インドネシアのE-COMMERCE事業者に対する税制

インドネシア税法

インドネシアのe-commerce事業者に対する税制 【UMKM中小個人事業主に対する外形標準課税】


中小事業主の課税所得に対してかかる税金

先日洗車屋の損益試算をしたとき書きましたが、年間売上4.8Miliyar以下のUMKM中小個人事業主(Usaha Mikro, Kecil, dan Menengah)の課税所得に対してかかる税金として、経営成績である利益に対してかかる法人所得税(PPh25 bulanan)ではなく、事業主に対して一律公平にかかる事業税のような 外形標準課税(Pro forma perpajakan standar)が1%かかり、税法上はPKP課税事業主(Pengusaha Kena Pajak=Taxable Entrepreneur)ではないため、税務申告もあくまで自主申告(Voluntary Registration)になります。

法人所得税以外に源泉所得税対象の取引が発生する場合、例えば輸入時の売上時の所得税前払いであるPPh22(2.5%)、サービス源泉税PPh23(2%)、インドネシア居住者が日本で得た収入のうち日本で源泉されるPPh24(インドネシアでの控除)などが発生すれば、毎月10日までに前月分の税額の支払いを行った後で、SPT(Surat Pemberitahuan)Masa bulananで申告する必要がありますが、現在はこれらの支払いをサポートするDJP(Direktorat Jenderal Pajak インドネシア国税総局)が提供するオンラインシステムe-billing、SPT Masaのオンライン申告システムがe-filingがありますので、KPP(Kantor Pelayanan Pajak税務署)に並ぶ必要もありません。

UMKMは売り時にPPN10%は上乗せしませんし、買ったときに10%上乗せされませんので、例えばPKP課税事業主の会社がUMKMに対して売上を計上する際には、相手がFaktur Pajakを処理できないためNo-taxation不課税(Tax exemption 非課税ではない)となりPPNは計上できません。

e-commerce事業者に対する税制

上記は個人事業主だけではなく、会社勤めしながらサイドビジネスでe-commerceをやっている個人にも適用されますが、2013年にe-commerceに関する税制であるSurat Edaran Direktur Jenderal Pajak Nomor SE/62/PJ/2013ではe-commerceビジネスを以下の4つに分類し、PPh所得税とPPN付加価値税の適用範囲を定義しています。

  1. Online Marketplace(オンライン市場)
    PPh23(サービス源泉税), PPh21(個人所得税), PPh26(海外サービス購入時の源泉20%)
  2. Classified Ads(デジタル広告)
    PPh23(サービス源泉税), PPh21(個人所得税), PPh26(海外サービス購入時の源泉20%)
  3. Daily Deals(オークションサイト)
    PPh23(サービス源泉税), PPh21(個人所得税), PPh26(海外サービス購入時の源泉20%)
  4. Online Retail(オンラインショップ)

このe-commerce税制は、Youtube、Facebook、Yahooなどアメリカ資本のオンラインビジネスがインドネシア国内から広告収入等を上げているにもかかわらず、支払いがアメリカのサーバーを通してアメリカ法人になされるために、インドネシアでPPh26(海外サービスへの支払い時にインドネシア側で源泉徴収)の20%を支払っていないことから提起されており、インドネシア国内で売上を上げる以上、その会社はBUT恒久的法人(Bentuk Usaha Tetap)であり、PKP課税事業主として納税の義務が発生することになります。

e-commerceビジネスを個人事業でやるか法人化するか

結局のところ、税制面から見た場合に個人事業でやろうが法人格にしようが差はなく、事業を行う以上PPh25法人所得税または外形標準課税、それに各種所得税を支払う義務があり、むしろ法人格である株式会社(PT=Perseroan Terbatas)にすることで投資が受けられるようになったり、損失に対する責任も法人格にすることで有限責任となり個人の資産にまで被らないというリスクヘッジのメリットがあります。

それでもe-commerce個人事業主が法人化をためらうのは、今税金を払っていないので今後も払いたくないか、もしくは法人化することで付き合うことになる税務署に対する不信感からくるものと推測されますが、事業取引で個人の銀行口座を使うことで税務署の目が届きにくいとはいえ、税務署にはNPWP(納税者番号)に紐付いた口座情報を閲覧する権利があります。

インドネシアではNPWPがないと銀行で住宅ローンも組めないし、車や家などの資産も基本的に買えないことになっているのですが、ただ最近は銀行口座開設時にNPWPを厳しく要求されなくなっているようで、一時期騒がれた日本のマイナンバーと似たような状況になりつつあります。



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