インドネシアの新型コロナウイルスに関する税制優遇制度として、個人に対しては年収2億ルピア以下の従業員の個人所得税PPh21の免除、中小企業(UMKM)に対してはPP23(外形標準課税 売上の0.5%)の4月から9月までの免除があります。 C312就労ビザには6か月間と12か月間の2種類あり、イミグレーションと税務署のデータベースは繋がっていないとはいえ、インドネシアに183日以上滞在する場合はNPWP(納税者番号)を取得し個人所得税PPh21を納税しないと脱税の嫌疑をかけられかねません。 続きを見る
インドネシアの税金
税制優遇措置の内容と対象業種
インドネシアは3月23日に財務大臣規定2020年第23号(No. 23/MK.03/2020)にて、自動車や電気電子、金属、樹脂、縫製業などの製造業と、輸出目的輸入便宜(KITE=KEMUDAHAN IMPORT TUJUAN EKSPOR)受益会社などを対象に、以下の内容で半年間の所得税の減免措置を発表しましたが、これは新型コロナウイルスの影響で個人と法人の減収や資金繰りの悪化に対する政府の補償となります。
- 年収2億ルピア以下の従業員の個人所得税PPh21の免除
- 輸入時の前払い法人税PPh22の支払い免除
- 月次の前納法人税PPh25の30%減額
- 50億ルピア以下の付加価値税PPN過払い分の早期還付
そして先日4月27日の財務大臣規程2020年第44号(44/PMK.03/2020)にて、対象企業が特定の卸売・小売・建設・倉庫・ホテル・レストランなど非製造業、および保税工場・倉庫等の保税ライセンス保有者に、対象分野を拡大されました。
実は今回の税制優遇措置が弊社のような情報サービス業も対象に含まれるのではないかと期待しコンサルタントに確認したところ、弊社が該当するKBLI(インドネシア標準産業分類)である62029(コンピューターとコンピューター設備の運用に関するコンサルテーション)は残念ながら対象外とのことでがっかりしましたのですが、何故がっかりしたかと言えば支払う給料を手取額で決めて個人所得税を会社負担とするネット契約を採用しているため、減免された所得税分だけ支出が減ってキャッシュフローが助かるという下心があったからです。
個人所得税PPh21の減免措置で得するのは会社か従業員か?
インドネシアで従業員が会社と雇用契約を結ぶ際に、給与の金額に個人所得税PPh21を含むか含まないかによって、3通りの契約形態があります。
- ネット:契約時に決まった手取金額に対してかかる個人所得税は会社が源泉徴収し納税。
- グロス:契約時に決まった給料の金額には個人所得税分が含まれているため、会社が毎月源泉徴収し納税。
- グロスアップ:契約時に決まった手取金額に対してかかる個人所得税分を税額控除(Tunjangan Pajak=Tax Allowance)という会社補助として上乗せしたものを給料の金額とし、会社が源泉徴収し納税。
今回の半年間の税制優遇措置では個人所得税PPh21は政府が負担し、その分は従業員に還元するという意味になりますので、ネット契約またはグロス契約で会社によって源泉納税行われていた場合には、従業員の給料が半年間アップすることになります。
そしてグロスアップ契約の場合も、会社が社員に支払う手取金額に対してかかるであろう所得税分を「会社補助」として手当しますよという契約であるため、会社側の立場としては税制優遇措置を受けるべきは補助の負担を担ってきた会社だろうという理屈も成立するかもしれませんが、仕組みはどうであれその本質は社員の個人所得税を会社が代理で支払っているだけなので、やはり社員に還元するのが筋だと考えます。
今回のインドネシア政府による優遇制度では、個人所得税PPh21の減免措置によって補償を受けるのは従業員個人であり、企業はその他のPPh22とPPh25の法人所得税と付加価値税PPNの減免措置によって補償を受けるという考え方になります。
外形標準課税PP23の免除(5月12日追記)
今日の税務署からのメールで気が付きましたが、中小企業向けのFinal TaxであるPP23(売上の0.5%)が、4月から9月までの半年間免除になります。
pajak.go.id/id/peraturan-m…m
先日は個人所得税PPh21の免除対象セクターに気を取られすぎて、肝心の法人税免除の部分を見落としていました。半年間に大きな売上を上げれば上げるほど、免税効果を享受できることになります。