インドネシアの不動産

インドネシアでの不動産購入と土地・建物税の話 【毎月発生する固定費をいかに回収するか】

2015/12/19

インドネシアでアパートや商業用店舗などの賃貸用不動産物件の購入時には毎月発生する固定費をいかに回収するかを考慮する必要があります。

アパート投資したら早く住むか貸すかしないと固定費がかさむ

インドネシアでは不動産は投資対象としてはもっともメジャーであり、長期的には経済は右肩上がりが続くと思われるため、株などの金融資産に比べて安全だと言われており、インドネシア人と結婚して長期滞在確定の人は、だいたい奥さんや旦那さん名義で不動産を買います。

ただし現在のところ外国人名義による不動産の所有は禁止されており、しかも婚姻前にPisah hartaという財産分離の契約書をNotarisにて作成していないと、配偶者名義でも結婚後の不動産取得ができないことになっています。

株や投資信託等と同じく不動産投資も「安いときに買って高いときに売る」が基本であり、需要が供給を上回れば価格は上がりますが、金融商品が景気変動に先行して動く傾向さえあるのに対して、不動産価格は需給変動や景気変動に対して鈍く、売買のテンポも遅い。

インドネシア在住日本人なら、まわりのインドネシア人からアパートへの投資話等を持ちかけられたことが1度や2度はあると思いますが、価値の上がる物件を見極めるにはそれ相応の知識と経験が必要なのは日本と同じで、所有しているだけで毎月管理費IPL(Iuran Pengelolaan Lingkungan)がかかるので、はやいとこ自分で住むか貸すかしないと固定費が負担になります。

オムニバス法によって外国人のアパート所有が認められるのか?【雇用創出法と税制改正により海外直接投資を誘致】

オムニバス法は労働法の改正と、法人税引き下げによる事業継続支援の2つが柱ですが、外国人によるアパートの所有権が認められるかどうかも注目されていますが、直ちに外国人によるアパート投資需要を喚起するために不動産バブルのリスクを伴う改正がなされるとは考えにくいと思います。

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住宅投資と土地・建物税

これが住宅の場合は、管理費としての出費は町内会への警備やゴミ収集の費用くらいで、屋根や壁の修理等でかかる維持費の出費は自分のさじ加減で調整できるので、自分で住むのであれば借りるより買うほうが明らかに固定費は下がります。

biawak

体長80cmのbiawakを確保

昔バリ島のBatu Bulan地区に400平米の土地に2階建て住宅を建てたことがあるのですが、当時はビアワックというミズオオトカゲのペアが2階の屋根に穴空けて、鳥とかネズミの獲物を引っ張りこむためその修理に随分悩みました。

インドネシアでも不動産には土地・建物税(PBB-P2=Pajak Bumi dan Bangunan Perdesaan dan Perkotaan)がかかりますが、不動産評価額は相場より大幅に低く設定されるのが普通なので、毎年支払うPBB-P2はかなり割安に押さえられます。

基本は不動産課税評価額(NJOP=Nilai jual objek pajak)から非課税額(NJOTKP= Nilai jual objek tidak kena pajak)を差し引いた金額の20%が不動産課税対象額(NJKP=Nilai jual kena pajak)であり、これの0.5%が毎年支払うPBBになります。

  • PBB-P2(年)={(土地不動産課税評価額+建物不動産課税評価額)-非課税額}x20%x0.5%

実際に名義人宛に発行されるSPPT(Surat Pemberitahuan Pajak Terhutang)という通知書にはもっとシンプルに

  • PBB-P2(年)={(土地不動産課税評価額+建物不動産課税評価額)-非課税額}x0.1%

と課税評価額の0.1%と書いてあり、管轄のKelurahan(その地域を管轄する役所)に取りにいって最寄のBank BRI(インドネシアの国営銀行)から支払いましたが、その額わずかRp.180,000、衝撃の安さ!

せっかくなのでインドネシア国家を構成する家長(家族の長)から州までの並び順をおさらいしてみます。

  • KK(Ketua Keluarga) < RT < RW < Kelurahan < Kecamatan < Kabupaten < Propinsi

RT(Rukun Tetangga)はインドネシアの町内会システムみたいなもんで、RTのさらに上のかたまりがRW(Rukun warga)になり、インドネシアで一軒家に住む場合はなにかとお世話になると思いますが、アパート住まいだとお世話になる機会はないと思います。

KIOS投資が不良債権化

自分には投資のセンスがないことを悟り株や投資信託からは足を洗ったのですが、現在も1個だけ賃貸物件としてMangga DuaのITCにあるKios(キオス)が残っており、こいつがまた金食い虫でしょうがない・・・

Kiosはキオスクのインドネシア語なんですが、Kioskってペルシア語なんですね・・・広さ4平米から10平米くらいの小さなブロックで、うちのKiosのブロックには服やバッグ、サンダル、アクセサリー等のファッションアイテムを扱う店が集まっています。

当時新型Kijang一台分くらいの価格で20年間のHak pakai(使用権)で購入し、毎年40juta-45jutaのペースで賃貸して、10年後にインドネシア経済がピークに達した時点で売却しようというもくろみどおり、最初の5年間は順調にテナントが見つかり、余裕で投資回収し毎年の固定収入が見込めていました。

それが去年から全く借り手が見つからない状態に陥ったのは、ジャカルタにショッピングモールの数が増えたことに加えて、交通渋滞が慢性化したことにより、遠くの安売りショップに渋滞を押してまで行くよりも、買い物は近場で済ませたいという意識が働いているのだと思います。

  • 電気代基本料金 Rp.97,000
  • 管理費 Rp.98,000/m2x4.2m2
  • 付加価値税PPN 10%
  • ------------------------------------
  • 合計 Rp.580,000

*2022年からPPNは11%になりました。

借り手が見つからない限りHak Pakaiの権利が消滅するまでこの固定費がかかり続けるわけですが、不動産投資はあまり儲けを考えすぎると失敗するので、自分で住むか利用して、数年後に値段が上がったところで、タイミングよく売却できればラッキーくらいが一番うまくいくんじゃないでしょうかね。