バーコードをスキャンするための端末は、バーコードリーダとハンディターミナルと無線ハンディターミナルの3種類に分類できますが、用途によって使い分けがなされるように、端末の機能は異なっています。
-
-
生産管理システム
生産管理業務は工場ごとに異なり、システムの開発導入も一品一様にならざるを得ず、工数が嵩みがちです。結局のところシステム導入の成否は、顧客の利益を優先しシステム導入効果を感じて欲しいという熱意であり、ある意味精神論に帰結します。
続きを見る
バーコードリーダー(スキャナー)
基本はPCにUSBケーブル(昔はRS232C)で接続しますが、BluetoothでPCとペアリングするタイプのものは、BluetoothスキャナーとかWirelessスキャナーとか呼ばれます。
ちなみにUSBケーブルでPCに1対1接続することをケーブル接続といいますが(そのまんま)、Bluetoothで通信を行う機器同士を接続することはそのまんまBluetooth接続と呼ぶよりも、「ペアリング」という特別な言葉で呼ばれます。
その理由として、例えばスマートウォッチとスマホを接続した状態でBluetoothスキャナーを使って出荷作業を行なう場合、3つのBluetoothの電波の中から、ちゃんとPCの電波を選択して通信できるような手順を踏むからであり、単なる接続を超えた意味を持っています。
バーコードリーダーはスキャナーとも呼ばれるとおり、単純にバーコードをスキャンしてデータを取り込むまでが役割であり、キーボードからの手入力による手間の省力化と、誤入力防止という2つの目的が果たせれば十分です。
例えば指図書の「指図NO」を読み込む場合の役割は、すばやく正確に指図NOを検索フィールドに入力することであり、引き続き業務システムが指図情報(指図NO・製造品目・出荷品目・入荷品目・移送品目・予定数量・場所 etc.)を画面に表示し、オペレーターが画面から実績情報(開始時間・終了時間・実績数量)を入力し更新します。
また例えば現品票の「品目コード+ロットNO」を読み込む場合の役割は、在庫情報(品目・ロットNO・場所・数量 etc.)を画面に表示するまでであり、引き続きオペレーターが画面から実績情報(場所・実績数量 etc.)を入力して更新します。
バーコードリーダーを使ったオペレーションの中では、動作主体は以下のように変わります。
- バーコードリーダー(キーとなる情報を読み取る主体)
- PC側のアプリ(キーを元にDBから情報を表示する主体)
- オペレーター(実績を入力する主体)
- PC側のアプリ(実績情報をDBに保存する主体)
バーコードを認識できたかどうかはピッという音で判りますが、そのデータがPCに正しく取り込まれたかどうか、データが正しいかどうか、などの判断はPC側のアプリでやる仕事なので、基本PCのモニターが見える距離内で使用する前提です。
以前MM2100の工場にCipher Lab(サイファーラブ)という台湾メーカーの100mのレンジを持つBluetoothスキャナーを導入したことがあるのですが、せっかく遠距離通信できるのに、現品のある場所からPCの画面が遠すぎると、データが正しく読み込まれたかどうかの確認ができない、というジレンマに陥ったことがあります。
ハンディターミナル
ハンディターミナルと言った場合には、一般的には取り込んだデータをバッチでPCの業務システムに戻すタイプのものを指すようで、事前に作成した指図に対してハンディターミナルで実績を収集します。
- 事前にPC側の業務システムで入出庫の指図情報を作成。
- 指図情報をインターフェイスで加工してハンディターミナルに転送。
- 現場に指図を配賦(指図NOはバーコード化)。
- 現場担当者は指図NOをスキャンしてから現物ラベルのバーコード(品目コード+ロットNO)をスキャンし数量をキーイン。
- 品目コードとロットNOが該当指図に存在すればOK、存在しなければNGのチェック(ハンディ側でのマスタチェックもあり)。
- 完了後、入出庫の実績をインターフェイスに取り込み、業務システムの実績フォーマットに加工して転送&実績計上。
ハンディターミナルの場合、現品ラベルのバーコード情報がハンディに溜められた情報とマッチするかどうかのチェックが目的であり、ハンディターミナルの中に以下の機能が実装される必要があります。
- 入荷・出荷・棚卸など作業種別を選択するメニュー機能
- 指図NOをキーに該当する指図情報を選択する機能
- 場所・棚などを選択するメニュー機能
- 現品のバーコード情報が指図情報にマッチするかどうかのチェック機能
また指図情報をハンディターミナルに取り込む際のフォーマット変換や、実績情報を業務システムに取り込む際のフォーマット変換や実績計上の仕組みがインターフェイスとして必要になります。
無線ハンディーターミナル
別に通常のバーコードリーダとしてもバッチ式ハンディとしても使えるにもかかわらず、バッチ式のハンディターミナルと区別してWindows CEなどのOS搭載モデルを「無線ハンディ」と呼ぶ理由は、スキャンしたバーコード情報を無線で飛ばしてリアルタイムに処理することを目的として購入する場合がほとんどだからです。
- ハンディ用に開発したWindowsアプリから直接サーバーのデータベースを参照できる。
- スキャンしたデータを元に、ハンディ用のWindowsアプリからインターフェイスを介さずに、業務システムの実績上げることができる。
通常のWindowsアプリの開発と同じ感覚で無線ハンディターミナル用のアプリの開発ができます。