インドネシアのビジネス環境

PSBB(大規模社会制限)再開によって商業ビルが受ける影響【商業施設型店舗とロードサイド店舗】

ジャカルタでPSBBが再開(通称PSBB2)

新型コロナ感染拡大が一向に収まる気配のないジャカルタは、本日よりPSBB(大規模社会制限)が再強化され、特定11分野の産業である①保健②食料③エネルギー④通信⑤金融⑥物流⑦ホテル⑧建設⑨戦略産業⑩公共便益サービス⑪生活必需品、以外の一般企業は基本在宅勤務が義務付けられましたが、アニスジャカルタ州知事は最終的には政財界に配慮する形で、やむを得ない場合に限って出社率を25%以下に抑えることを条件にオフィス勤務を許可しました。

グランドインドネシアの飲食店は持ち帰りはOKだが、PSBB期間中は完全に閉店する店もある。

モールなど商業施設の入館者は収容人数の50%に制限されましたが、PSBB再開前の先週土曜日の夜ですら館内には5割も人は歩いていませんでしたので、飲食店の店内での食事が禁止された今、入館者数を数えなくとも自然に制限は守られるでしょうし、モール内のようにMemakai masker(マスク着用)、 Menjaga jarak(物理的距離の維持)、Mencuci tangan(手洗い励行)の3Mが徹底されている環境で、経済を殺してまで制限をかけることにどれほど意味があるのか、テナントを苦しめるだけのようなも思えます。

  • 映画館、ゲームセンター、スポーツセンター、その他遊興施設は閉店
  • レストランは持ち帰りのみ対応
  • 商業施設内の最大入館定員は50%
  • 10.00~21.00 WIBの範囲で営業

月曜日のお昼という平時でも空いている時間帯とはいえ、さすがにPSBB2初日ですからチェックもいくらか厳しくなっていると覚悟していましたが、敷地内への車の敷地への入場チェック、入館時の体温チェックなど、今までと特に変わった様子はなく、特別に入館者数をカウントしているような気配もありませんでした。

今日から開始されたPSBB2の対象はジャカルタのみで、東は15kmほど離れた僕の地元の西ブカシのモールは普通に店内飲食可能、ということは経済的側面から見るとブカシやチカランの飲食店にとってみれば、これまでの売上減を挽回するチャンスであり、社会的側面から見ると県外移動による感染拡大を助長するリスクが高まるとも言えるわけです。

なおブカシのモールは平常運転です。

アニス州知事は、当初はジャカルタの東に隣接する西ジャワ州、西に隣接するバンテン州も足並みを揃えるべきだと主張していましたが、中央政府内部から経済を殺すとしてPSBB2に対する批判が起こっている状況では調整が難航し、アニス州知事の調整不足のままの勇み足という空気が漂っており、そもそも6月のPSBB緩和の判断が、市内のcovid-19受け入れ病院のICU(集中治療室)が満床になりそうな状況を引き起こした、「PSBBを段階的に緩和する移行期間」に主要道路の奇数偶数制度を再開したことがバスや電車内でのクラスター感染を引き起こした、など遡及した批判まで出ています。

PSBB2期間中はジャカルタ市民のブカシ県への流入が予想されるため、警察は観光地と商業施設に対して3Mの徹底を再度要求したようですが、特に入館時のチェックが厳格になったというようなことはありませんでした。

PSBB2の実施で商業ビルが受ける影響

オフィスビルもモールもテナントの営業活動が止まれば、清掃や警備などのビルの日常業務スタッフの仕事が減り、企業のオフィス移転や拡張の動きが鈍化し空き率が高まれば、ビル管理会社自体の経営が悪化し、即効性の高いコスト削減方法である従業員解雇、外注契約解除、給与カットなどで固定費を削減する動きに繋がります。

コロナ禍の影響で第二四半期のオフィスビル賃料は5%下落し、ジャカルタの新しいオフィスビルの入居率はだいたい70%程度と言われており、この下落傾向は年末まで続くと予測されており、オーナーによっては10%から50%の値下げをするところも出ています。

4月のPSBBで商業ビルのテナントは、賃料免除じゃないと経営がもたないと訴え、6月の営業許可後に賃料50%値下げ、新しい日常への移行期間に更に50%値下げしても全店舗が再開したわけではない。ビル側は収入が減るため労働者をPHKし、そして今回WFHが強いられ同じことが起こる。

僕は2002年から2年間、バリ島のデンパサールにあるRamayanaモールのテナントとしてブティックをやってた時期があるのですが、開店してまもなく爆弾テロ事件発生、自宅で寝ようとしていたところに窓を揺らすくらいの地響きが発生し、地震だと思ってそのまま寝てしまった翌朝、実家から電話がありレギャン通りのサリクラブ前の車に仕掛けられたTNT爆弾によるテロだったと知らされました。

爆弾テロ後は海外からの観光客が忽然と消えてしまい、地元の人で賑わうRamayanaモールですら閑古鳥が鳴き、6人いた従業員を4人に、4人から2人へと削減し、モールへ来る客が減ったことで家賃を値下げしてもらえるかと思いきや、逆に値上げを通達されたことで完全にキレてしまい、すぐに閉店在庫一掃セールを開始し、翌月にはサヌールのDanau Tamblingan通りのロードサイド型店舗に移転しました。

商業施設型店舗の賃料はロードサイド型店舗を借りるよりも高額な上に1年分一括払いが原則、毎月請求される電気代と管理費用(iuran)も非常に割高で、これに従業員の給料が加わると、これら固定費すべてを粗利(売上-服の仕入費用)で回収するためには相当な枚数の服を販売しないと元が取れませんでしたが、モールという特性上、消費者は他の用事と合わせて足を運ぶので、新聞広告を出せば効果てきめんに売上が増えました。

サヌールのロードサイド型店舗近所の邸宅でのバザーに出店したときの様子

サヌールのロードサイド型店舗に移ってからは、高額な固定費に頭を痛めることはなくなりましたが、元来クタに比べて落ち着いた雰囲気の土地柄である上、爆弾テロ後で観光客の姿がまばらになっていたので、売上0の日があるかと思えば、欧米人のおばちゃんが爆買いして潤う日もあるという好不調の波が激しく、近隣に住む富裕層の欧米人に頼んでバザーに参加させてもらったり、暇している従業員に天然石とビーズでアクセサリーを作らせて販売管理費を削減したり(間接費の直接費化)あの手この手で売上を伸ばそうとしました。

モール内のテナントとして商売をするには、モール本体にどれだけ人が集まるかが重要であり、そのためにはスターバックスやJCOドーナッツなど集客力のある店が入居することで、周りのテナントが恩恵を受けるのですが、逆に当時のような爆弾テロによる心理的恐怖、そして今はコロナに対する警戒心や、PSBB2による飲食店内でのイートイン制限によって、モール本体の集客力が落ちてしまうと、とてもじゃないですが固定費の回収など不可能だと思います。

要は商業施設型店舗の場合は、モール本体の集客力に期待できる分高額な固定費を払う、ロードサイド型店舗の場合は集客コストは全部自分で持つが固定費は割安になるという選択になるわけで、モールを選択した場合でもモール本体の集客力が落ちてしまうと、高額な固定費の支払いだけが重くのしかかるという、現在のような厳しい状況に陥ります。

 

© 2020 バテラハイシステム Powered by STINGER