インドネシアにおける業務システム開発導入という仕事

2014/01/18

インドネシア独立記念塔

システム導入の仕事では請負契約である場合、工数が予算内に収まるように管理しないと赤字になりますが、それ以上に重要なことは利益よりも顧客の利便性の改善にを第一に考えることであり、顧客第一で考えていれば気後れすることも恐れることもありません。

業務システム導入の種類

システム会社の仕事と言えば「システム開発」とか「システム構築」という言葉が思い浮かぶが、業務システム導入という分野では、現在の標準業務フロー(Standard Operation Procedure=SOP)をシステムに置き換えることにより、業務効率のアップ、データの有効活用等をお客さんに提案し実現するのが仕事である。

その置き換えるシステム(ソリューション)の違いがシステム会社の「色」であり、お客さんは複数の業者から提案されるソリューションを比較し相見積もりを取り、総合的に自社にあったシステムの選定を行う。

パッケージシステムの場合、基本は標準業務フローとしてお客さんの業務をパッケージに合わせてもらう。製造業は大きく分けて組立系とプロセス系に分かれるが、多くのパッケージが組立系向きなのは業務の標準化がし易いからである。

逆に言うと業務の標準化が難しいプロセス系の場合はカスタマイズベースのシステムが向いているとも言える。

現にプロセス系製造業に導入されているパッケージシステムには何らかのカスタマイズが施されているケースが多い。

スクラッチ開発をベースとしたシステム会社の場合は、お客さんの要求をいかにヒアリングするかという要件定義の部分を非常に重要視する。

パッケージ導入の場合も当然要件定義は必要になるが「どこまで詳細に聞くか」というところに違いがある。

パッケージシステムには開発側の知識と経験が凝縮されており、それが標準業務フローとしてパッケージに具現化されている。

ということはお客さんはパッケージを選択するという時点で「標準業務フロー」を選択しているということであり、当然ながら選定の過程で最低限含まれなければならない機能について慎重に検討される。

すべての要求をカバーできるパッケージはないので、差分についてパッケージベンダーが提案する標準にあわせるか、カスタマイズをするかの選択になる。

お客さんの業務にどこまで踏み込むべきか

そしていざシステム導入プロジェクトを開始すると必ず直面するのは「お客さんの業務にどこまで踏み込むべきか」という問題である。

日本人担当者はシステムの面からの業務カイゼン提案を期待しているケースが多いが、他方で導入時にオペレーションの担当者になるインドネシア人は現状の業務フローをシステムで実現したがる傾向があり、基本は変化を好まず保守的である。

インドネシアの製造業で「カイゼン」の重要さを徹底して教育するのは、インドネシア人の現状維持を好む保守的な意識の変換を促す意味が強い。

業務カイゼン提案を行うときは「自分のシステムこそが過去の導入経験が凝縮された標準フローである」という確固たる自信がないと難しく、自信なさげな提案は「カスタマイズができないので逃げている」と思われるだけである。

業務のプロであるお客さんを納得させるだけの説得力のある提案を行なうのは非常に難しいが、提案したシステムを採用していただき、導入・本稼動まで漕ぎ着けたときの喜びは格別なものがある。