損益と収支をつなげる財務三表 【損益は資産の動き、収支はお金の動き】

損益(費用と収益)は財産の動き、収支(収入と支出)はお金の動きのことですが、この言葉の意味はなかなか深い。

Cash Basisでは取引の発生時期にかかわらず現金が動いた時点で損益が認識されるためP/Lと収支が一致しますが、一般の会社ではAccrual Basis(発生主義)会計なので、現金の動きにかかわらず取引が発生した時点で損益が認識されるため、月末の段階でP/Lと収支の状態にズレがあり、別途収支を管理するキャッシュフロー計算書(C/F)が必要になります。

損益と収支の関係

インドネシアでかなり売れている会計システムがあるのですが、どうしても物足りないと思うのが以下の2点です。

  1. A/R, A/P, Jounal Entryの仕訳伝票が出ないこと
  2. C/S(キャッシュフロー計算書)が標準装備されていないこと

これはアメリカ系の会計パッケージソフトなので、日本のようにいちいち仕訳伝票を発行して紙ベースで承認を貰うという習慣がないためかもしれません。

ただキャッシュフロー計算書は、IFRS適用後には財務三表の一つとして必須になるので、これからの会計パッケージソフトにとって、直接法(Direct Method)によるC/Sの作成必須になると思います。

会計ではP/L上の損益(費用と収益)は必ずしもC/Sの収支(収入と支出)と一致せず、P/L上は利益があっても現金が不足すれば黒字倒産します。

例えば銀行からの借入金返済の仕訳は

Dr. 借入金(負債の減少)    Cr.現金(資産の減少)

 

現金の減少、つまり支出となりますが、費用収益項目の変化はないのでP/L上には計上されません。これは収支に関する仕訳が必ずしも損益に関連付けられるわけではないことから生じます。

収支が現金主義で損益が発生主義

損益の認識方法には現金主義、発生主義の2種類があり、発生主義には主に出荷基準と検収基準の2つが採用されます。

現金主義(Cash Basis)は、上述の収支時点=損益(収益および費用)時点として認識する方法ですが、信用取引(掛け)が一般化している現在では、現金収支と財貨と役務の提供のタイミングはズレるので普通です。

発生主義(Accrual Basis)は、財貨・役務の提供のタイミングで損益を認識する方法で、出荷基準検収基準に分かれます。

(発生主義)

  • 出荷時
    (借)AR Accrued  (貸)Sales
  • インボイス発行時
    (借)AR  (貸)AR Accrued
  • 仕入時
    (借)Purchase  (貸)AP Accrued
  • インボイス到着時
    (借)AP Accrued  (貸)AP

AP Accrued(未払費用)やAR Accrued(未収収益)は経過勘定ですが、財貨・役務が未提供な状態のため、貸借対照表(B/S)に計上することで損益と認識しません。

インドネシアの自動車部品工場では、経理上出荷のタイミングで売上と同時に債権も計上し、入荷のタイミングで仕入と同時に債務を計上するケースがありますが、この場合は実際のお金の請求書であるインボイス発行時や到着時には会計仕訳は発生せず、決済時に入荷日にて計上されている債権/債務をインボイスに基づいて消しこむ作業が発生します。

発生主義の条件(財貨または用役の移転)に加え、現金または現金同等物(売掛金、手形などの貨幣性資産)の獲得をもって損益認識する方法を実現主義(Realization Basis)と区別することがあります。

一般会計から財務諸表までの流れ

家計簿は現金収支(収入と支出)をつけて現在の現金残高を知ることができるますが、支出が何に使われて何が所有物として残っているかは分かりません。

FSよって1つの取引を2つの側面から見て帳簿をつけるのが複式簿記(Double-entry book keeping system)でありAsset, Liabilities, Equities, Expense, Revenueの5項目に分類されます。

会計システムの中で、一般会計とはJournal・G/L・T/Bまでであり、財務諸表はP/L・B/S・C/Sの財務三表を指します。

本来は日々の取引を仕訳帳(Journal list)に記帳し、科目単位に転記(Posting)したものが総勘定元帳(General Ledger)であり、2つの台帳は明確にレベル分けされるべきものですが、業務システム上での両者の位置づけに大きな違いはありません。

P/L and B/S未承認であれ承認済みであれG/Lテーブルにすべてのデータが保存され、出力結果を伝票単位で見るか科目単位で見るかという違いのみであり、ともに貸借セットで金額を出力できます。

これは会計業務がシステム化されることにより、2つの違うレベルの管理台帳がシステムにより一元化される例だと思います。

  1. JournalはG/Lに未承認と承認済み(Posting済み)の状態で存在し、G/LのバランスがT/Bとなり、T/BはAsset, Liability, Equityのカタマリと、Expense, Revenueのカタマリに分けることができます。
  2. T/BのExpense,Revenue部分はそのままP/Lになり、このカタマリの凸ん(つばくむ)だ部分はProfitであり、Asset, Liability, Equityのカタマリの凹んだ部分とサイズは一致します。
  3. ProfitをAsset, Liability, Equityのカタマリの凹んだ部分にRetained Earnings(利益剰余金=株主に配当されず留保されることで蓄積された企業の利益)としてはめ込むことによってバランスさせB/Sが完成します。
  4. B/Sはある時点の会社の財産、P/Lは一定期間の会社の利益が書かれます。P/LのRevenueからExpenseを引いたProfitがRetained EarningsとしてB/Sの右側に積みあがっていき、B/Sの右と左は一致するのでRetained Earningsの増分だけAssetが増えます。

直接法のキャッシュフロー計算書

直接法のキャッシュフロー報告書(C/S)はG/Lを元に作成され、大雑把に言ってしまえばG/Lの現金・預金勘定をまとめたものを相手科目別に3つに区分けして縦書きにしたものです。

よって仕訳入力時にC/S上のどの区分のどこに表示したいか、の目印となるキャッシュフローコードを選択する必要がなります。

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一般的には直接法のC/Sは間接法に比べて作成するのが負担が大きいと言われますが、会計システムを使う場合には間接法に比べてむしろ作成が容易です。

ただしP/Lの当期純利益に対するキャッシュの裏づけを分析するにはやはり間接法のC/Sが適しています。
3つの区分とは会社が事業活動を行う上での現金の出入りであり、「お金を集めて(B/Sの貸方)」「何かに投資し(B/Sの借方)」「利益を上げる(P/L)」となります。

  1. 出資 = 貸借対照表の貸方(右側=ヨーロッパでCreditorは上座)
    負債は金を貸してくれる人の名前
  2. 投資 = 貸借対照表の借方(左側=ヨーロッパではDebtorは下座)
  3. 利益 = 損益計算書

キャッシュとは現金及び現金同等物であり、現金、普通預金、当座預金を指し、

  1. どのようにお金を集めてきたか(財務活動=Finance)
  2. どのようにお金を投資したか(投資活動=Investing)
  3. どのように利益を上げたか(営業活動=Operation)

という3つの会社活動ごとに現金がどのように動いたかを説明しています。

直接法では仕訳帳のキャッシュフローコードに基づき、営業活動、投資活動、金融活動のINとOUTの明細部分に現預金勘定のオフセットをあてはめていきましたが、間接法の場合は営業活動部分を、P/L上で上がった損益のうちどれだけ収支に至ったかを表すように作成します。

投資活動部分と金融活動部分については負債、資本、資産のオフセットは基本現預金なので、直説法のキャッシュフロー計算書と同じになります。

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