インドネシアで納税者番号(NPWP)を夫婦で分けるか一つにまとめるか【所得税計算でまとめたほうが得】

税金はその国の居住者が公共サービスを受けるための会費のようなもの

先週Karawangの客先の工場で妊娠6ヶ月の生産管理部のおばちゃんが大きなお腹をさすりながら税金についてぼやいていました。

個人、フリーランス(個人事業主)、法人問わず、収入(収益)に対しては所得税(Pajak Penghasilan)がかかり、バイクや車など公道を走る乗り物には横断歩道やガードレール、中央分離帯などの整備にかかる費用を負担させる車両税(Pajak Kendaraan Bermotor)がかかるとはいえ、何かと税金ばっかりかかるとため息が出るのは普通の感覚だと思います。

売上時に対してかかる10%分から仕入時にかかる10%分を控除して付加価値税(Pajak Pertambahan Nilai)として払い、サービス売上を計上すれば客先から2%をサービス源泉税(PPH23)として引かれる。

日本からの出張者への支援費用や本社へのロイヤルティを払おうものなら移転価格の疑いをかけられ20%のPPH26を徴収され、日本から原材料を輸入すればフォワーダーからの輸入申告書(Pemberitahuan Impor Barang)には輸入関税(Bea Masuk)だけでなく将来の売上計上時の税金前払いという訳の判らない理由でPPH22が上乗せされ、会社のオフィス賃料にはオーナーの賃貸収入に対してかかる10%の分離課税PPH4-2を負担させられ、定期預金の利子にも20%の分離課税PPH4-2が源泉される・・・・

税金というのはその国の居住者が公共サービスを受けるための会費のようなもののであり、活動内容に応じて税率も変わり、個人や法人の所得や資産、納税の状況などを一元的に把握するために納税者番号(Nomor Pokok Wajib Pajak=NPWP)を取得しなければなりません。

外国人であればインドネシアで年間183日以上滞在する場合が居住者と定義(183日ルール)されており、インドネシアで全世界所得に対して納税義務が発生します。




NPWPを夫婦で分けるか家族で一つにまとめるか

インドネシアは夫婦共有財産制(Harta bersama)が基本にあり、インドネシア人夫婦が旦那さん名義で不動産を購入して売却する場合にも奥さんの承認が必要になります。

ましてや不動産の名義人になれない外国人配偶者を持つインドネシア人は、Harta bersamaの原則から外れるので不動産の購入はできませんが、結婚前にPerjanjian Perkawinan(婚姻前の契約)を作成し、その中に財産分離(pisah harta)について明記しておけば可能になります。

このように財産を夫婦で別管理することを前提としている場合は、NPWPも別々に取得する必要がありますが、そうでない場合はNPWPを分けることは税務署の管理を煩わしくし、所得税の計算上も不利になります。

このツイートでは140字以内に抑えるために簡潔に書いてますが、とても伝えきれないので以下に具体例で計算してみます。

NPWPを分ける場合と1つにまとめる場合の所得税の計算

夫婦でNPWPが別々場合

夫と妻のグロスインカム(Penghasilan Bruto)が120jutaと95jutaで、職業経費(Biaya Jabatan)、年金掛け金(Iuran Pensium)を差し引いたネットインカム(Penghasilan Neto)が100jutaと80jutaの場合、夫婦それぞれ毎月の給料から所得税PPH21が源泉されます。

  • +夫のネットインカム 100juta
  • -非課税所得(K/2) 67.5juta
  • ——————————–
  • 課税所得(PKP) 32.5juta
  • ——————————–
  • 年間所得税源泉額 32.5juta x 5% = 1.625juta
  • +妻のネットインカム 80juta
  • -非課税所得(TK/0) 54juta
  • ——————————–
  • 課税所得(PKP) 26juta
  • ——————————–
  • 年間所得税源泉額 26juta x 5% = 1.3juta

1年間で夫婦で会社にて源泉徴収済みの所得税合計は2.925jutaですが、夫婦の合計ネットインカムを元に年度末の所得税申告(Pelaporan SPT Tahunan)を行い、所得税を再計算した上で不足分を納税する必要があります。

この場合ネットインカム合計180jutaから非課税所得(Penghasilan Tidak Kena Pajak)を差し引いた課税所得が58.5jutaになり、超過累進課税(Excessive progressive taxation)で50jutaまでを5%、残り8.5jutaを15%で所得税額を計算すると3.775jutaになります。

  • +夫婦のネットインカム合計 180juta
  • -非課税所得(K/I/2)合計 121.5juta
  • ——————————–
  • 課税所得(PKP)合計 58.5juta
  • ——————————–
  • 所得税1 50juta x 5% = 2.5juta
  • 所得税2 8.5juta x 15% = 1.275juta
  • ——————————–
  • 所得税合計 3.775juta

この所得税合計3.775jutaをネットインカム金額で按分すると夫2.097juta、妻1.678jutaになりますので、それぞれのNPWPで年度末に支払う税額は以下のとおりになります。

  • 夫の所得税額:3.775juta x 100/180=2.097juta
    2.097juta-源泉済額1.625juta=0.472juta
  • 妻の所得税額:3.775juta x 80/180=1.678juta
    1.678juta-源泉済額1.3juta=0.378juta

ちなみに非課税所得PTKPは既婚(Kawin=K)未婚(Tidak Kawin=TK)、妻が働いている(Istri bekerja=I)扶養家族数(Tanggungan 数字の数)によって金額が変わっています。

  • Tidak Kawin / memiliki 0 Tanggungan : 54juta
  • Tidak Kawin / memiliki 1 Tanggungan : 58.5juta
  • Tidak Kawin / memiliki 2 Tanggungan : 63juta
  • Tidak Kawin / memiliki 3 Tanggungan : 67.5juta
  • Kawin / memiliki 0 Tanggungan : 58.5juta
  • Kawin / memiliki 1 Tanggungan : 63juta
  • Kawin / memiliki 3 Tanggungan : 72juta
  • Kawin /Istri bekerja/ memiliki 0 Tanggungan : 112.5juta
  • Kawin /Istri bekerja/ memiliki 1 Tanggungan : 117juta
  • Kawin /Istri bekerja/ memiliki 2 Tanggungan : 121.5juta
  • Kawin /Istri bekerja/ memiliki 3 Tanggungan : 126juta

夫婦でNPWPが1つの場合

インドネシアでは家長(Kepala Keluarga)である夫のNPWPに妻が入ることになりますので、妻の収入は超過累進課税計算の対象外となり、夫の所得税のみ計算されます。

  • +夫のネットインカム 100juta
  • -非課税所得(K/2) 67.5juta
  • ——————————–
  • 課税所得(PKP) 32.5juta
  • ——————————–
  • 所得税源泉額 32.5juta x 5% = 1.625juta

そして夫の年度末の所得税再計算時に、妻のグロスインカムを所得税計算対象外として不足分の計算をし納税します。

  • 夫の累進課税計算対象外の収入(妻のグロスインカム) 95juta
  • -非課税所得(K/2) 67.5juta
  • ——————————–
  • 課税所得(PKP) 27.5juta
  • ——————————–
  • 所得税 27.5juta x 5% = 1.375juta

以上をまとめますとNPWPをまとめたほうが、所得税PPH21納税額は0.775juta少なくて済むことになります。

  • NPWPを夫婦で分けた場合
    • 会社による源泉徴収分:2.925juta
    • 年度末の追加納税分:0.85juta
  • NPWPを夫婦で1つにまとめた場合
    • 会社による源泉徴収分:1.625juta
    • 年度末の追加納税分:1.375juta