内需と外需の自国経済に及ぼす影響

インドネシア時事問題

内需と外需の自国経済に及ぼす影響【インドネシアも日本も貿易赤字で内需頼み】


貿易赤字傾向で内需頼みの経済

インドネシア進出セミナーで必ず言われる言葉だと思いますが

  • 海外資本にとってインドネシアの国内の分厚い内需が魅力的

外国資本にとってはインドネシア国内市場が魅力的に映るのは、そこで儲けやすいからです。

しかしインドネシア側としては勝手に国内で好き勝手されて利益を海外に吸い上げられてはたまらないので、ネガティブリスト(投資分野において外資が制限されている事業分野)を設けたり、労働者保護優先の労働法があったり、移転価格税制を厳格化するわけです。

  • 儲けるならちゃんと国内にも還元しろ

を徹底するわけですね。

「インドネシアの国内の分厚い内需」の裏面には「輸出競争力の長期低迷」という負の側面があるのですが、これなんか既視感があると思ったら日本と似てませんかね?

もちろん今の日本は長期デフレ下で消費が冷え込んでおり、元凶は日本国内の企業が保有する行き場のない手元現金だと言われており、その額は過去最高の506兆円だと今日のBloombergのニュースで言ってました。

内需拡大(国内消費が増える)のためにはこれを投資という形で市中に流通させ、企業や最終消費者に還元することで消費を活性化させる必要があります。

これがアベノミクスだったわけですけど2019年現在、大きな機能は果たしておらずデフレ脱却までは程遠いとはいえ、確実に国内企業は収益を上げ続けています。

インドネシアと日本の両国の国内市場は分厚いのは同じでも、インドネシアのほうが消費者人口が大きくインフレ傾向であるため、消費に回る比率が高くなり、その結果として内需が活発になっているという違いが出ています。

インドネシアと日本の貿易収支の推移

インドネシアと日本の貿易収支の推移(世界経済のネタ帳から

日本の場合は貿易収支が赤字傾向である一方で、経常収支は貿易収支やサービス収支などの赤字を帳消しにするくらいの大幅黒字です。

インドネシアと日本の経常収支の推移

インドネシアと日本の経常収支の推移(世界経済のネタ帳から

日本の経常収支の内訳

  • 貿易収支(赤字)
  • サービス収支(赤字):輸送収支、旅行収支、その他サービス収支
  • 第一次所得収支(大幅黒字):国外へ投資にかかる利子や配当の受け取り
  • 第二次所得収支(赤字):その他

マクロ経済的に言えば、日本は貿易収支赤字による国内資産の減少を過去の投資からの利子配当で補填している状態であると言えます。

そしてインドネシアの場合は、輸出が伸び悩む中でも国内の消費意欲の強い消費人口が増え続け、新たな需要を生み出し続けることにより、経済が活性化している状態であると言えます。

輸出または海外からの収入がなければ国内資産は増えない

日本は高度経済成長期には輸出依存体質だったのが、良く言えば内需主導型経済へのシフトに成功したということなのですが、内需主導型というのは悪く言えば身内でお金を回し合う状態のことです。

循環取引(相互発注)によって売上が積みあがったとしても、行きつくところ国全体としては先細り、じり貧になっていくということはないのでしょうか?

単純に考えて家族内(内需)で売買を行っても、家族全体の富(国内資産)は永遠に増えないですよね?

一家が裕福になるためにはお父さんお母さんが会社で働いたり商売したりして、外からお金を稼いでくる(輸出)ことによって家族全体の富(国内資産)が増えます。

  • 輸出促進で外貨を稼ぎ国力を強めたところで国内産業を強化する

というのは国家の経済発展のための必勝パターンです。

そしておばあちゃんの農家から野菜を買えば、家族全体の富(国内資産)は家族内で回りますが、おばあちゃんが作ったお惣菜を買えば、そこに使用されている醤油や塩などの購入品分が、家族外(国外)に流出します。

また駅前のスーパーでお米やお菓子を買えば(輸入)、その分の家族の富(国内資産)は流出することになります。

今の日本の状況は

  • 公共事業投資を行っても、お金が企業内や個人の貯蓄に滞留してしまい国内消費が増えない

そして今のインドネシアの状況が

  • 国内消費は増えても消費材の輸入品比率が高く、国内資産が海外に流出

というわけです。

国内資産が増えれば景気が上昇する

もう大学を卒業して以来、久しくアカデミックなことやってないのであまり自信がありませんが、景気の流れってだいたいインフレ率と金利と為替との間で相関関係(裁定作用)が働き、輸出が好調だと国内資産が増えて景気が良くなり、輸出が不調だと国内資産が減って景気が悪くなります。

  • インドネシアの景気が良くなる(国内への資産の流入に伴いインフレ傾向
  • 国内企業が投資を増やす(借入を増やす)
  • 銀行に多くの借入希望が来るので金利下降
  • 金利が下がるとルピアを売って外貨を買い外国にお金が逃げるのでルピア売り(ルピア安
  • 輸出しにくくなるのでインドネシアの景気が悪くなる(国外への資産の流出に伴いデフレ傾向
  • 国内企業が投資を控える(借入を控える)
  • 銀行は借りてもらうために金利上昇
  • 金利が上がるとルピアで預けたくなるので外貨を売ってルピア買い(ルピア高
  • 輸出しやすくなるのでインドネシアの景気が良くなる(国内への資産の流入に伴いインフレ傾向

今のインドネシアは金利が上がっても政治経済の不安定要素が大きいためルピア安で、国内産業の中で付加価値をつける技術力が不足しており、その結果製品競争力が低く輸出が伸びない状況です。

ジョコウィ政権第2期目の課題の一つとして、脆弱なインドネシアの輸出競争力を向上させるために、一次産品を国内のサプライチェーン上で加工することで付加価値をつけ、海外に輸出する産業の川下化(hilirisasi)を進めています。

その一環として、インドネシアは天然資源などの一次産品の輸出比率を減らす方針で、政府は今月9月2日に電気自動車のバッテリーに欠かせないニッケルの輸出を来年から禁止することを発表しました。

かつて日本は高度経済成長時には輸出主導型経済であり、それがアメリカとの貿易摩擦を生み、デトロイトでは日本車がハンマーで叩き割られました。

自分も学生自体の経営学の授業では、終身雇用、年功序列、企業別組合という三種の神器を軸とする日本的経営を学び「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という言葉を誇らしげに思った世代です。

今やこの三種の神器こそが日本企業の国際競争力を弱める要因となっており、バブル経済崩壊のトラウマの影響もあって企業は設備投資も控え、さらに人口減少による内需の収縮が重なり、ますます厳しい状況になっていくものと思われます。

インドネシアは消費者人口が増え続けている今のうちに国内産業の技術力を向上させ、国内資産を増加させるための輸出競争力を強化する必要があり、その産業部門の柱として電気自動車を挙げています。

自動車の生産能力は十分あるにもかかわらず、輸出台数は30万台に留まっており、タイに比べてわずか3分の1という国際競争力の改善のために、生産性向上のための生産のIoT化、高度人材育成が求められています。





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