業務システムの処理で自動生成させる会計仕訳 【継続記録法と三分法では費用化(売上原価化)のタイミングが異なる】

本記事の概要

会計システムでG/L(総勘定元帳)という場合、業務システムで発生した全仕訳を貸借に転記した蓄積データ自体を指す場合もあれば、これを該当月について全勘定科目出力したり、特定の勘定科目や期間でフィルタして出力する機能を指す場合もあります。

入金伝票・出金伝票・振替伝票入力などはGeneral Account(一般会計)の機能であり、これらをG/Lと総称してしまうと混乱が生じます。

業務システムでは、未承認の仕訳がG/L上にポスティング(借方をG/Lの借方へ、貸方をG/Lの貸方へ転記)され、一般会計の仕訳承認によりG/L上でステータスが承認済に変わります。

業務システムが仕訳を発生させる流れ

業務システムの中で、購買から一般会計に繋がる流れは以下のとおりです。

ERPシステムの場合

  • 発注入力⇒発注承認⇒入荷入力⇒仕入入力⇒仕入承認(未承認買掛振伝)⇒仕訳承認(承認済買掛振伝)⇒債務消込(未承認消込振伝)⇒仕訳承認(承認済消込振伝)

業務システムによっては入荷処理の後に、仕入登録ではなくInvoiceに基づく債務登録によって、仕訳生成とポスティングを同時に行なうものもあります。

  • 発注入力⇒発注承認⇒入荷入力⇒ポスティング(承認済仮買掛)⇒債務入力⇒ポスティング(承認済買掛)⇒債務承認⇒債務消込⇒Posting(承認済消込)

会計システムのみの場合

  • 債務入力⇒債務承認(未承認買掛仕訳)⇒仕訳承認(承認済買掛債務仕訳)⇒債務消込(未承認買掛消込仕訳)⇒仕訳承認(承認済買掛消込振伝仕訳)

会計システムG/Lのみの場合

  • 振替伝票入力(未承認買掛振伝)⇒仕訳承認(承認済買掛振伝)⇒振替伝票入力(未承認消込振伝)⇒仕訳承認(承認済消込振伝)

棚卸資産の受払仕訳

継続記録法のシステム(売上計上時にCOGSが発生)

複式簿記ではDebit(Asset+Expenses)とCredit(Liabilities+Shareholders equity+Revenue)が常にバランスし試算表等式を成立させますが、この中でLiabilitiesとShareholders equitiesの違いは返済義務の有無によります。

大雑把に行きますが、会社設立時には振替伝票からB/S勘定のみが登場します。

Dr. Bank 100    Cr.Capital 100
Dr. Fixed asset 40 Cr. Bank 40

仕入時(Invoice到着時)

Dr. Inventories 10    Cr.AP 10

売上計上時(Invoice発行時)

Dr. AR 15    Cr.Sales 15
Dr. COGS 10    Cr.Inventories 10

棚卸資産の受払がInventoriesというB/S勘定で行われる場合には、棚卸資産は売上の時点で費用化(売上原価化)します。

生産管理と会計が一体化しているシステムの場合、リアルタイムに在庫管理上の棚卸資産評価額と会計上の棚卸資産勘定残高が同期し、売上のタイミングでリアルタイムに売上原価(COGS)が計上されるので、締処理時にCOGSを算出するための決算整理仕訳はありません(「継続記録法と三分法」)。

ただし直接労務費(Direct labor cost)と製造間接費(FOH)は標準単価をBOMにセットして(会計と在庫の同期方法3種類)予定配賦額として実際原価計算を行なうことになります(「原価差異分析」から)。

三分法のシステム(決算整理仕訳でCOGSを算出)

一方で、月中における棚卸資産の受け入れは仕入勘定を用いて記録し、月末において「月初在庫+仕入-月末在庫」で売上原価を求める棚卸計算法(periodic inventory system)を三分法といいます(「継続記録法と三分法」から)。

仕入時(Invoice到着時にAPより)

Dr. Purchase 20    Cr. AP 20

販売時(Invoice発行時にARより)

Dr. AR 10    Cr.Sales 10

棚卸資産の受払をInventories勘定ではなく収益費用項目で行う場合、月末にOpening stock(Beginning)とClosing stock(Ending)をを介して間接的に相殺(re-class)して在庫と会計を同期させます。

Dr. Opening stock 50    Cr.Inventories 50
Dr. Inventories 30    Cr.Closing stock 30

Inventoriesが同期(会計上月初繰越高が月末棚卸評価額にre-class)したので、次は先のPurchaseとOpening stockとClosing stockをCOGSにre-classすることでCOGSを算出します(1. 継続記録法と三分法)。

Dr. COGS 50    Cr.Opening stock 50
Dr. COGS 20    Cr.Purchase 20
Dr. Closing stock 30    Cr.COGS 30

売上原価に積上げる費用

棚卸資産の受払以外に、決算整理仕訳で振替伝票にてCOGSにre-classされるのが以下の3つです。

  1. Freight in(CIF費用=仕入諸係)→Direct materialに付加
  2. Direct labor cost
  3. FOH

PIB輸入申告書=PIB (Pemberitahuan Impor Barang)に含まれる関税(Bea Masuk)やPPH22やPPN、通関許可証=SPPB (Surat Persetujuan Pengeluaran Barang)など、の仕入に付随するCIF(Cost, Insurance and Freight)費用をCOGS勘定にre-classすることで、最終的にCOGSを確定させGross profitを算出します(4. 販売業と製造業の在庫管理システム)。

 

決算処理

三分法の場合、上記のCOGS確定のための仕訳は決算整理仕訳として行われますが、継続記録法の場合は売上の都度COGS化しているためCOGSの決算整理仕訳は必要ありません。

固定資産減価償却仕訳

P/L科目のNet incomeへのre-classの前に、Depreciation(減価償却費)は事前に固定資産管理システムからFixed asset勘定科目ごとの償却仕訳をインターフェイスしておく必要があります(2. 固定資産管理システム)。

Dr. Depreciation (SGA) 3    Cr.Accumulated depreciation(マイナス資産) 3

ちなみにSGAはSelling and Generally Administrative Expensesの略称です。

Net income確定処理

売上原価の外にある販管費などは、発生した時点に損益期間と一致して費用化するところから期間原価(Period Cost)と呼ばれ、決算整理仕訳で振替伝票にてNet incomeにre-classされます。

すべてのP/L項目(Sales・COGS・Period cost)についてNet income勘定にre-classを行い、SalesからCOGSとPeriod costを控除したNet income勘定の残高をretained earning勘定にre-classし、P/LとB/Sを作成します。

P/Lの当月損益のためのprofitやloss勘定科目は必要なく、計算結果をシステムでP/Lフォーマットに表示すれば十分です。

Trial balance(試算表)

インドネシアではTrial balanceという場合、一般的に残高試算表を指すことが多いですが、日本の会計担当者からは合計残高試算表を求められるケースがあります。

  1. 合計試算表:貸借にそれぞれの科目ごとの合計金額を表示
  2. 残高試算表:インドネシアで通常のT/B(バランスのみで片方の残高が0)
  3. 合計残高試算表:1と2の両方を別列で表示させたもの。

精算表は「T/B貸借列+B/S貸借列+P/L貸借列」から構成され、T/BからB/S項目とP/L項目を分離するClosing(決算)処理で作成するものですが、一般的にインドネシアでは作成しません。

原価管理システムからの仕訳生成(三分法)

会計システムで三分法を採用している場合、原価管理システムから会計システムにインターフェイスするのは、月末棚卸資産の評価額のみとなります。

原価管理システムを完全に財務会計として利用する場合の仕訳は「財務会計のための原価管理システム利用」のとおりです。

COGS算出仕訳

原価管理システムでは上記の「4.COGS確定処理」のCOGS算出仕訳の代わりに、演繹的にCOGSを算出し会計仕訳をインターフェイスします(6. 原価管理システムとは)。

R/M, WIP, F/GのOpening stock(月初在庫評価額)とClosing stock(月末在庫評価額)のre-class仕訳と、Material cost, COGM, COGS計上仕訳を原価計算結果より生成します。

B/S科目は翌月に繰越されるため、残高のあるすべての科目がB/S上に表記されますが、P/L科目はすべてがP/L上に記載されるとは限りませんし、科目として存在しない項目がP/Lに登場することもあります(Profit など)。

Opening stock, Closing stock, OffsetはP/L科目なので、月末に残るバランスはProfit/Lossに吸収されRetained earning化(資産化)するので問題ありません(2. 会計と在庫の同期方法3種類)。

1.月初材料残高を月末材料評価額に振替

Dr. Beginning RM 5    Cr.Raw Material 5
Dr. Raw Material 2    Cr.Ending RM 2

2.材料を当月材料費(Material Usage)に材料コントラ勘定で振替=当月製造した仕掛品の原価
材料を当月材料費に振替
*P/L作成時に三分法で算出しJournalしないケースもあり。

Dr. Material Cost 8    Cr.Raw Material-Offset 8

3.月初仕掛品残高を月末仕掛品評価額に振替

Dr. Beginning WIP 6    Cr.WIP 6
Dr. WIP 5    Cr.Ending WIP 5

4.当月製造原価(COGM)に仕掛品コントラ勘定で振替=当月製造した製品の原価
*P/L作成時に三分法で算出しJournalしないケースもあり。
仕掛品を製品製造原価に振替

Dr. COGM 9    Cr.WIP-Offset 9

5.月初製品残高を月末製品評価額に振替

Dr. Beginning FG 6    Cr.FG 6
Dr. FG 5    Cr.Ending FG 5

6.売上原価(COGS)に製品コントラ勘定で振替=当月販売した製品の原価
*P/L作成時に三分法で算出しJournalしないケースもあり。
製品を売上原価に振替

Dr. COGS 8    Cr.FG-Offset 8

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