システム化を投資ではなく業務改善の過程と考える【最初から全ての要件を定義しない前提】

インドネシアでのシステム導入の難しさ

一般的にパッケージソフトによる業務システムの導入では、最初にソフトウェアやDBのライセンス、新規サーバーなどに対する大きな初期投資コストがかかります。

プロジェクトはウォーターフォール型といって、まず最初にユーザーの要件のとりまとめを行い、システムをどのように運用していくかを決める要件定義というフェーズがあり、ここでの決定事項に基づいて、どうしてもシステムで対応できないギャップを考慮しながら、運用フローを決めます。

川の水が滝の段差を上から下に流れ落ちるようなウォーターフォール型

しかし現実にはここですべての必要事項を出し尽くしてしまうのは難しく、机上の議論で決めた運用フローが実際に現場では対応できないことが判明すると、トレーニングやテスト運用期間に、運用フローの変更が発生します。

このように最初の要件定義フェーズでの決定事項を後になって変更する場合、通常はドキュメントの修正、追加カスタマイズなどの工数が発生しますので、追加費用がかかります。

近年はSales forceなどの営業支援システムSFA(Sales Force Automation)ツールで業務システムを開発する事例が増えていますが、最大のメリットは安価に短期間で開発可能という点です。

何故安価に導入できるかと言えば、日本であれば社内の情報システム部がSaaS(クラウドで提供されるソフトウェア)環境にて内製するからですが、社内に情報システム部のないインドネシアでは、ITベンダーに外注せざるを得ません。

ITベンダーはSFAツールを使って開発するにあたって、プロジェクトの初期段階で要件定義を行いますが、上述のパッケージシステム導入と同じく要件漏れのリスクをヘッジするために多めの工数を見積もるため、見積り金額が多くなりSaaS利用のメリットが軽減します。




Excelが業務改善に適している点

Excelを使って業務が回っている現場に対してシステム化の提案をする場合、まずはこのままExcel業務を続けていくことの問題点を指摘します。

  • Excelで管理するとファイルが担当者ごとにバラバラに保存され、フォーマットも情報の精度も担当者の裁量により属人化する。

本来表計算ソフトであるExcelは、セルにデータ入力したままファイルとして保存でき、コピーして共有したりバックアップを作成したりという気軽さこそが、四半世紀もの間、業務に浸透してきた最大の理由です。

これを業務改善という観点から見た場合、計算式やフォーマットを業務を行う上でより便利になるようにトライアル&エラーで修正しながら、少しずつ改善していけると言い換えることができます。

パッケージシステムの場合は入力画面の変更や出力帳票のフォーマット変更などの修正が気軽にできなくなり、やる場合には社内手続きやコストがかかり大変ですからね。

またExcelに入力したデータは、下書き、承認前、確定など、レベルに応じて補足情報を付箋を付けるようにメモ書きすることで、業務フローの次の部門に確定情報としてパスする前にバッファを持たせることができます。

データ入力はするが発注はせずペンディング、出荷はお客のOKを待ってから行う、インボイスの支払いは現場の検収報告を待ってから、などなどデータが正式反映されるまでにメモやフラグを付けることでバッファを持たせて情報管理できるわけです。

完成形を求めず改善活動の過程と考える発想の転換

パッケージシステム導入では最初に要件をすべて取りまとめて、システム運用フローはかくあるべしというターゲットを決め、それを実現するよう限られた期間内でプロジェクトを進めていきます。

ところが実際にはプロジェクトが期間内できっちり終わることのほうが少ないことをITベンダー側は知っているので、リスクヘッジのために工数を多めに見積もり、結果的にお客さん側の初期投資が大きくなります。

お客さんはシステム化という資産への初期投資を償却して費用化していきますが、導入の成否が見えず効果が不透明なシステムに対する大きな投資を敬遠する傾向があり、それがクラウド化、SaaSの利用に繋がっています。

そうであればオンプレミス型の業務システムも、初期段階での要件定義では全てが決まらないという前提で、Excelによる業務改善と同じように運用の中で少しずつ改善していくプロセスと考えるほうが自然だと思います。

  • システム導入を大上段に構えず保守費用の中で運用しながら改善していく。

そのためにはシステムを売るというよりも、業務のシステム化というサービスを売るという考え方への脳内変革、改善のための継続的な技術保守というストックビジネスで、長いお付き合いをしていただくのが理想だと考えます。