業務システムの処理で自動生成させる会計仕訳 【継続記録法と三分法では費用化(売上原価化)のタイミングが異なる】


業務システムが会計仕訳を発生させる流れ

業務システムの中で、購買管理から一般会計に繋がる流れは以下のとおりです。

ERPシステムの場合

  • ①発注入力⇒②発注承認⇒③入荷入力⇒④仕入入力⇒⑤仕入承認(未承認買掛振伝)⇒⑥仕訳承認(承認済買掛振伝)⇒⑦債務消込(未承認消込振伝)⇒⑧仕訳承認(承認済消込振伝)

業務システムによっては入荷処理の後に、仕入登録ではなくインボイスに基づく債務登録によって、仕訳生成と元帳へのポスティングを同時に行なうものもあります。

  • ①発注入力⇒②発注承認⇒③入荷入力⇒④ポスティング(承認済仮買掛)⇒⑤債務入力⇒⑥ポスティング(承認済買掛)⇒⑦債務承認⇒⑧債務消込⇒⑨ポスティング(承認済消込)

会計システムの場合

  • ①債務入力⇒②債務承認(未承認買掛仕訳)⇒③仕訳承認(承認済買掛債務仕訳)⇒④債務消込(未承認買掛消込仕訳)⇒⑤仕訳承認(承認済買掛消込振伝仕訳)

会計システムの元帳(G/L)の場合

  • ①振替伝票入力(未承認買掛振伝)⇒②仕訳承認(承認済買掛振伝)⇒③振替伝票入力(未承認消込振伝)⇒④仕訳承認(承認済消込振伝)

棚卸資産の受払仕訳

継続記録法のシステム(売上計上時に売上原価が発生)

複式簿記では借方Debit(Asset+Expenses)と貸方Credit(Liabilities+Shareholders equity+Revenue)が常にバランスし試算表等式を成立させますが、この中で負債Liabilitiesと資本Shareholders equitiesの違いは返済義務の有無によります。

会社設立時には振替伝票から貸借対照表(B/S)勘定のみが登場します。

  • Dr. Bank 100    Cr.Capital 100
  • Dr. Fixed asset 40 Cr. Bank 40
仕入時(インボイス到着時)

  • Dr. Inventories 10    Cr.A/P 10
売上計上時(インボイス発行時)

  • Dr. A/R 15    Cr.Sales 15
  • Dr. COGS 10    Cr.Inventories 10

棚卸資産の受払がInventoriesというB/S勘定で行われる場合には、棚卸資産は売上の時点で費用化(売上原価化)します。

生産管理と会計が一体化しているシステムの場合、リアルタイムに在庫管理上の棚卸資産評価額と会計上の棚卸資産勘定残高が同期し、売上のタイミングでリアルタイムに売上原価(COGS)が計上されるので、締処理時にCOGSを算出するための決算整理仕訳はありません。

ただし直接労務費(Direct labor cost)と製造間接費(Factory Overhead=FOH)は標準単価を部品構成表(BOM)にセットして、予定配賦額として実際原価計算を行なうことになります。

三分法のシステム(決算整理仕訳でCOGSを算出)

一方で、月中における棚卸資産の受け入れは仕入勘定を用いて記録し、月末において「月初在庫+仕入-月末在庫」で売上原価を求める棚卸計算法(periodic inventory system)を三分法といいます。

仕入時(インボイス到着時にA/P入力)

  • Dr. Purchase 20    Cr. AP 20
販売時(インボイス発行時にA/R入力)

  • Dr. AR 10    Cr.Sales 10

棚卸資産の受払を資産項目であるInventories勘定ではなく収益費用項目で行う場合、月末に費用コントラ勘定であるOpening stock(Beginning)とClosing stock(Ending)を介して、間接的に相殺して在庫と会計を同期させます。

  • Dr. Opening stock 50    Cr.Inventories 50
  • Dr. Inventories 30    Cr.Closing stock 30

会計上、月初繰越高を月末棚卸評価額に振替えることで在庫と会計が同期したので、次は先の仕入勘定PurchaseとOpening stockとClosing stockを売上原価(COGS)に振替えることで売上原価を算出します。

  • Dr. COGS 50    Cr.Opening stock 50
  • Dr. COGS 20    Cr.Purchase 20
  • Dr. Closing stock 30    Cr.COGS 30

売上原価に積上げる費用

棚卸資産の受払以外に、決算整理仕訳で振替伝票にてCOGSに振替えるのが以下の3つです。

  1. Freight in(CIF費用=仕入諸係)→Direct materialに付加
  2. Direct labor cost(直接労務費)
  3. FOH(製造間接費)

輸入申告書=PIB (Pemberitahuan Impor Barang)に含まれる関税(Bea Masuk)やPPH22やPPN、通関許可証=SPPB (Surat Persetujuan Pengeluaran Barang)など、の仕入に付随するCIF(Cost, Insurance and Freight)費用をCOGS勘定に振替えることで、最終的にCOGSを確定させ売上総利益(Gross profit)を算出します。

決算処理

三分法の場合、上記のCOGS確定のための仕訳は決算整理仕訳として行われますが、継続記録法の場合は売上の都度COGS化しているためCOGSの決算整理仕訳は必要ありません。

固定資産減価償却仕訳

P/L科目のNet incomeへの振替えの前に、Depreciation(減価償却費)は事前に固定資産管理システムからFixed asset勘定科目ごとの償却仕訳をインターフェイスしておく必要があります。

  • Dr. Depreciation (SGA) 3    Cr.Accumulated depreciation(マイナス資産) 3

ちなみにSGAはSelling and Generally Administrative Expensesの略称です。

Net income確定処理

売上原価の外にある販管費などは、発生した時点に損益期間と一致して費用化するところから期間原価(Period Cost)と呼ばれ、決算整理仕訳で振替伝票にてNet incomeに振替えられます。

すべてのP/L項目(Sales・COGS・Period cost)についてNet income勘定に振替え、SalesからCOGSとPeriod costを控除したNet income勘定の残高を利益剰余金(retained earning)勘定に振替え、P/LとB/Sを作成します。

P/Lの当月損益のためのprofitやloss勘定科目は必要なく、計算結果をシステムでP/Lフォーマットに表示すれば十分です。

Trial balance(試算表)

インドネシアではTrial balanceという場合、一般的に残高試算表を指すことが多いですが、日本の会計担当者からは合計残高試算表を求められるケースがあります。

  1. 合計試算表:貸借にそれぞれの科目ごとの合計金額を表示
  2. 残高試算表:インドネシアで通常のT/B(バランスのみで片方の残高が0)
  3. 合計残高試算表:1と2の両方を別列で表示させたもの。

精算表は「T/B貸借列+B/S貸借列+P/L貸借列」から構成され、T/BからB/S項目とP/L項目を分離するClosing(決算)処理で作成するものですが、一般的にインドネシアでは作成しません。

原価管理システムからの仕訳生成(三分法)

会計システムで三分法を採用している場合、原価管理システムから会計システムにインターフェイスするのは、月末棚卸資産の評価額のみとなります。

原価管理システムを完全に財務会計として利用する場合の仕訳は「財務会計のための原価管理システム利用」のとおりです。

COGS算出仕訳

原価管理システムでは上記の「4.COGS確定処理」のCOGS算出仕訳の代わりに、演繹的にCOGSを算出し会計仕訳をインターフェイスします。

原材料、仕掛品、製品の月初在庫評価額と月末在庫評価額の振替仕訳と、直接材料費、製造原価、売上原価計上仕訳を原価計算結果より生成します。

B/S科目は翌月に繰越されるため、残高のあるすべての科目がB/S上に表記されますが、P/L科目はすべてがP/L上に記載されるとは限りませんし、科目として存在しない項目がP/Lに登場することもあります(Profit など)。

Opening stock、Closing stock、コントラ勘定(Offset account)はP/L科目なので、月末に残るバランスはProfit/Lossに吸収されRetained earning化(資産化)するので問題ありません。

1. 月初材料残高を月末材料評価額に振替

  • Dr. Beginning RM 5    Cr.Raw Material 5
  • Dr. Raw Material 2    Cr.Ending RM 2

2. 材料を当月材料費(Material Usage)に材料コントラ勘定で振替=当月製造した仕掛品の原価
材料を当月材料費に振替
*P/L作成時に三分法で算出しJournalしないケースもあり。

  • Dr. Material Cost 8    Cr.Raw Material-Offset 8

3. 月初仕掛品残高を月末仕掛品評価額に振替

  • Dr. Beginning WIP 6    Cr.WIP 6
  • Dr. WIP 5    Cr.Ending WIP 5

4. 当月製造原価(COGM)に仕掛品コントラ勘定で振替=当月製造した製品の原価
*P/L作成時に三分法で算出しJournalしないケースもあり。

仕掛品を製品製造原価に振替

  • Dr. COGM 9    Cr.WIP-Offset 9

5. 月初製品残高を月末製品評価額に振替

  • Dr. Beginning FG 6    Cr.FG 6
  • Dr. FG 5    Cr.Ending FG 5

6. 売上原価(COGS)に製品コントラ勘定で振替=当月販売した製品の原価
*P/L作成時に三分法で算出しJournalしないケースもあり。

製品を売上原価に振替

  • Dr. COGS 8    Cr.FG-Offset 8