業務システム導入後の運用でボトルネックになるポイント

会計システム

業務システム導入後の運用でボトルネックになるポイント 【債権債務を販購買機能で計上するか会計機能で計上するかの違い】


経営側と販購買担当者と会計担当者との間のキャズム

インドネシアの一般的な製造業の販売業務フローの流れは、営業担当者が受注登録を行い、物流担当者が出荷指示を行い出荷伝票(Delivery Order=D/O)を発行し、製品とD/Oをセットで出荷して出荷完了を行い、会計担当者がインボイスとTax invoice(Faktur Pajak)を発行し、客先から戻ってきたサイン付きD/Oオリジナル版とセットで請求を行うことで債権A/Rが発生し、売上登録を行なうことで売上が発生します。

インドネシアの場合、物流部門が出荷を行なった後に、客先からの検品完了報告を待ったり、複数D/Oをまとめてインボイスとして請求する場合、会計部門がインボイスを発行するまで1週間程間が空くため、出荷に対してキチンと請求が行なわれているか確認が難しくなるケースがあります。

これはモノ(出荷)とカネ(インボイス)が結びつかないということであり、川上にいる営業担当者は受注データの出荷状況までは把握できたとしても、会計部門にて出荷に対して正しくインボイスが発行され、A/Rが計上されているかまでのチェックが疎かになりがちです。

逆に川下にいる会計担当者は、川上にいる営業部門が登録した受注情報に基づいて、物流部門がどのように出荷しているかが見えにくいため、会計部門で回収されたオリジナルD/Oが、どの受注に紐付くのかが必ずしも明確に把握できません。

そしてある日、経営側が会計担当者に対して、プロジェクト単位の損益計算資料を提出するよう命じた場合には、会計担当者は営業担当者または物流担当者に「D/Oに受注番号を明記してよね」と依頼します。

ところが営業担当者は、見積もりをプロジェクトのロット単位で作成したり、複数プロジェクト分をまとめて納品指示したり、無償提供や1個買うと1個無料(Buy 1 Get 1)などの特殊なディスカウントをしていたりするので、D/Oが複数プロジェクト(受注)にまたがる場合には、明確にD/Oと受注を紐付けできないケースがあります。

まあ営業担当者は感性で動くので資料の管理は比較的大雑把(偏見)、一方会計担当者は理性の塊できっちりかっちりしていますから、ここで会計担当者と営業担当者との間で摩擦が生じます。

業務システム導入後の運用でボトルネックになるポイント

現場の状況を知らない経営側からは「何で案件単位の損益が計算できないんだ」と言われ、営業側からは「営業の仕事はそんな杓子定規に対応できるもんじゃない」と反抗され、システムを導入することによって三者三様の不満が鬱積し社内の雰囲気がギスギスしだします。

小さい会社であれば営業担当者は、自分が計上した売上が、会計部門でキチンとインボイスが発行されているか、ちゃんと決済されているかに気を配ることで上記キャズムは解消されますが、規模の大きい製造業では縦割り組織で役割分担がきっちり線引きされているケースが多いので、間に入ったシステム導入業者はこのような意識のズレを目の当たりにしながらオロオロします。

出荷基準で売上登録されてから債権化される流れ

言うまでもなく売上は損益勘定でA/R債権は資産勘定です。

ERPシステムでは、受注登録に基づいて出荷指示を行い、出荷完了したものについて売上登録を行なうことで会計側に以下の仕訳を発生させます。

出荷同時売上

  • Dr. A/R 10    Cr. Sales 10

これは出荷基準(発生主義)で売上計上し、出荷と同時にインボイスを発行しA/Rが計上されることが前提です。

出荷とインボイス発行が同時に行われる場合、営業部門が出荷同時売上を行うことができ、会計側では決済時に消込を行うだけで済みますので、販売と会計のキャズムが自然に解消されます。

ただしインドネシアの自動車部品産業では、インボイスは月末にまとめて発行させるにもかかわらず、出荷時に出荷日を計上日として上記仕訳を発生させ、インボイス発行時には会計仕訳を発生させず、出荷日(計上日)や品目コードをキーに消しこむケースもあります。

出荷同時売上

インドネシアの場合、通常はインボイスの発行は出荷から1週間ほど遅れるケースが多いため、出荷登録によって会計側に以下の仕訳を発生します。

  • Dr. A/R accrued 10    Cr. Sales 10

A/Rの計上日はインボイス発行日またはインボイス到着日、出荷時点では仮債権勘定A/R Accruedを使用し、会計部門にてインボイスを発行する時点(または売上計上時点)でA/Rを計上します。

インボイス発行時

  • Dr. A/R 10    Cr. A/R accrued 10

インドネシアでシステム導入のボトルネックとなるのはA/R計上部分であり、その理由は営業部門(物流部門)が管理する出荷による売上計上と、会計部門が管理するインボイス発行によるA/R計上のタイミングにズレがあることに起因します。
業務システム導入後の運用でボトルネックになるポイント

一方会計システムのみを導入する場合は、システム外のExcel管理で受注、出荷した後のインボイスに基づいて債権計上するので、システム導入によるマイナスのインパクトは小さいかわりにプラスのインパクトも小さくなります。





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