一般企業の駐在員がワクチン接種のため一時帰国する中、インドネシアで結婚し自営業者として滞在している日本人には、ワクチン接種が難しい状況でしたが、先日17日に日本大使館主導の在留邦人向けワクチン接種を受けることができました。 日本人のインドネシアについてのイメージはバラエティ番組で活躍するデヴィ・スカルノ元大統領夫人の知名度に依存する程度のものから、東南アジア最大の人口を抱える潜在的経済発展が見込める国という認識に変遷しています。 続きを見る
インドネシアの政治・経済・社会
新型コロナウィルス感染者・死者ともに激減中
インドネシアでジョコウィ大統領がワクチン接種第一号として接種キャンペーンが始まったのが今年1月13日で、9月20日現在で1回目の接種率が約30%、2回目以上が約16%と接種率はさほど高くはないものの、現在の新規感染者数と死者数はV字下降で改善しています。

REUTERSより
全人口のうち高い比率でウィルスに感染してしまったので獲得免疫が抗体を作っているという面もあるかと思いますが、この結果はインドネシア保健省の努力が実を結んだものと好意的に受け止めていいと思います。
現在インドネシア入国後に政府指定のホテルにて8日間隔離を含め到着日から14日間の自主隔離が推奨されている状況ですが、今後はPCR検査陰性証明書とワクチン接種証明書を条件として隔離期間が短縮されていくものと考えられます。
昨日9月20日、PPKM(レベル4活動制限)のジャワ島・バリ島で10月4日まで2週間延長が決定されましたが、最高危険度のレベル4地域はなくなり、モールへの12歳以下の子供の入館、映画やサッカーその他イベントの開催が段階的に許可されていくようです。

一般企業の経済活動では、必須分野(esensial)または重要分野(kritikal)に該当しない業種でも出勤率25%まで認められるようになりましたが、出勤できるのはワクチン接種済みの従業員のみで、ワクチン接種管理用アプリPeduliLindungiによるスクリーニングが義務付けられています。
日本大使館主導の在留邦人向けワクチン接種
7月下旬から日本政府主導の一時帰国のための特別便が手配されるようになると、一般企業の駐在員によるワクチン接種のための一時帰国ラッシュが始まりましたが、僕のような自営業者やインドネシアで結婚し配偶者として滞在されている方々には、ワクチン接種の機会を設定してくれる後ろ盾がないため、当地で自力で接種するしかありません。
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海外在留邦人向けワクチン接種のための一時帰国ラッシュ
日本での海外在留邦人向けワクチン接種のための一時帰国ラッシュが続き、日本人駐在員の一時帰国決定が56%に達しており、担当者不在または多忙につき当地での営業活動に大きな支障が出ています。今インドネシアはかつてないほどリスクの高い国と認識されている厳しい状況です。
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インドネシア保健省が頑張って接種率を上げようという中、当地に住まわせてもらっている外国人という立場上、すぐにでも接種して一刻も早いコロナ収束に協力しようという気持ちは強かったのですが、意外と接種できる会場を見つけるのに苦労しました。
診療アプリHaloDocで何度か予約を入れてみたものの、数分後に「要件を満たしていない(KTPがない)」という理由でキャンセルされるし、なんとか予約が入ったと喜んでジャカルタの会場まで行ってみたものの「ごめんなさい、インドネシア人オンリーです」と断られるし、なんだかワクチン接種を推奨しながらも外国人の接種がウェルカムじゃないような雰囲気に嫌気が差し、もう別に打たなくてもいいやと思い始めていた矢先に、日本大使館主導の在留邦人向けワクチン接種の案内メールが来ました。
場所は北ジャカルタのタンジュンプリオク港湾検疫と結構遠かったのですが、なにせ日本大使館のお墨付きなので、一般接種で混雑するインドネシア人に気後れすることなく外国人として堂々とアストラゼネカ社製ワクチンの接種ができました。

正直なところ長年に渡って、インドネシア在住日本人にとっての日本大使館の対応は、決して満足のいくものとは言えなかったと思うのですが、最近のインドネシア政府発表に関する日本語による迅速な情報提供、一時帰国のための特別便の手配などで、大きく心象が改善しているように感じます。 1998年のジャカルタ暴動の際に「よろずインドネシア」が在住日本人の情報源となったことは、インターネット時代を迎える象徴的な出来事でしたが、コロナ禍下ではSNSの力が政治家を動かし、行政サービスの改善に繋がったエピソードとして語り継がれるのかもしれません。 続きを見る
SNSを通じて国民の声が政治家に届く時代【インドネシア在住日本人の情報収集手段】
そして今回のワクチン接種実現に際しても、日本大使館関係者によるインドネシア政府関係者との交渉などのご苦労ご尽力があったものと推測され、深く感謝申し上げる次第です。