資産がデビットで負債がクレジットという考え方

2016/10/14

ジャカルタ

支払いの源泉を基準に考えるとデビットは資産(借方)でクレジットは負債(貸方)であり、デビットは請求の権利、クレジットは請求される義務で相手に相手にデビットノートを発行する権利を与えるとも言えます。

インドネシア

インドネシアの会計システム

インドネシアでキャッシュレス化が浸透し、銀行口座を通して行われた企業取引がすべてシステムに自動仕訳されることで日常的な記帳業務はなくなれば、人間がマニュアルで会計業務に絡む場面は少なくなることが予想されますが、頭の中に業務の基本を体系的に記憶することは重要だと考えます。

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デビットカードとクレジットカード

インドネシアの銀行で口座を開くとKartu ATM(キャッシュカード)にKartu Debit(デビットカード)の機能が付いていますので、普通の社会生活を送っているインドネシア人であれば、ほぼ100%デビットカードをもっていることになります。

うちの嫁さんにデビットカードとクレジットカードの違いを聞いたところ

  • デビットは自分のお金でクレジットは借りるお金

と面倒くさそうに答えましたが、これはなかなか本質を突いた理解の仕方だと思います。

会計的に言うと、支払いの源泉であるお金は資産科目なので、ノーマルバランスはデビット(借方)です。

デビットカードは銀行に発行してもらったカードで自分の口座のお金から支払い、クレジットカードはクレジットカード会社発行してもらったカードでクレジットカード会社からお金を借りて支払う。

支払いの源泉を基準に考えるとデビットは資産(借方)でクレジットは負債(貸方)になり、たぶんここが一番混乱するポイントだと思います。

デビットノートとクレジットノート

さらにややこしいのがデビットノートとクレジットノートで、インドネシアに来た当初、プロジェクトが長引いて怒らせてしまったお客さんから

  • 遅延分につきましてはデビットノートで請求させていただきます。

と言われてなんのこっちゃ、と思ったことがありました。

システム会社がお客さんに対して、サービス代金を請求する際に発行するのは請求書(インボイス)ですが、導入したシステムがうまく動かないときお客さんが怒って「今まで払った金返せ」という際に、お客さんが発行するのがデビットノートです。

システム会社からすれば、インボイスで請求済みの金額に対して、マイナスインボイスで直接減額するのではなく、間接的に減額する際にクレジットノートを発行します。

つまりデビットノートはお金を支払った(資産の減少)後に一部を返してもらう(資産の増加)のでデビット(借方)、クレジットノートはお金を払ってもらった(資産の増加)後に一部を返金する(資産の減少)なのでクレジット(貸方)になり、受払いの発生しない請求に使用されます。

減価償却費累計額や貸倒引当金や他勘定振替のように、間接的に資産を減額することによって、元々いくら発生していたかを明確に証拠として残す意味があります。

ジャカルタのラウンドアバウト

他勘定振替で製造原価または売上原価から控除するという意味

材料不良や仕損(仕掛品になった後の仕損)が発生したとき、仕掛品(または材料費や加工費などの製造費用)を直接減額せず、他勘定振替を通して間接的に他の勘定に振替えるのは減価償却費や貸倒引当金と同じです。

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「クレジットする」という言葉の意味

去年の話ですが、あるソフトウェア本体と追加ライセンスを購入(あわせて2ユーザー分のライセンス)した1ヶ月後に、ソフトウェアのバージョンアップに伴う機能拡張により、新バージョンでは追加ライセンスなし本体のみで3ユーザー分使えるようになったのはいいのですが、旧バージョンで購入した追加ライセンスは「di-creditkan」と言われたことがあります。

  • di-creditkan" itu maksudnya apa ya?("di-creditkan"ってどういう意味ですか?)

と聞いたところ

  • hilang(消えます=失効します)

と言われて、はじめて意味が理解できました。

要は「di-batalkan(無効になる)」とは言いにくいので、ちょっと小難しく「di-creditkan」と言ったのだと思いますが、要はライセンスの減少=資産の減少なのでクレジット、という話です。

またこのブログではshutterstockの写真を使っていますが、写真によってはクレジット必須(エディトリアル表記必須)のものがあり、この場合は作者名とshutterstock.comの表示、ならびにリンクを写真の下に記載します。

つまり「この写真は自分のものではなくて借りている」ことを明示(債務の発生)するためクレジット(貸方)になります。