少などを理由に、ジャカルタ首都圏、バンドン都市圏、スラバヤ都市圏などのレベル4社会活動制限を、24日から30日までレベル3に下げると発表しました。

久しぶりに工業団地近くのパダン食堂で外食、いつもは激込みなのに今日の着席率は2割程度、やはりPPKMで工場の出社率を落とした影響が大きいのかな。

今回移動制限がどの程度まで強制されるのかまだ不明ですが、2021年7月3日から実施されてきたPPKMではジャカルタ~ブカシ間、ブカシ~カラワン間の県をまたぐ移動が制限されましたので、西ブカシの弊社は同じブカシ県にあるチビトゥンとチカランまでが活動範囲となり、ジャカルタやカラワンへは行けませんでした。

今朝の時点でTOL西ブカシのジャカルタ方面は引き続き封鎖(たぶん就労登録書STRP有りで進入可能)、ただCikarang Barat出口前カラワン方面の検問は解除されていました。越県移動の可否がよく分かりません。

ただコロナ禍が始まった2020年からビジネスの形はWEB会議中心の非対面型にシフトしていましたので、移動制限がかかったことで仕事に支障が出ることはなかったとはいえ、経験から言うと物理的に訪問して直接顔を合わせて会話したほうが実のある話に繋がりやすいです。

オンラインに慣れてしまった今は、大抵のことは非対面で済んでしまうのだが、需要のないところに見込み需要を絞り出すとか、追加の需要を生み出すとかいうときには、やはり相手の土俵にいたほうが都合がいいんだよなあ。

もともとガソリン代(Pertaliteで1L=Rp.7,650)も高速道路TOL代(チカランまでRp.7,000)という移動コストは激安な上、時間効率上最大のネックだった渋滞問題も、コロナ禍前のような異常な状況から改善されていますので、見込み需要の発掘という確度の低い営業活動でも、担当者との世間話や現場の雰囲気から得られる収穫が多いのは間違いないです

狭い日系B2B市場では横の繋がりが重要

インドネシアの日系B2B市場で、日本本社のインドネシア現法という形で、ジャカルタの好立地のビジネスエリアにオフィスを構えて、日本から駐在員を派遣する会社の場合、主なターゲットは日本や他国での既存顧客のインドネシアへの横展開など、比較的金額が大きい案件になります。

一方で数は少ないですが弊社のような日本に本社を持たないPMDN(インドネシア国内投資会社)の完全独立系の会社もあり、信頼や実績の面で劣る分、コスト面でのメリットを強調しますので、有名どころとバッティングしない低価格帯市場にアプローチすることになります。

日系企業のインドネシアでの事業展開【ガラパゴス市場に特化するか外の世界で勝負するかという選択】

日本の特殊な商慣習で守られ独特の進化や発展を遂げた日本市場はガラパゴスと呼ばれます。インドネシア国内にも日系ガラパゴス市場があり、日本人が日本語で対応するという参入障壁がありましたが、近年のローカル企業や他国企業の台頭でこの原則が崩れてきています。

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営業活動の方法ですが、在インドネシア日系企業1500社(うち製造業は800社程度)という数字は、電話をかけたりダイレクトメールを送ったりするアウトバウンドの営業をかける対象母数としては少なすぎますし、コロナ禍の今の時期にアポなしの飛び込み営業とか行うのはテロ行為みたいなものです。

弊社の場合今年2021年で4期目に入りますが、インドネシア市場で独立系日系IT会社が営業活動を行う上で重要なことは、横の繋がりをうまく利用することだと考えており、上述のとおり案件の価格帯によってある程度の棲み分けが出来ている状態なので、小さい側と大きい側は案件の規模に応じて仕事を回し合う関係を築くことが可能です。

そしてこの仕事を回し合う関係は業種が異なる企業との間でも成立し、例えば既に多くの顧問契約を結んでいるクライアントを抱える会計事務所やコンサルティング会社が、製造業向けITサービス市場に参入したいという場合に、彼らのネットワーク(営業力)とIT会社のノウハウとが協業することで、ウィンウィンの関係が構築できます。

ただしこのように小さい会社が大きい相手と協業させてもらうためには、自社の存在が業界の中で無視できない存在として一目置いてもらう必要があり、孔雀やインコが羽を広げて自分を大きく見せるのと同じように、自社の存在を実像より大きく見せるには、ネット上での露出戦略が効果的であることは間違いないです。

ネット上では噂が尾ひれを付けて拡散されがちですが、同じようにネット上でマメに活動報告を行っている会社を、人は実体よりも大きな存在だと感じるものであり、弊社が他社との共催で頻繁にオンラインセミナーを開催するのは、事後に活動報告をすることに大きな意味を感じているからです。

政治家が地元の選挙区の駅前で、通勤途中の人々が誰一人足を止めないにも関わらず、ミカン箱の上に立って政策を訴えるのは、自分の顔と名前を有権者の深層心理の中に焼き付けることで、いざ選挙の際には政策の違いまで精査することなく投票所に行く人々が、投票箱の前で自分の顔を思い出して、名前の上に丸を書いてもらうためです。

日ごろの露出の努力の結果、日系企業の担当者がIT案件が発生しそうなときに、自社の名前をフッと思い出してくれれば目論見通りなわけですが、新聞やネットメディアに頻繁に有料広告を出せばそれなりの費用がかかり、予算に制約がある独立系企業には限界がありますので、オンラインセミナーを頻繁に開催する、情報誌や業界の情報サイトに寄稿させてもらうなど、地道な積み重ね作業が避けられないわけです。