コロナ禍が加速させるペーパレス化とIoT化【物理的接触とモノの共有の機会を最小限に抑える】


担当者同士の物理的接触を最小限に抑えるペーパレス化

弊社ではこれまでペーパレス化こそがインドネシアの日系企業の業務改善のために最初に取り組むべき課題であると、当ブログや工業団地での定期セミナーなどでも主張してきましたが、それは紙の節約によるコストダウンはもちろん、実績データの紙への転記間違いを防ぐことが最大の理由でした。

その時のお客様の反応としては「今すぐにというわけにはいかないが、次に予算があるときに取り組みたい」という、前向きではありながらも緊急の課題ではないというものが多かったわけですが、新型コロナウィルスの感染拡大により、ペーパレス化は緊急の課題として扱われるべき事案となりました。

製造指図や生産日報を担当者に手渡すためには、物理的に相手の席まで接近する必要がありますが、工場内で飛沫感染や接触感染によるクラスターが発生した場合には、ライン停止はもちろん最悪の場合には操業一時ストップも考えられるので、物理的接触を最小限にするための対策の優先度は上がらざるを得ません。

現在のところインドネシアでの新型コロナウィルスのクラスター感染は、モスクなど宗教施設での集団礼拝時や病院での院内感染が多いのですが、PSBB(大規模社会制限)と合わせてMudik(帰省)が禁止されているとはいえ、少なからず親族や知人との接触の機会はあると考えられますので、レバラン休暇明けの工場稼働再開時の感染拡大の不安は拭い去られていません。

紙やPCなどモノを介した間接的な接触を最小限に抑えるIoT化

工場内で相手との物理的接触を最小限に抑えたとしても、紙や鉄などのモノに付着したコロナウィルスは数時間は生存できるとも言われており、他人が触った紙や共用PCにウィルスが付着していれば間接接触感染のリスクは残りますので、究極的には物理的な作業や機械の操作を最小限にし、作業の過程を自動化させる仕組みが必要になります。

具体的には生産管理システム上での在庫管理のための生産実績収集は、機械のカウンターからシーケンサーを通して情報を自動的に連携させ、これまで生産管理システムの外で管理されていた機械の稼働管理は、パトライト(あんどん)にIoTゲートウェイとセンサーを付けることで稼働時間や停止時間を取得するなどのIoT化の推進がこれに該当します。

ただしコロナ禍の影響による減産と売上減少のために、来年度の予算で最初に減らされるのはIT投資分野である可能性も高いので、IoT投資の予算が下りない場合でも、モノを介した間接的な接触の機会を減らすという目的に特化するのであれば、情報の入力を個人のAndroidスマートフォン上から行う仕組みの導入だけでも、間接接触感染のリスクは抑えることが出来ます。

図らずしもコロナ禍はインドネシアの製造業のペーパレス化とIoT化を後押しすることが予想され、今後は生産計画作成からスケジューリング、製造管理、工数管理、品質管理、稼働管理など一連の生産プロセスを統合化し、自動化、無人化を進める生産製造オペレーション管理(Manufacturing Operations Management=MOM)を目指す動向が、生産効率向上のためにもウィルス感染リスク低減のためにも益々注目されることになりそうです。