インドネシアの保税区の在庫管理システムで実装すべき内容 【輸入時のBC2.3, 非保税区との取引時のBC2.6, 保税区間取引時のBC2.7】

インドネシアの保税区の在庫管理システムで実装すべき内容

保税区の定義

最近インドネシアに工場を建てたりITビジネスを展開しようとする会社が増えており、保税区(Kawasan Berikat=KB)について聞かれることがあります。

保税区はインドネシア語でKAWASAN BERIKAT(KB)、英語でBONDED ZONEと呼ばれ、以前はオランダ語とインドネシア語が合わさった略語EPTE(ENTREPOT PARTIKELIR TUJUAN EKSPOR=保税認可工場)というのもありましたが、最近はPKB(Pengusaha Kawasan Berikat)として保税区域内企業として扱われます。

保税区での活動内容は、工業製品の製造、原材料加工、デザイン・検査・輸入品や非保税区からの品物の梱包などで、ここで製造・加工される製品は基本的には輸出向けになります。

ちなみに国内の非保税区をDaerah Pabean Indonesia Lainnya (DPIL)といいます。

保税区の開発主はPenyelenggara Kawasan Berikat (PKB)、保税区で生産活動する主体(工場)をPengusaha Di Kawasan Berikat (PDKB) といいます。

消費税・付加価値税(PPN)・関税の関係

保税工場であるメリットは大きく2つあります。

  1. 税務上の優遇措置
    材料輸入時の輸入関税(消費税), 製品輸出時のPPNが免税。その他PPnBM(奢侈品販売税=ぜいたく品税),PPh Pasal 22が非課税になる。
  2. 保税区間取引では銀行保証(Bank Garansi)の必要なし。

保税区内で輸入した原材料について輸入時の免税分の税金を支払えば、保税区で生産した製品をインドネシア国内に出荷できます。

ここで少し脱線しますが、そもそも材料輸入時にかかる関税は、税金体系上どこに分類されるのでしょうか?

消費税は消費について消費者が払うもので、商品を購入するときに支払う消費税、酒税、たばこ税などが該当し、関税は外国貨物(輸入貨物)の消費に対して課税されます。

付加価値税(VAT=PPN)も同じように、物品および役務の「消費」に対し課税されますが、生産・流通の各段階で生じる「付加価値」に対して課税されます。

各事業者は、販売時に乗せたマージン(付加価値)に対してかかるVAT(売上VAT=Out)を得意先に請求し、購入時に仕入先が乗せたマージン(付加価値)に対するVAT(仕入VAT=In)を控除し、Outが多ければ月末納税、Inが多ければ年度末還付請求または翌年度繰越になります。

実際に支払い行為を行なうのは事業者であり、サプライチェーンの末端に位置し購入時のVATを税額控除できない立場にある最終消費者が税額を負担するということになります。

よって消費税と付加価値税を負担するのは一般消費者(事業者が消費すれば事業者が)、関税を負担するのは事業者(一般消費者が消費すれば一般消費者が)ということになります。

業務システムへの影響

保税工場の販購買システムでは以下の場合に税関(Bea Cukai=BC)の書類が必要になり、BC2.6が非保税区との取引で、BC2.7が保税区との取引で必要になり、末尾には出庫の場合が1で入庫の場合が2が付きます。

  1. 販売管理(出庫時)
    BC 4.1:非保税区への販売(出荷伝票発行時)
    BC2.6.1:保税区から非保税区への販売(出荷伝票発行時に銀行保証が必要)
    BC2.7.1 :保税区から保税区への販売(出荷伝票発行時に銀行保証の必要なし)
  2. 購買管理(入庫時)
    BC4.0:非保税区から保税区への購入
    BC 2.3:材料の輸入
    BC2.6.2:保税区の非保税区からの購入
    BC2.7.2:保税区の保税区からの購入

税関からの在庫管理強化の指導

2013年1月から保税区の工場が税関から在庫管理の強化を求められています。

具体的成果物として税関が求めているのは四半期の在庫取引に関するレポートなのですが、四半期ということは2013年1月から4月までが初回の対象期間となっており、急な対応を迫られている保税区内工場も多いようです。

以前より税関は保税区内工場に対して在庫管理システムの透明化を求めてきましたが、今回特徴的なのは在庫管理のシステム化を求めていること、つまりExcelによる管理管理は許さないというところにあります。

ここでシステム化とは何?という定義が問題になりますが、要はデータベースを使ってデータとユーザーの一元管理を行えるものが税関の言うシステムと解釈されます。だから急場しのぎとしては今までExcelでやっていた在庫管理をAccessに置き換えるだけでも「システム化」と言えないこともないわけです。

簡単に言えば以下の5種類の品目

  1. 材料と購入品
  2. 仕掛品(WIP)
  3. 製品
  4. スクラップ
  5. 機械とオフィス機器

これらについて以下の6種類のレポートが必要ということです。

  1. 入出庫
  2. 在庫移動(Move-in, Move-out)
  3. 現在庫(Current Stock)
  4. 在庫調整(Adjustment)
  5. 破棄(Scrap)
  6. 棚卸(Stock Opname)

そして取引ごとに税関提出用ドキュメント(BC帳票)の種別、番号、日付が入力される必要があります。言ってみれば本来やるべきごく当たり前の在庫管理システムをちゃんとやってね、というところでしょうか。

ただ実際には仕掛品まで履歴は求められないようなので、仕掛品については棚卸し数量のみで問題ないようです。

詳細内容

システム的には難しいところは特にありませんが、仕掛品の管理についてはストックポイントを最小限に絞って入出庫入力をさせることで十分対応できると思います。

  1. 在庫管理はシステムで行う。Excel管理データを元にした帳票はダメ。
  2. 在庫管理システムにはR/Mと購入品(bahan penolong)の材料倉庫(Gudang bahan baku)への入庫が記録されなければならない。入庫メニューが必要。
  3. 在庫管理システムにはR/Mと購入品(bahan penolong)の材料倉庫(Gudang bahan baku)からの出庫が記録されなければならない。出庫メニューが必要。
  4. 在庫管理システムには製品(Barang jadi)の製品倉庫への入庫が記録されなければならない。入庫メニューが必要。
  5. 在庫管理システムには製品(Barang jadi)の製品倉庫からの出庫が記録されなければならない。出庫メニューが必要。
  6. 在庫管理システムにはスクラップの入出庫が記録されなければならない。スクラップの入出庫メニューが必要。
  7. 在庫管理システムには在庫調整の記録がされなければならない。在庫調整のメニューが必要。
  8. 在庫管理システムには棚卸の記録がされなければならない。棚卸のメニューが必要。
  9. KBへの入庫メニューには以下の入力フィールドが必要である。
    ドキュメントの種類(Jenis dokumen pabean)
    ドキュメント番号(Nomor dokumen pabean)
    ドキュメント日付(Tanggal dokumen pabean)
  10. KBからの出庫メニューには以下の入力フィールドが必要である。
    ドキュメントの種類(Jenis dokumen pabean)
    ドキュメント番号(Nomor dokumen pabean)
    ドキュメント日付(Tanggal dokumen pabean)
  11. 入庫レポート作成メニューが必要である。
  12. 出庫レポート作成メニューが必要である。
  13. WIPの現在庫(Posisi barang)レポート作成メニューが必要である。
  14. 材料と購入品の在庫移動レポート(Pertanggungjawaban mutasi hahan baku dan bahan penolong)作成メニューが必要である。
  15. 製品の在庫移動レポート(Pertanggungjawaban mutasi barang jadi)作成メニューが必要である。
  16. 残り物とスクラップの在庫移動レポート(Pertanggunjawaban mutasi barang sisa dan Scrap)作成メニューが必要である。
  17. 機械とオフィス機器の在庫移動レポート(Pertanggunjawaban mutasi Mesin dan Peralatan perkantoran)
  18. ドキュメントごとに入庫レポートのデータのダウンロード(エクスポート)機能が必要
  19. ドキュメントごとに出庫レポートのデータのダウンロード(エクスポート)機能が必要
  20. WIPの現在庫レポートのデータのダウンロード(エクスポート)機能が必要
  21. 材料と購入品の在庫移動レポートのデータのダウンロード機能が必要
  22. 製品の在庫移動レポートのデータのダウンロード(エクスポート)機能が必要
  23. 残り物とスクラップの在庫移動レポートのデータのダウンロード(エクスポート)機能が必要
  24. 機械とオフィス機器の在庫移動レポートのデータのダウンロード(エクスポート)機能が必要
  25. オペレータごとのユーザログイン機能が必要
  26. Bea Cukaiスタッフ専用のユーザーログイン機能が必要
  27. 入力された最後のデータは最近のデータ(今日または1日前)のものでなければならない。
  28. データの変更は特別な権限を持ったオペレータによって行われる必要がある。
  29. システムで利用履歴が記録されなければならない。