長年のインドネシアにおける現地技術者のシステム開発マネジメントの経験を元に、インドネシアのオフショア開発拠点として、WEBシステムの開発と管理を行います。
インドネシアのIT業界は人手不足であり、弊社も横の繋がりを大切にしており、自社のリソースだけでなく案件ベースで協力会社と協業し、人材配置の最適化を行っております。
インドネシア人エンジニアのマネジメントで必要なマインドセット、スキル、コミュニケーション方法
インドネシア人と言ってもジャワ人、スンダ人、ミナン人、中華系インドネシア人などが混在する多民族社会であり、宗教も風俗も異なります。
人口の9割近くを占めるイスラム教徒は一日の5回のお祈りがあり、金曜日お昼には特別な礼拝があり、ミーティング中でも宗教ルーティーンに合わせて休憩時間を入れたりするなど、日常的に彼らの宗教行為に配慮する必要があります。
毎年に一か月間は断食月となり、早朝から水も飲まず食事もしていないエンジニアは確実にパフォーマンスが低下するため、想定の範囲とした緩めのスケジュールを組む必要があります。
また夕方は家族と一緒に断食明けの食事(Buka Puasa)をするために早く帰宅したいエンジニアの意向は極力尊重し、引き止めないよう気を使います。
日本人のマインドに一番近いのは中華系エンジニアですが、非常に優秀な人材が多く向上心も強いため、年次や仕事量に応じて強気に賃上げ要求を受ける場合があります。
また近年は少なくなったとはいえ、優秀な中華系インドネシア人を優遇しすぎることで、ジャワ人など他の民族のエンジニアとの軋轢が生まれがちになるため一定の配慮が必要です。
エンジニア職に就くレベルのインドネシア人の英語力は、日本人が英語でコミュニケーションを取る上で十分ですが、彼らの宗教や民族特有の風俗を理解し、懐に入って本音を引き出す付き合いをするには、インドネシア語が出来たほうが良いと考えます。
インドネシア人は基本的に幸福と調和を重視し、家族を大切にする人が多く、感情的になったり無理強いをするのはNGであり、優秀なエンジニアは多いものの自由な性格の人が多いため、オフィス勤務のほうがコントロールはしやすいと言えます。
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日常生活で感じるインドネシアの民族に関する考察【社会制度や歴史的背景で行動様式や思考様式が形成される】
民族とは言語・人種・文化・歴史的運命を共有し、同族意識によって結ばれた人々の集団であり、歴史的運命とか同族意識とか、解釈でどうにでもなる主観的基準でグループ化されたものに過ぎません。
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インドネシア人エンジニアのマネジメントで印象に残っているエピソード
- 優秀な中華系エンジニア同士が足を引っ張り合い、社内に派閥ができ、間を取り持つ日本人が板挟みになる。
- 優秀なスンダ人エンジニアのパフォーマンスが落ち突然音信不通となる。しばらくして一家全員黒魔術にかけられたと連絡があったが、実際はコロナの家庭内クラスターではないかと推察される。狭い村内でコロナに掛かると村八分にされるため。
- 毎週のように親族の不幸、雨、渋滞、空気が体内に入って苦しい(Masuk Angin)など、さまざまな理由で仕事を休まれるため調整に苦労する。エンジニアには感情的に強く怒れない、しかし客からは強く怒られる、管理者である日本人は精神的タフさが必要となる。
インドネシアのオフショア開発での課題観
2000年前後は日本とインドネシアの1人当たりGDP格差は30倍、今は5倍程度にまで縮まり、生活コストはジャカルタのほうが日本より高く感じる場面すらあります。
インドネシアは、歴史的にオフショア開発が盛んだった中国やベトナムに比べて、オフショア開発拠点として能力やコストの面で優位点が少ないと言われますが、ジャカルタなど都市部ではなく中部ジャワ、東ジャワのエンジニアをアサイン(ニアショア開発)することで、コストの優位性を出せます。
その場合、インドネシア語が堪能なブリッジSEが居たほうがコミュニケーションはスムーズになります。
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オフショア開発から見た日本とインドネシアの関係 【日本の蓄積されたストックをインドネシアの若年労働人口のレベルアップに繋げるようなビジネスの育成】
オフショア開発は先進国の会社が人件費の安い海外に開発委託することであり、2014年の名目GDPは日本が世界第4位、インドネシアが第16位ですが、2024年にはインドネシアが日本を逆転するとも言われています。
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インドネシアに進出し活躍の場を広げたい企業様へ
インドネシアは若年労働人口が右肩上がりに増加し、国内消費者市場が活況であるため、B2Cビジネスにとっては進出する絶好のタイミングと言えますが、在日系企業、ローカル企業、その他海外企業をターゲットとしてB2Bビジネスは容易ではありません。 インドネシアは過去10年で大きく経済発展を遂げたとはいえ、日系企業進出数が1489社、うち製造業数は871社とB2B市場を形成するには少なく、中国やタイなどもそれ以上のスピードで発展したため、企業内での海外拠点としての重要度は相対的に変わっておらず、現地決済できる予算も大きく取れないという事情があります。 続きを見る 日本企業は意思決定が遅いとよく指摘されますが、インドネシアには利益やスピードよりも話し合いによる合意を重視する農耕社会のムシャワラ精神が労働法や会社法に明記されるくらいなので、掛け合わされた結果として在インドネシア日本企業は益々慎重な企業風土が出来上がるのではないでしょうか? 続きを見る
インドネシアのB2Bビジネスが難しい理由【マーケティング対象である市場を取り巻く環境が複雑】
パンチャシラとムシャワラがインドネシアのB2Bビジネスに与える影響
オムニバス法の制定により、海外企業のインドネシア進出の敷居が下がり、チャンスは多くなりましたが、分厚い国内市場はローカル企業の競合が多く、勝てる分野を探すのが難しくなりました。 インターネットにより情報がフラット化され、誰もが平等にチャンスが得られるようになったことは、インドネシアでは勝てる分野を探すのが難しくなったことを意味します。日本人の優位性を生かしながらライバル会社がコスト的に再現できない分野を探すのが現実的だと考えます。 続きを見る
これからのインドネシア市場での生存戦略【チャンスはあるが勝てる分野を見つけるのが難しくなった】
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日本とインドネシアの間でのタイムマシン経営が通じなくなっている件 【情報のフラット化によるタイムラグ短縮】
B2Bビジネスではインドネシア国内の日系企業の相対的プレゼンスが低下しつつある現在、競合がひしめくインドネシアのローカル市場や、鉄の結束により参入障壁が高い中華系企業へのアプローチを余儀なくされています。 日本の特殊な商慣習で守られ独特の進化や発展を遂げた日本市場はガラパゴスと呼ばれます。インドネシア国内にも日系ガラパゴス市場があり、日本人が日本語で対応するという参入障壁がありましたが、近年のローカル企業や他国企業の台頭でこの原則が崩れてきています。 続きを見る
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