移動平均法を採用するシステムでは、A/P(債務)が計上されるタイミングで単価が更新されますが、仕入れ先からのInvoiceが月まとめで到着する場合には、Invoice登録前に材料を出庫する必要があるため、入荷時にA/P Accrued(仮債務)をP/O価格で計上し(借方は仕入勘定)、移動平均単価を更新することで出庫を可能とします。 マスプロダクションの総合原価計算と受注生産の個別原価計算の違いは、労務費や製造間接費などの固定費を所定のルールで品目に配賦するか、標準の賃率や配賦率に実績工数を掛けて品目に積み上げるかの違いであり、集計した原価の差異分析や経営判断のための予実分析が重要です。 続きを見る
原価管理システム
継続記録法(Perpetual Method)と三分法(Periodic Method)の在庫評価
三分法では無条件に仕入時には仕入勘定(費用勘定)に計上し、月末に月初在庫と月末在庫を振替え、各々のコントラ勘定(Opening StockとClosing Stock)と仕入勘定を売上原価勘定(Cost Of Goods Sold)に振替えることで売上原価を算出するものと考えていましたが、インドネシアでは仕入時には資産勘定(材料・商品)に計上し、月末に消費した分(売れた分)だけ標準原価を元に算出した製造原価(売上原価)に振替えるケースが多いようです。
- 在庫受払が会計仕訳を生成する(継続記録法)の特徴
- 常時在庫評価額を維持する必要がある⇒先入先出法(FIFO)や移動平均法はOKだが総平均法はNG。
- リアルタイム入力が前提で受払の順番を入れ替えると正しい評価額で計算されない。
- 受払の都度、在庫と製造原価と売上原価が正しく計算されP/Lが自動生成される。
- 在庫受払が会計仕訳を生成しない(棚卸評価法)の特徴
- 三分法で売上原価を算出。
- Opening Stock勘定とClosing Stock勘定(P/Lのコントラ勘定)で会計を在庫に同期
- Opening stock勘定とClosing stock勘定と仕入勘定を売上原価勘定に振替て売上原価を算出
- P/L科目残高をすべてNet Income勘定に振替て売上総利益を算出。
- 総平均法が適用可能
- 月末に評価額が決まるので月中の在庫数量はマイナスになっても問題ない。
- 月中でもMonth-To-Date(月初から今日まで)としての総平均単価で在庫評価は可能だが会計上は月末時点の総平均単価が適用される。
- 三分法で売上原価を算出。
- 両者に共通する特徴
- 先入先出法は入荷時が仕入計上であることが大前提。
- CIF費用のインボイス金額を仕入インボイスに賦課する必要がある。
ちなみにMonth-To-Date(MTD)は「当月初から今日まで」でYear-To-Date(YTD)は「年度初から今日まで」になります。
在庫管理における数量と金額という二面性
「二面性」とは表と裏の二つの面であり、相対する二つの性格を持つことを意味しますが、在庫管理にも数量と金額という二面性があり、在庫管理の金額は、最遅でも月末時点で会計の在庫勘定と同期している必要があります。
モノは入荷(検品後の入庫)の時点で倉庫の中の在庫となる一方で、金額評価が決定するのはインボイス到着後の仕入計上時点になりますが、これは入荷と仕入計上のタイミングが同じでなければ、出庫の評価額が決まらないことを意味しています。
先入先出法(FIFO)や移動平均法は出庫時に評価単価が決定していなければ成立しない在庫評価方法であり、総平均法(月次)では評価単価が決定するのは月内のすべての入荷金額が判明する月末時点ですが、現実には月内のすべての入荷インボイスが到着する翌月初になります。
先入先出法や移動平均法では仕入計上は入荷基準が前提であり、当月の入荷分すべてが月まとめインボイスとして翌月初に到着したとしても、入荷の時点で仕入計上する必要があります。
- 入荷の時点でダミー仕入計上することで在庫を使用可能にし、インボイス番号にD/O番号を入力することで、月まとめインボイスとの照合を行い、D/O番号をインボイス番号に修正する。
- 入荷時
Dr. Purchase Cr. AP Accrued - インボイス到着時
Dr. AP Accrued Cr. AP
Dr. VAT-In Prepaid
金額が確定するのは月まとめインボイス到着時点ですから、インボイスの金額がP/Oの金額と異なる場合は、仕入金額と債務金額の修正作業が必要になります。
- 入荷時
- 月まとめインボイス到着時点で月内の入荷分すべてを、同一インボイスNOにて初回入荷日を仕入計上日(仕入計上日と入荷日が逆転するリスク)とし、月内の出庫実績をまとめてインポートする。