恒久的施設

インドネシア税法

インドネシアで拡張されるPE(恒久的施設)の概念【国内向けB2Cビジネスを行う海外EC事業者へのPPN付加価値税】


海外EC事業者をPEと認定するのが難しかった

インドネシアで一定期間以上の事業活動を行うためには、国内の個人、法人、または恒久的施設(PE=Permanent Establishment)のいずれかとしてNPWP(納税者番号)を登録し、納税する義務があります。

PEが意味するのはインドネシア国内の「物理的な場所」のことであり、会社の事務所、個人事業主の家、商品を保管する倉庫などですが、本来インドネシア国内に居住しない個人または法人がPEを使用することは、納税せずして事業を行うことになり税法違反になります。

例えばインドネシアに拠点を持たない海外企業が商品の在庫をインドネシア国内の貸倉庫に置いて、受注を受けてから国内代理店に出荷を委託するケースでは、倉庫がPEに該当するので税法違反となり、海外企業はPE登録をしてNPWPを取得し納税しなくてはなりません。

もしPEという課税の根拠がなかったら、日本本社は出張者に現地法人または現地代理店をスポンサーとして6か月の労働ビザ(C312)を取得させ、NPWP取得が免除される183日間以内で営業活動を行わせて、直接本社へ売上を上げれば、理屈上では出張者個人としても本社として納税の義務は発生しません。

仮に税務署に指摘を受けた場合でも、出張者は1年間のC312を取得しPPH21(個人所得税)だけをスポンサーを通じてきちんと納税し、日本本社の売上として計上すれば、理屈上ではインドネシア国内でのPPN(付加価値税)、法人所得税やPPH23(サービスにかかる源泉税)等を回避することができます。

このような税逃れを防ぐために、インドネシア国内に物理的拠点がないまま事業活動を行う海外企業を、課税の根拠となるPE登録し、NPWPを取得させるのですが、Netflixなどの海外EC事業者が、海外のサーバーを通じてインドネシア国内の個人契約者を獲得することで売上を上げる場合、PEと認定することが難しく税法違反にはなりませんでした。

B2Bの場合は事業の実体を把握しやすいのですが、B2Cである個人向けのEC事業の場合は売上の実態が把握しにくいという問題があったのです。

付加価値税(PPN)はインドネシアで納税すべきという見解

インドネシア国内利用者から契約料を稼ぐNetflixやZOOMなどの海外EC事業者は、自国において法人所得税を納税している可能性が高いため、租税協定の観点からインドネシア側に現地法人がない場合にはPPHを納税させるのは難しいかもしれません。

租税協定は所得税の二重課税の回避、国際的な脱税の防止を目的に国家間で締結されるもので、インドネシアは世界60か国以上と租税協定を締結していますので、自国の税務処理時に計算される課税所得を元に納税を完了したという証拠をもって、インドネシア側での二重払いは回避できます。

しかしB2Cビジネスにおいて最終消費者への売上時に発生するPPN(付加価値税)は、実質的に日本の消費税と同じ意味をもち、動画ストリーミング契約料金の10%をインドネシア国税に納税すべきという理屈が成立します。

また租税協定の適用によって、インドネシア国内のPEとして認定できず所得税を課すことが出来ない場合にも、以下の重要な経済的存在(Ketentuan kehadiran ekonomi signifikan)の基準を満たすEC事業者にはETT(Electronic Transaction Tax)が課税されます。

  • Peredaran bruto konsolidasi grup usaha sampai dengan jumlah tertentu.
    (一定金額以上の連結売上を計上する場合)
  • Penjualan di Indonesia sampai dengan jumlah tertentu.
    (一定金額以上のインドネシア国内での売上がある場合)
  • Pengguna aktif media digital di Indonesia sampai dengan jumlah tertentu.
    (一定数以上のインドネシア国内での契約者数を持つ場合)

このように今年1月31日にDPR(国民評議間)に提出された「税オムニバス(法草案PERPPU-1(Peraturan Pemerintah Pengganti Undang-Undang)」)では、PE扱いできない海外EC事業者でも「重要な経済的存在」であればETTを課税するとありましたが、3月5日付けの政令Nomor 48 /PMK.03/2020では「重要な経済的所在」もPE認定し、7月1日からインドネシア国内の代理人を付加価値税徴収者(Pemungut PPN)としてPPNを徴収するとしています。



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